本の処方箋

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孤独をテンポよく描く、村上春樹『ノルウェイの森』

こんなセリフを言ってみたい。 今回紹介する作品は村上春樹さんの『ノルウェイの森』です。 『ノルウェイの森』は様々な人間の生と死、孤独を描いた作品です。 救いよう…

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傷ついた孤独な大人たちの物語 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

高校生の時に高校の近くの図書館でこの本を借りて読んだ。その当時の僕はひねくれていて、神経質で、「勉強命」という感じの人間だった。友達は何人かいたけど、そういう性…

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文学部の大学生が今年度図書室で借りた雑多な本たち

今回は、春から大学三年生になる僕が、2年生の間に借りて読んだ本を取り上げていきたいと思います。 〇今年度読んだ本の傾向 1年生のころは、実用書や授業に関係ある資料…

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僕はデンジになりたかった 藤本タツキ『チェンソーマン』

この間僕は二十歳になった。 昔持っていた自分の大事な部分が段々と消えていき、20歳になって跡形もなくなってしまった。 あんまり難しいことを考えたくなかった。 単純…

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あなたの「時間感覚」に沿った時間術を見つけよう 鈴木祐『YOUR TIME』

今回紹介する本は、鈴木祐さんの『YOUR TIME』です。 この本は「時間に関するストレスを抱えている」「今まで色々な時間術を試したけど、うまくいかなかった」人におすす…

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愉快なエピソードトークとノスタルジーを両方味わえる 向田邦子『父の詫び状』

今回紹介する本は向田邦子さんのエッセイ、『父の詫び状』です。  この本の魅力は「ユーモア」と「なつかしさ」です。   子どものころ見えていた景色や、子ども時代に考…

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宮田愛萌さんは「本を読む楽しさ」を思い出させてくれました

今日は、いつもとは違う記事を書こうと思います。 宮田愛萌さんは元日向坂46のメンバーで、かなりの読書好きとしても知られている方なのですが、宮田さんは僕に「本を読む…

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自分のことを頭がいいと思い込んでしまうあなたへの処方箋、 住野よる『また、同じ夢を見ていた』

今回処方する本は、住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』です。 この本は「自分は頭がいいと思い込み、プライドが高いことで、周囲から孤立してしまう人」におすすめ…

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行動力を上げたいあなたへ、鈴木祐『運の方程式』

行動力を上げたいけどなかなか勇気がでない。そんな人は多いでしょう。僕自身もなかなか行動に移せない人間なので、行ったことない場所に行くのは今でも躊躇してしまいます…

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アイデアや発明に関するおもしろエピソードの宝庫 ジェフ・エメリック『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』

〇この本の内容 この本はイギリスのバンド、ビートルズのレコーディングエンジニアを務めたジェフエメリックの型破りな発想やアイデアに関する、ドキドキが止まらない本で…

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クイズ入門としても良質な小説、小川哲『君のクイズ』

〇この本の内容 〇この本の新たな活用方法 この小説はクイズ入門としても高い質を持っていると思います。 この本を読む過程の中で、クイズの面白さ、裏側、細かなテクニ…

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孤独をテンポよく描く、村上春樹『ノルウェイの森』

孤独をテンポよく描く、村上春樹『ノルウェイの森』

こんなセリフを言ってみたい。

今回紹介する作品は村上春樹さんの『ノルウェイの森』です。

『ノルウェイの森』は様々な人間の生と死、孤独を描いた作品です。
救いようのない寂しさを抱えた人物たちが登場します。

社会にあまり関心を持たず、一人でいることが多い主人公、ワタナベトオル。
幼馴染で恋人だった男、キズキが亡くなり、本当は愛していないトオルをキズキの代わりにしている直子。
ピアノの才能があった

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傷ついた孤独な大人たちの物語 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

傷ついた孤独な大人たちの物語 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

高校生の時に高校の近くの図書館でこの本を借りて読んだ。その当時の僕はひねくれていて、神経質で、「勉強命」という感じの人間だった。友達は何人かいたけど、そういう性格だったから、あまりいい関係は築けていなかったと思う。別にこれでいいと思いながらも、どこかで寂しさややり切れなさを身勝手に感じていた。

そんな時にこの本を読んだ。本というものは、それを読む人によって注目する部分が違い、どこに感動するかも違

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文学部の大学生が今年度図書室で借りた雑多な本たち

文学部の大学生が今年度図書室で借りた雑多な本たち

今回は、春から大学三年生になる僕が、2年生の間に借りて読んだ本を取り上げていきたいと思います。

〇今年度読んだ本の傾向

1年生のころは、実用書や授業に関係ある資料ばかりを読んでいたので、文学から遠ざかっていたのですが、2年生になってからは少しずつ文学を読み始めた感じです。
なので全体的に文学と実用書が混じってる感じですね。 

