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五感が自然にさらわれるとき
2月の岐路に立っている。
仕事をやめるか、続けるか、やめても結局、社会の掌からは逃れられない、人は怖い生き物で、それに囲まれるのは苦しいことだ。かといって山奥へ逃げ込めば、身はもはや凍えるばかり。
そんなことが頭をめぐっていた折、しばらくぶりに川辺へ出た。常緑の葉を縫って差す木漏れ日、空の青をうつして鴨を走らせる水面。閉じていた五感が活性しはじめる。思考は力をなくし、感覚が脳の所有権を奪ってい
繰り返される過ちと、起死回生のたらこスパ
「たらこ…スパゲティ…」
思わず口をついて出たのがこれだった。
体調を崩して寝込んでいたので、同じ市に住む妹が買い物を頼まれてくれた。「なんか食べたいものある?」に対して出てきた回答が、冒頭のそれであった。
たらこスパゲティにさして特別な思い入れはない。味は嫌いじゃないし、おいしいと思うが、ふだんわざわざ選びはしない。
しかしこの弱った病身にも優しく染み入り、かつ体力を授けてくれそうなのは