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「言葉と歩く日記」 多和田葉子·著
日本で、実家近くの本屋さんで手に取って、なんとなくすぐに読まずにずっと手元に置いておいた本。ドイツ語と日本語それぞれで小説を書いている多和田さんの、小説はいくつか読んだけれど、新書も出していらしたとは。「言葉と歩く日記」、それはそのまんま、1月1日から始まる、言葉についての考察を軸にした、日記なのだった。
私自身は、イタリアにいるといっても、最近はほとんど日本語で過ごす毎日で、イタリア語もか
日本の旅、イタリアの旅 Viaggio in Giappone, Viaggio in Italia
旅はおもしろい。自分で望んで、観光で行く旅はもちろん、例えば仕事であったり、自分の意思とかかわらず、何か外部的要員事情により(いたしかたなく)出る旅もまた、悪くない。日常とは違う「旅」は、何かと不測の事態も起きる。それが文化も習慣も異なる、言葉の通じぬ外国であればなおさら。もちろん楽しいことばかりではないかもしれない、絶体絶命の危機だってあり得る。命からがら逃げ帰って、もう二度と行きたくない、な
もっとみるローマの冬~クラシックに浸る
「Perfect Days」と「君たちはどう生きるか」がイタリアの映画界で快進撃を続けている年明け、年末までと裏腹に観たい映画はなかなかタイミングが合わず、一方で心に残る演奏会を2回続けて、堪能する機会があった。
チョン・ミョンフン指揮で、ベートーベンの交響曲第6番「田園」、ストラビンスキー「春の祭典」。
サンタ・チェチリア国立アカデミー交響楽団の定期公演SNSで流れてきた広告を見て、ふと、あ
悪とチョコレートと枯れ葉
元旦に発生した能登半島の大きな地震と、翌日の痛ましい航空機事故のニュースに、新年のご挨拶も戸惑ってしまうほど、そう思っている内に早一週間が経とうとしている。犠牲になった方のご冥福をお祈りすると共に、いまだ行方不明の方々の一刻も早い救助と、被災された方の生活の復旧を心から願うばかりです。
イタリアでも連日、日本の災害のニュースが伝えられる中、嬉しい話題もあった。宮崎駿監督の「君たちはどう生きる
四者四様、万歳!女性監督
11月のある土曜日、イタリア北東部ヴェネト州で、パドヴァ大学に通う学生の元カップルが行方不明になった。ご家族や周囲の期待をよそに、女性は数日後に遺体で発見され、重要参考人として行方を追われていた男性はドイツ国内で逮捕された。
残念な、というよりは大変恐ろしいことに、イタリアは元夫婦、元恋人の男性側による女性の殺人事件が非常に多い。今年2023年だけで、すでに105人めとのことで、3日に1人、女
イタリアで、日本のアニメを観る
「君たちはどう生きるか」を観た。
宮崎駿監督が引退宣言をしてから10年後のこの夏、日本で公開された作品は、イタリアでは年明けの公開が予定されているが、10月18日から29日に開催されていたローマ映画祭で、アニメーションなどを集めた部門にラインナップされた。10月23日、メイン会場の他、市内2カ所でほぼ同時刻に、1回だけの上映。
なるほど、観てみると実はこのタイトルの小説は原作というわけで
ローマの秋~シーズン開幕
イタリアでは、というかおそらくヨーロッパの国はたいてい似たようなものではないかと思うが、音楽や劇場は、学校などと同様に秋から春を1シーズンとしている。最近はやや変わってきているものの、基本的には映画も同じで、夏の間はさまざまなフェスティバルなどあるけれど、古い映画を見たり、そのシーズンの話題の映画が改めてかかったり、ということが多い。
ローマのサンタ·チェチリア国立アカデミー交響楽団のシーズ
この夏観た映画~イタリアの黒歴史
日中はまだまだ夏のような陽気が続くローマだが、朝晩はすっかり涼しく、日がうんと短くなって気がつけば10月も下旬に入ってしまった。すっかり忘れかかった記憶をたどって、この夏の間に観たイタリア映画3本の復習を。(以下、完全ネタバレ注意。)
究極のラブストーリー。そう言ってしまうと、むしろ興味を失ってしまう方もいるかもしれない。誤解を招く表現は避けたいところだが、この夏、日本への帰国便の機内で観た