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貴方の心が僕の笑えない日常を変えてくれた

おやすみを天井に告げ、僕は一人静けさの中で今日という日を終える。

毎夜、こんな感じで暮らす。家の中には僕以外にも3人の人間が住んでいるはずなのに何故、こんなにも一人で生きている気持ちに苛まれるのか不思議で仕方なかった。

からっからの布団を首根っこまで掛けて静かに瞼を閉じる。そう、僕はいつもこんな感じですと夢の中で語ろうにも最近は夢すら見れないありさまで、とうとう、僕は人間という物に嫌われていることを認識しながらも閉じた瞼を開いた。あまりにも眠気が来ない僕は天井に染み付いた赤褐色に人差し指を伸び切った針金のようにして向けると共に暮らす住人の皆様に届かない程度の声で「・・1・・2・・3.4.5.6」と数えると思いの外沢山あることに驚きを隠せず、先ほどより、けれど邪魔にならない声量で、ふぇっという一人でに阿保の体現するような声を漏らしてしまい、僕はおそらく赤く染まっているであろう顔に自然な流れで手を置くと熱でもあるのでは?と疑ってしまうほどに熱く、我ながら人間味あふれるなと思わず吐き出してしまった。

人間の奥の方に潜む、確固たる人間像を己を介して知れたようで凄く嬉しかった。最近の僕はとにかく笑えなくて、僕以外の人間が笑っているのを見ている自分と他人とのずれが酷く深く悲しかった。そんな僕が天井の染みを数えている最中に突拍子もなくこぼれた阿保晒しの声で頬を赤らめるほど恥ずかしめと笑顔になれるとは思いもしていなかった。

なんだ、今日は最高の一日じゃないか。って毎日思いたい。

僕は少し汗で蒸れだした布団を剥ぎ取ると天井を見つめ、閉じかける瞼の片隅で赤褐色の痣を繋ぎながら、

ここ最近で一番の深い眠りについた。

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