〇読んだ本

・三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖 ; [1]』

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僕はデンジになりたかった 藤本タツキ『チェンソーマン』

僕はデンジになりたかった 藤本タツキ『チェンソーマン』

この間僕は二十歳になった。

昔持っていた自分の大事な部分が段々と消えていき、20歳になって跡形もなくなってしまった。

あんまり難しいことを考えたくなかった。
単純でいたかった。
子どものままでいたかった。

デンジみたいになりたかった。

こんなに現実と向き合いたくなかった。
こんなに合理的な自分になりたくなかった。

もっと不真面目で
頭がおかしいような人間になりたかった

…….つまらない

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あなたの「時間感覚」に沿った時間術を見つけよう 鈴木祐『YOUR TIME』

あなたの「時間感覚」に沿った時間術を見つけよう 鈴木祐『YOUR TIME』

今回紹介する本は、鈴木祐さんの『YOUR TIME』です。

この本は「時間に関するストレスを抱えている」「今まで色々な時間術を試したけど、うまくいかなかった」人におすすめです。

この本は自分自身の「時間感覚」というものを知り、それに合わせた時間術を実践していくことで、時間に関する悩みを解消していく内容になっています。

では、まず下記のサイトで、自分の「時間感覚」を診断してみてください。

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愉快なエピソードトークとノスタルジーを両方味わえる 向田邦子『父の詫び状』

愉快なエピソードトークとノスタルジーを両方味わえる 向田邦子『父の詫び状』

今回紹介する本は向田邦子さんのエッセイ、『父の詫び状』です。 

この本の魅力は「ユーモア」と「なつかしさ」です。
 
子どものころ見えていた景色や、子ども時代に考えていたことを、大人になった作者の目線で生き生きと描いている作品で、「生活」を楽しんでいる作者の姿が目に浮かびます。

この本を読んでいると、自分の子供時代の風景が蘇ってきました。そのぐらい親近感を感じられる作品です。

例えば、子ども

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宮田愛萌さんは「本を読む楽しさ」を思い出させてくれました

宮田愛萌さんは「本を読む楽しさ」を思い出させてくれました

今日は、いつもとは違う記事を書こうと思います。

宮田愛萌さんは元日向坂46のメンバーで、かなりの読書好きとしても知られている方なのですが、宮田さんは僕に「本を読む楽しさ」を思い出させてくれました。

僕は大学受験が終わり、「やっと解放された」と思ったら、燃え尽き症候群になり、何をするにしてもやる気がおきず、好きだった読書もしなくなっていました。

しかし、元々推していた宮田さんが薦めていた本を、

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自分のことを頭がいいと思い込んでしまうあなたへの処方箋、 住野よる『また、同じ夢を見ていた』

自分のことを頭がいいと思い込んでしまうあなたへの処方箋、 住野よる『また、同じ夢を見ていた』

今回処方する本は、住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』です。

この本は「自分は頭がいいと思い込み、プライドが高いことで、周囲から孤立してしまう人」におすすめの本です。

主人公である小柳奈ノ花は頭が良く、おませな女の子であり、それを鼻にかけてクラスメイトを下に見てしまい、そのことにより、クラスで孤立していました。そんな奈ノ花が、夜の仕事をするアバズレさんや手首に傷がある南さん、とても親切なお

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行動力を上げたいあなたへ、鈴木祐『運の方程式』

行動力を上げたいあなたへ、鈴木祐『運の方程式』

行動力を上げたいけどなかなか勇気がでない。そんな人は多いでしょう。僕自身もなかなか行動に移せない人間なので、行ったことない場所に行くのは今でも躊躇してしまいますし、読んだことのないマンガを買うのはドキドキします。

しかし、最初に挙げた文章からわかるように、好奇心があり、様々な物事を行動に移せる人は天才になれるのです。

鈴木祐さんの『運の方程式』は科学的な観点で運を良くする方法を紹介している本な

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アイデアや発明に関するおもしろエピソードの宝庫 ジェフ・エメリック『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』

アイデアや発明に関するおもしろエピソードの宝庫 ジェフ・エメリック『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』

〇この本の内容

この本はイギリスのバンド、ビートルズのレコーディングエンジニアを務めたジェフエメリックの型破りな発想やアイデアに関する、ドキドキが止まらない本です。
レコーディングエンジニアは、簡単に言えば、ミュージシャンが求めているサウンドを作る仕事です。

〇この本の新たな活用方法

この本はビートルズファンにとっても面白い本なのですが、単純に「面白い発明やアイデアを実行し続けた男の物語」と

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クイズ入門としても良質な小説、小川哲『君のクイズ』

クイズ入門としても良質な小説、小川哲『君のクイズ』

〇この本の内容

〇この本の新たな活用方法

この小説はクイズ入門としても高い質を持っていると思います。
この本を読む過程の中で、クイズの面白さ、裏側、細かなテクニックなどを学ぶことができます。
クイズ好きな人が、クイズの楽しさを友達に伝えたい時にも、役に立つと思います。

また、この本はクイズプレイヤーとして活躍されている伊沢 拓司さんの著書、『クイズ思考の解体』『東大生クイズ王・伊沢拓司の軌跡

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