青空晴流

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青空晴流

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    中学2年生の段田太一は、エネルギー波を出すために悪戦苦闘する。が、ある日ヒントを掴む。

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    下校中、中学生男子2人が交わす雑談

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記事一覧

東京はいいなー

今月のポパイは東京特集だ。 住んでいたときも思っていたけど、東京はいろんな街があって、どの街も個性的で、かぶっていない。 ところ変わって鳥取。 ある意味個性的だ…

青空晴流
7年前
3

短編小説『くもの形、ソースのシミ』

高校時代、どうしても彼女がほしい時期があった。好きとかどうでもよくて、彼女というステータスがほしかった。 僕は欧米人みたいな濃い顔の人が好きで、ぱっちりとした目…

青空晴流
7年前
3

短編小説『男子たちのクリスマス』

 12月24日――男子高校生3人が、わたしの家にごそごそ集まる。両親がいないことを知っているせいか、遠慮がない。だって靴もそろえてないし。 「女子の部屋ってこんな感…

青空晴流
7年前
2

短編小説『神様の力業』

 一番乗りの教室は冷やされている。電気もついていないし、雲は分厚いから光も差してこない。椅子を引く音さえもなんだかひんやりしている。  わたしはマフラーを巻いた…

青空晴流
7年前
2

最近の迷惑メールは感情移入させる

僕のもとに一通の迷惑メールが届いた。 今まで何度も受信させられてきたが、今回のそれは斬新であり、心を揺さぶるものだった。 最初に断っておくと、僕はたいてい小説を…

青空晴流
7年前
3

『カニのある日』

 11月のある日、お父さんがにこにこして帰ってきた。ボロアパートに似合わないくらい幸せそうな笑顔で。 「なに笑ってんの。ごはんのしたくするから手伝って」  中学1…

100
青空晴流
7年前
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最近、更新してないですけど書いてます。全然かたまらないだけです(゚∀゚)

青空晴流
7年前
1

『わからん』

「っしゃーせ!」  カウンター席しかないラーメン屋。L字型のカウンター7席の内側では、鉢巻とTシャツ姿の店長が、素早く丁寧に麺をゆで、椀にスープを注ぎ、一杯のラー…

100
青空晴流
7年前
2

『とりあえずビール、コーヒーはブラック』

「とりあえず、カシスソーダで」 「わたしは完熟梅酒のソーダ割り」  有美との付き合い始めはこんな感じだった。僕たちは、20歳を過ぎて舌が幼いことを共有していた。20…

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青空晴流
7年前
2

短編小説『顔にでかいほくろがあって成功しているやつはいない』

 ある人が言っていた。「これはただの白い紙だが、インクを落とすと、それは黒い点になる」と。  高校に入ってから、ちゃんと鏡を見始めた。産毛が黒く染まってきたこと…

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青空晴流
7年前
2

短編小説『もし金メダルが獲れるなら』

 中学生の男子が2人、下校している。 「自分で言うのも変だけどさ、俺らって若いよな」 「まぁ比較的若いかな。今年14歳だし」 「これから無限の可能性が広がってるっ…

青空晴流
7年前
2

短編小説『砂像』

 夜中、アルバイトが終わってようやくアパートに着くと、部屋の灯りが点いていた。  しまった。  今朝起きたときには日が昇ってすっかり明るくなっていて、部屋に灯り…

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青空晴流
7年前
5

短編小説『上に伸びるか、横に並ぶか』

 ファーストキスはゴムの味がした。  これは僕がダッチワイフにキスをしたわけではなく、生身の人間とキスしたときの感想だ。大学2年生のときだった。若者のたくましい…

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青空晴流
7年前

短編小説『指を鳴らすと笑顔に変わる』

 わたしが大学から駅に向かって歩いていると、紫くんがいた。  紫くんはわたしと同じ学科で、話したことはない。でも、わたしたちのグループで一度「高校のときの服って…

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青空晴流
7年前
3

短編小説『足の指は短い』

 目覚めると、白いカーテンが朝日で透けていた。今日は休みだからもうひと眠りしようと思うが、隣の彼女はすーすー寝ていて、起こさないようにしてトイレに立つ。  トイ…

青空晴流
7年前
2

信じるかどうか

夕飯を食べていると、母が話し始めた。今日、墓参りに行ったという。 そこで1匹の猫が足元にまとわりついてきたそうだ。その猫は墓参りが終わっても母から離れようとせず…

