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不器用な男女の恋の物語

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僕のnoteより、恋の話セレクションです
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僕が出会い厨だった頃の話

僕が出会い厨だった頃の話

基本的にここに書いていることは全部嘘ですよ、という話を昨日書きましたね。

と、前置きしておいて、

僕が不特定多数の女性との出会いを楽しんでいたのはおよそ7、8年前のことだ。きちんと数えたわけでもないが、おそらく3年弱の期間で30人以上の人と会った。これはそこそこ多い方なのではないかと思う。

当時僕はコンビでお笑いをやっていた。事務所には所属せず、フリーでライブに出てはネタを磨いていた。が、な

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俺の書いた俺たち

俺の書いた俺たち

「オイお前、何で俺たちの恋愛はいつもうまくいかないんだよ!」と、これまで書いてきた作品の主人公たちが文句を言ってきた。

「仕方ないじゃないか、俺は恋愛経験が少ないんだ。恋愛でうまくいくってことがよく分からないんだよ!」そう文句を言い返してやると、主人公たちはぶつぶつ言いながらも引き下がってくれた。さすがは俺が書いた登場人物たち、俺の言うことはよく分かってくれるようだ。

「しょうがない、俺たちが

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好きの構成要素

好きの構成要素

・もっと知りたいなと興味を持つ
・会いたいと思う
・一緒にいて楽しい
・感情が動く出来事があった時にそれを分かち合いたいと思う
・何でもないような出来事も分かち合いたいと思う
・困っていることや悩みがあったら助けたい
・外見を見て、かわいいな、綺麗だな、カッコイイなと好感を持つ
・触れたくなる
・連絡が来ると嬉しい
・生き様や人生哲学、仕事ぶりなどを尊敬する
・性的魅力を感じる
・性的な接触を持ち

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永遠に美しく

永遠に美しく

魔女の愛していた竜人族の男を私は殺した。私は魔女を愛していたからだ。竜の返り血を浴びた私は不老不死となり、魔女は想い人を殺した私に復讐するために私を殺す方法を探し始めた。愛する人が私を殺すために生きている、それはまるで愛のようだった。

魔女は私を殺すためのあらゆる方法を試した。私を炎で焼き、水に沈め、雷を落とし、切り刻み、毒を盛った。けれども私は死ななかった。古今東西様々な文献を読み漁った魔女は

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自分だけど自分じゃないの

自分だけど自分じゃないの

小さい頃から何かを書くのが好きな人だった。ノートに絵を描き、小説のようなものを書き、詩を書くようになった。見た映画の感想を書き、ネットが普及しSNSなんてものが生まれると、日常や小ネタを書き流し、ブログを書いたりするようになった。こうやって自分の書いたものが残っていて面白いなと思うのは、その時その時の自分の考えが残っているということだ。

人は変わるものだ。それは良いことでも悪いことでもない。昔の

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ある隣人の話

ある隣人の話

・稽古帰りの電車で隣り合わせた女性2人。聞くとはなく聞こえてしまった会話の内容から察するに、ホスト帰りの2人組のようだった。どうやらかなりの額をぶっ込んでいるらしい。「今日は40万で……」という会話の断片が聞こえた。僕の勘違いであって欲しいとつくづく思うが、その金額は、『今日のお会計』だった可能性が高い。恐ろしいことだ。

・田舎から出てきてもう25年にもなるが、今回初めて、隣に住んでいる人を認識

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ソーセージと洗濯バサミ

ソーセージと洗濯バサミ

ソーセージと洗濯バサミは、付き合い始めてから1年になりました。洗濯バサミに一目惚れをしたソーセージが熱心にアプローチをして2人の交際は始まりました。2人はとても愛し合っていました。

1周年の記念日に、2人はお互いにプレゼントを用意していました。ソーセージは洗濯バサミのために、洗濯バサミの大好きなゾンビ映画『死霊のえじき(Day of the Dead)』のHDリマスター版スペシャル・エディション

