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恋愛

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胸が切ない色々
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人は苦しい時の気持ちを忘れてしまう

人は苦しい時の気持ちを忘れてしまう

こんなに苦しいのは久しぶりだ。思えば2022年はかなり恵まれた年だった。平たく言えば充実していた。

写真が面白くなった。今年の頭に、むやみに彩度を上げることをやめ、Lightroomアプリに最初から備わっているマット調のプリセットを使い始めた。すると写真に質感が生まれ、味が出るようになった。

そして今年の半ばに新しいレンズを買った。換算50mmの単焦点。それまで高倍率の望遠レンズ1本でスナップ

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恋人と別れた

恋人と別れた

恋人と別れた。

こんなに価値観が合わなかったのは初めてだと思う。「合わない方が上手くいく」なんて少し前に書いてみたけど、あまりにも合わなさすぎたのか。それとも、お金の使い方とか、自分が踏み込んで欲しくない領域に関する距離感とか、大事な価値観が合っていなかったからなのか。

申し訳ないことをした。

彼女に、僕が撮っている写真にいろいろ意見されて激昂してしまった。本人は「感想」のつもりだと言った。

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あんまり好きじゃない人と付き合った方が上手くいってしまう

あんまり好きじゃない人と付き合った方が上手くいってしまう

久しぶりに恋愛について書く。多分恋人が読んだら悲しくなってしまうようなことだけど。

4月から付き合っている彼女と、もう4ヶ月間仲良くさせてもらっている。彼女の実家にも何度か行って、ご両親とおばあちゃんにも挨拶した。

いまの彼女はめちゃくちゃ美人で、僕が付き合ってきた中で1番外見がいいと思う。でもこれって主観だし、人の見た目をどうこう言う時点で失礼なことだからあまり言わないようにする。言い換える

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ivory(小説)

ivory(小説)

ファミレスのどこかぬるっとしたテカテカのグランドメニューと睨めっこしている目の前の男を、直感で「情けない」と池田紗奈(いけださな)は思った。

中高生が来るようなレストランである。しかし、食べ物に強いこだわりがあるから男に愛想を尽かしそうになっている、というわけではない。

絵に描いたような優柔不断っぷりが腹立たしいのだ。

目の前の男、笹田拓実(ささだたくみ)と紗奈は、早い話がセフレで、普段は夜

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僕の目から見たあなたは(小説)

僕の目から見たあなたは(小説)

「あのう、写真撮ってもいいですか?」

振り返ると、大きなカメラを持った女がじっとこちらを見つめていた。

◇◇◇

犬というのはつくづく散歩に人生(犬生?)を懸けている動物だな、と洸希は思った。それまでぐでんと横になっていても「散歩行くか?」と声をかけるだけで飛び起きて洸希をぐいぐい玄関へと引っ張る。

今日は散歩は少しだるいな、と思っていたのだが、犬の1日の楽しみを奪うのは気が引けた。

「散

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ワッフルとサバの味噌煮(小説)

ワッフルとサバの味噌煮(小説)

1年前、合コンで知り合った彼と、その日のうちに寝てしまった。人生って楽しければいいと思っていたけれど、こういう恋愛を素直に楽しめる年齢ではなくなってきているとも感じる。

そのまま、ずるずると彼と行動を共にすることが増えた。晩ご飯を食べて、そのまま彼の家に泊まる。そしてそこからダイレクトに出勤する。

「私たち付き合ってるのかな?」

なんてもう怖くて訊けない。実際のところ、きっとセのつくそういう

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チョコからの手紙(小説)

チョコからの手紙(小説)

「久しぶり!この度、ケーキ屋さんをOPENすることになったよ!!私のこと覚えてるかな?よかったら食べに来てね」

意外な人から通知が来ていた。小学5年生のころ同じクラスだった女の子だ。その子は中学受験をして別々の中学に行ったけど、成人式で再会して連絡先を交換した。なんてことのないただの同級生だ。