青空晴流
7年前
1

東京はいいなー

今月のポパイは東京特集だ。

住んでいたときも思っていたけど、東京はいろんな街があって、どの街も個性的で、かぶっていない。

ところ変わって鳥取。

ある意味個性的だけども、あの街が、この街が、というよりも全部で鳥取だ。

鳥取には、鳥取・倉吉・米子・境港と東から西に主要な市がある。観光地はそれぞれ個性的だけどひとつひとつが離れてるから、差別化されていない。

ところで、ラッパーは地元を大切にして

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短編小説『くもの形、ソースのシミ』

短編小説『くもの形、ソースのシミ』

高校時代、どうしても彼女がほしい時期があった。好きとかどうでもよくて、彼女というステータスがほしかった。

僕は欧米人みたいな濃い顔の人が好きで、ぱっちりとした目、しゅっとした鼻筋に、でかい口。喜怒哀楽が絵文字みたいにわかりやすくて楽しそう、という理由。

女子の友達なんていないし、話しかけるのは恥ずかしいから、男子に声をかけて女の子を紹介してもらえないかと頼んだ。

「ソース顔の女子を探している

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短編小説『男子たちのクリスマス』

短編小説『男子たちのクリスマス』

 12月24日――男子高校生3人が、わたしの家にごそごそ集まる。両親がいないことを知っているせいか、遠慮がない。だって靴もそろえてないし。

「女子の部屋ってこんな感じなんだー」

「ちょ、あんまりみないでよぉ」

 部屋は片づけすぎて、勉強机が目立つ。ほとんど家具しかない。

 あまり視線を泳がせられないとわかると、3人ともおとなしくテーブルを囲んでカーペットの上に座り、勝手にポテチをつつき、コ

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短編小説『神様の力業』

短編小説『神様の力業』

 一番乗りの教室は冷やされている。電気もついていないし、雲は分厚いから光も差してこない。椅子を引く音さえもなんだかひんやりしている。

 わたしはマフラーを巻いたまま、席に着いた。学校の便座よりはずっとずっとましだけど、スカートとタイツ越しの椅子も冷たい。

 誰も来ないままチャイムが鳴ると、先生が入ってきた。

「佐久間だけ?」

「あ、はい」

 今日は補習で、クリスマスイブだ。古典のテストで

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最近の迷惑メールは感情移入させる

最近の迷惑メールは感情移入させる

僕のもとに一通の迷惑メールが届いた。

今まで何度も受信させられてきたが、今回のそれは斬新であり、心を揺さぶるものだった。

最初に断っておくと、僕はたいてい小説を書いているけどこれは創作ではなく、実際に届いた迷惑メールについて書いている。それではご紹介していこう。

今まで迷惑メールを受信したことがない方のために説明すると、あからさまに拙い日本語、というか舌足らずで幼い漫画のキャラクターみたいな

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『カニのある日』

『カニのある日』

 11月のある日、お父さんがにこにこして帰ってきた。ボロアパートに似合わないくらい幸せそうな笑顔で。

「なに笑ってんの。ごはんのしたくするから手伝って」

 中学1年生で一人娘のわたしはお父さんを平気で急かす。他の子のうちでは父親のことを急かしたり怒ったりしないらしい。よく我慢できるなと思う。

「ももちゃんももちゃん! もーもちゃん、ねぇ! 早くこっち見てこっち見て! ももちゃーん、おーい……

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最近、更新してないですけど書いてます。全然かたまらないだけです(゚∀゚)

『わからん』

『わからん』

「っしゃーせ!」

 カウンター席しかないラーメン屋。L字型のカウンター7席の内側では、鉢巻とTシャツ姿の店長が、素早く丁寧に麺をゆで、椀にスープを注ぎ、一杯のラーメンを整えている。

 今日が39歳の誕生日であることを、本人さえ忘れていた。帰宅すれば、男手一つで育てた愛娘がケーキとプレゼントのスマホを買って待っている。国立大学に通う自慢の娘だ。

 カウンター内にはもう一人、男がいる。20代の彼

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『とりあえずビール、コーヒーはブラック』

「とりあえず、カシスソーダで」

「わたしは完熟梅酒のソーダ割り」

 有美との付き合い始めはこんな感じだった。僕たちは、20歳を過ぎて舌が幼いことを共有していた。20歳が大人っていう考え方がもう子どもだけれど。

 スターバックスに行っても、いつも僕たちは名前が長くて甘い飲み物を頼む。そうやって甘くておいしいものを分かち合う。有美といるときは、男だからとか大人だからとか、気にしないで好きなものを