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まったり願望

まったり願望

ゆっくりまったりゴロゴロと過ごすデートがしたい。

どちらかのお家か、どこか旅行先の旅館か、ラブホのフリータイムでもいい。何をするでもなくゴロゴロと寝過ごしながら何でもない話をする。そういう時間を過ごしたい。

関係がまだ始まりたての時、デートというのは張り切って頑張ってしまいがちだ。どこかに出かけ、一緒に楽しい時間を過ごす。そのために計画を練る。それはとても良いことだ。それはとても素敵なことだ。

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西の魔王と東の魔王

西の魔王と東の魔王

むかしむかしあるところに、西の魔王と東の魔王と呼ばれる2人の魔王がおりました。2人は世界の覇権を争って長い間戦い続けていました。長い戦いの中、西の魔王は200年前に片目を失い、東の魔王は100年前に翼をもぎ取られていました。それでも2人は戦いをやめず、戦いは300年に渡って続いていました。

2人はとうとう、禁断の呪法に手を出してしまいました。西の魔王は世界を滅ぼす魔剣を、東の魔王は大いなる災いを

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結婚と引退と

結婚と引退と

僕が彼女に振られたのは、アイドル活動に集中したいからという理由だった。ずっと頑張っていた地下アイドル活動。ようやく少し軌道に乗り始めた頃だった。そういうことなら仕方がない。僕は涙を飲んで彼女とお別れした。そして半年後、彼女は結婚してアイドルを引退した。話が違うじゃねーか、と思った。

彼女の結婚と引退を知ったのは所属していたアイドルユニットの公式SNSだった。あんな別れ方をしておいてたった半年で結

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恋の終わり

恋の終わり

今日を以て僕の恋は終わった。職場で少し気になっていたユキちゃん、飲みか食事でもどうかなと誘って丁寧に断られた。口調や態度はあくまでも丁寧だったが、その端々に絶対に脈なしですよという心の壁と、生理的に無理ですという拒絶が見て取れた。これで僕の恋は終わりだ。ユキちゃんに対してだけじゃない。もう恋することをやめる。そう誓った。

僕は今年45歳になる。若い頃は夢を追って役者なんぞをやっていた。夢を諦めて

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じいちゃんばあちゃんの馴れ初め

じいちゃんばあちゃんの馴れ初め

これは僕が書き残しておいた方がいいなという話を書いておこうと思う。もう亡くなったじいちゃんとばあちゃんの馴れ初めの話だ。

じいちゃんは目が見えなかった。嘘みたいな本当の話だが、戦時中に上官の家で開かれた飲み会で出てきたお酒が、工業用のメチルアルコールが混ざった粗悪なものだったのだ。メチルは飲むと視神経がやられて失明してしまうことがあり、『目散る』なんて揶揄されていたくらいだ。戦時中、特に終戦間際

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ぼくのすきなひと

ぼくのすきなひと

すきなひとがいる

すきなひとはかわいい

すきなひとはちいさい

すきなひとと一緒にいるとたのしい

すきなひとが笑うとうれしい

すきなひとと食べるごはんはおいしい

すきなひとと飲むお酒はげんきになる

すきなひとのする話はぜんぶおもしろい

すきなひとが話を聞いてくれるのはしあわせだ

すきなひとはさわりたい

すきなひとはくっつきたくなる

すきなひとはもっと一緒にいたくなる

すきなひ

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ハゲいじり to LOVE

ハゲいじり to LOVE

妻と出会ったのは手伝いに駆り出された大学時代の友人のイベントの打ち上げ会場だった。渋谷の安居酒屋、座敷に通されて上着を脱いで、席に座って帽子を脱いだ僕を見て開口一番、「めっちゃハゲとるやないかい」と言ってゲラゲラ笑ったのが妻だった。

打ち上げの間、妻はひっきりなしに僕のハゲをいじり、僕は彼女のいじりにツッコミを入れたり怒ったふりをして見せたりして、僕たちは爆笑を取り続けた。最初はデリカシーのない

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