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僕の目から見たあなたは(小説)
「あのう、写真撮ってもいいですか?」
振り返ると、大きなカメラを持った女がじっとこちらを見つめていた。
◇◇◇
犬というのはつくづく散歩に人生(犬生?)を懸けている動物だな、と洸希は思った。それまでぐでんと横になっていても「散歩行くか?」と声をかけるだけで飛び起きて洸希をぐいぐい玄関へと引っ張る。
今日は散歩は少しだるいな、と思っていたのだが、犬の1日の楽しみを奪うのは気が引けた。
「散
ワッフルとサバの味噌煮(小説)
1年前、合コンで知り合った彼と、その日のうちに寝てしまった。人生って楽しければいいと思っていたけれど、こういう恋愛を素直に楽しめる年齢ではなくなってきているとも感じる。
そのまま、ずるずると彼と行動を共にすることが増えた。晩ご飯を食べて、そのまま彼の家に泊まる。そしてそこからダイレクトに出勤する。
「私たち付き合ってるのかな?」
なんてもう怖くて訊けない。実際のところ、きっとセのつくそういう
秘密のプール(小説)
※完全なフィクションです。
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今年の夏はなにかが違う。そんな予感がした。
それは、高校受験をひかえた中学最後の夏だからかもしれない。
1.
ぼくの通う中学は山のてっぺんにあって、毎日ひいひい言いながら登校している。都会のおしゃれな私立中学とかに憧れたりはするけど、立地以外はまあ悪くないところだと思っている。
はじめての中3の夏。心なしか、まわりの空気も去年とは違う。
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