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短編小説『顔にでかいほくろがあって成功しているやつはいない』

短編小説『顔にでかいほくろがあって成功しているやつはいない』

 ある人が言っていた。「これはただの白い紙だが、インクを落とすと、それは黒い点になる」と。

 高校に入ってから、ちゃんと鏡を見始めた。産毛が黒く染まってきたこともあるけど、眉毛をカットし始めたことが大きい。でも、細くすることはなく、ただ、整える程度に鋏を入れた。俺が細くしても調子に乗っていると思われるだけだ。

 鏡に映り込むのは、俺の顔と頬のほくろだ。1センチはないけど、7ミリとか8ミリくらい

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短編小説『もし金メダルが獲れるなら』

 中学生の男子が2人、下校している。

「自分で言うのも変だけどさ、俺らって若いよな」

「まぁ比較的若いかな。今年14歳だし」

「これから無限の可能性が広がってるってことだよなー」

「じゃあさ、お前は金メダル獲れる?」

「ん? 競技によるだろうけど、獲れるでしょ」

「なんだったら獲れると思ってんの?」

「うーんアーチェリーとかならいけると思う」

「これから遊ぶ時間削って毎日何時間もア

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短編小説『砂像』

短編小説『砂像』

 夜中、アルバイトが終わってようやくアパートに着くと、部屋の灯りが点いていた。

 しまった。
 今朝起きたときには日が昇ってすっかり明るくなっていて、部屋に灯りが点いていると気づかなかったのだ。ということは昨夜うっかり寝てしまってから点けっぱなしだ。

 嫌なことは続くものだ。
 今日レジをしていると、クソジジイに怒鳴られてしまった。忙しいとどうしても流れ作業になってしまうから、油断していると

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短編小説『上に伸びるか、横に並ぶか』

短編小説『上に伸びるか、横に並ぶか』

 ファーストキスはゴムの味がした。

 これは僕がダッチワイフにキスをしたわけではなく、生身の人間とキスしたときの感想だ。大学2年生のときだった。若者のたくましい想像力はどこまでいっても想像の範囲を出ない。当たり前だ。でも、たまたま相手がそうだっただけのかもしれない。

 社会人3年目、2人目の恋人とキスをしたとき、僕は動物園を思った。幼いころ、一度だけ家族と行った隣県の大きな動物園。

 テレビ

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短編小説『指を鳴らすと笑顔に変わる』

 わたしが大学から駅に向かって歩いていると、紫くんがいた。
 紫くんはわたしと同じ学科で、話したことはない。でも、わたしたちのグループで一度「高校のときの服って感じだよね」と話に出たことがある。誰が言ったのかは覚えてないけど、確かに!と思ったので覚えていた。

 紫くんは車道沿いの歩道からひとつ内側に入った狭い道にいて、彼の目の前には泣きわめくお下げ髪の女の子がいた。たぶん5歳くらい。

 紫くん

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短編小説『足の指は短い』

 目覚めると、白いカーテンが朝日で透けていた。今日は休みだからもうひと眠りしようと思うが、隣の彼女はすーすー寝ていて、起こさないようにしてトイレに立つ。

 トイレから戻ると、彼女は寝返りをうって私の方を向いている。見慣れた顔だが、今でも彼女は美しいと思う。

 白い肌に、閉じた目の曲線がこめかみに伸びている。長いまつ毛の一本一本は繊細で、丁寧に描かれているようだ。

 サマーケットがはだけて太腿

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信じるかどうか

夕飯を食べていると、母が話し始めた。今日、墓参りに行ったという。

そこで1匹の猫が足元にまとわりついてきたそうだ。その猫は墓参りが終わっても母から離れようとせず、母の車にまで乗ろうとした。

僕が持って帰ってくればよかったのにと言うと、

痩せていて、毛も禿げていて、みすぼらしい見た目だったから

と返された。

会話は途切れ、僕は咀嚼しながら考えた。

僕が考えたのは死んだ飼い犬のことだ。お盆

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