ケーキ屋さんか。俺たちは今年で28になる。歳をとったとは思うものの、それでも自分のお店を持つにしては

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たまねぎ(小説)

たまねぎ(小説)

智也の気配を後ろに感じながら、たまねぎを切っていた。私がつくるカレーにはいつも大量にたまねぎを入れる。

「大量のたまねぎがとろとろに溶けてるカレーがいい」

彼のリクエストに答える形で不本意だが、何を隠そう私もそういうカレーが好みだった。私たちの性格は正反対だけど、味覚だけはよく似ている。

私は在宅のイラストレーターの仕事をしている。これだけじゃ食べていけないから、同棲中の智也と家賃を分け合

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こんな思いをしてまで人は恋をするのか?

こんな思いをしてまで人は恋をするのか?

失恋ソングに人が共感する理由がわからなかった。…否、最近まで忘れていた。

高1の失恋時、僕はRADの4枚目のアルバムのドロッドロに女々しい歌詞に共感して涙したし、影響されてポエムなんかも書いた(恐ろしいのは、このポエムを捨てたのが最近だということ)。

その失恋以降、大きな恋愛は数えるほどだった。19〜23歳という時期に人並みの恋愛をしなかったせいで、どこかズレてしまったのかも。僕はどんどん失恋

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「男女の友情」って難し過ぎませんか

「男女の友情」って難し過ぎませんか

俗に言う青春コンプレックスを抱えていて、学生時代に送れなかった青春を必死に取り戻そうとしているイタい男性になりつつある。

大学時代に付き合った女の子は1人だけで、その子は高校時代からの付き合いだったので、実質大学での新しい出会いはゼロだった。

サークルにも部活にも属さず、気がつくと卒業してフリーターになっていた。

「新しいことを必要以上に恐れたこと」

これだけが僕の失敗だったと思っている。

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空を泳ぐ(小説)

空を泳ぐ(小説)

※完全なフィクションです。以前書いた「秘密のプール」という小説の、別人物視点からの物語となっております。

こちらも読んでいただけると嬉しいです。





今年の夏はなにかが違う。予感は確信へと変わっていた。

1.

わたしの学校ではどういうわけか、毎年水泳大会がおこなわれる。学年ごとに25メートルを指定の泳法で泳がされるのだ。

中3の今年は、去年と一昨年とは大きな違いがあった。

1

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恋愛がしぬほど難しい

恋愛がしぬほど難しい

かつての自分の恋愛遍歴をふりかえると「相手を好きすぎて破滅してしまう」ことが多かった。

だからふたつ前の恋は、依存しすぎないことを目標にしていた。

会う前に電話をした際に、直感で声が好きだと思った。そして歳上らしく落ち着いた態度も良いと感じた。

でも、話していく上で「この人は合わないかも」と思うことが増えていった。それは絶望的な軋轢ではなく、些細なズレが幾分にも重なって、結果的に数メートルの

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彼女は、普通の女の子のふりをしていた

彼女は、普通の女の子のふりをしていた

連日ずっと同じ女の子についての記事ばかりで申し訳ない。プライバシーには気を使っているつもりだけど、こういうのって本来は許可がいるんだろうな…。偶然これを見られて「勝手にネタにしないで」と言われたら削除しようと思う。

◇◇◇

昨日破局した彼女は、出会って1ヶ月にも満たない子だった。

顔立ちは整っていて、少しだけ日本人離れしていた。フィリピンとかタイとか、そういう系統の美人って感じで。(追記:女

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秘密のプール(小説)

秘密のプール(小説)

※完全なフィクションです。





今年の夏はなにかが違う。そんな予感がした。

それは、高校受験をひかえた中学最後の夏だからかもしれない。

1.

ぼくの通う中学は山のてっぺんにあって、毎日ひいひい言いながら登校している。都会のおしゃれな私立中学とかに憧れたりはするけど、立地以外はまあ悪くないところだと思っている。

はじめての中3の夏。心なしか、まわりの空気も去年とは違う。

受験

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