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ノンバイナリーの妊活

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ノンバイナリー(男女のいずれにも属さない性自認)の週末ひさこが妊活について考えるマガジンです。ノンバイナリーに関することを綴っていきますので、よかったらお付き合いください。最近は… もっと読む
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記事一覧

「私のこと、奥さんって呼ぶのやめてもらってもいいですか?」

「私のこと、奥さんって呼ぶのやめてもらってもいいですか?」

 結婚指輪というものを買っていなかったが、私がプロポーズのときにもらった指輪と同じデザインをあなたもつければいいじゃんという話になり、新宿伊勢丹に買いに行くことになった。というのも、今月私に臨時収入があり(過去に作った本が重版した)今買わないとまとまったお金が今後いつ入るかわからないという、とても不安定な理由で本日買いに行くことになったのだ。相変わらずいつもギリギリを生きている。

 実は先週に下

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【男女二元論の世界で】ノンバイナリーの妊活⑤

【男女二元論の世界で】ノンバイナリーの妊活⑤

「私が何者でもない世界」への憧れが漠然とある。ジャッジをされない世界へ行きたい。

 弟夫婦に子どもが生まれた。ネット上で調べ物をすると、「男の子向け」「女の子向け」の文字が踊り、その人のジェンダーアイデンティティが見つかる前に、こっちでピンクやブルーのものを決めて渡すことが、ものすごく暴力に感じる。個人的な感想だが、海外でよく見る「ジェンダー・リビール・パーティ」を見るたびに少しずつ心が削られる

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結婚を辞めたいノンバイナリーの私/結婚を続けたいパートナーの決断

結婚を辞めたいノンバイナリーの私/結婚を続けたいパートナーの決断

 やってみないとわからないことがある。聞いてみてよかった楽曲もあるが、観て後悔する映画もある。それらを判断するのは難しい。それでもできるだけ後悔しないために考えを巡らせ、あらゆるパターンを想定し尽くしての決断をしたい。本当は、それが望ましいけれど、まいにちそう簡単にはいかない。

 私は、「結婚」してみないとその窮屈さに気づかなかった。もう他の人と恋愛やセックスができなくなるとか、そういう部類の

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【ノンバイナリーの妊活④】子どもがいることが豊かな人生?

【ノンバイナリーの妊活④】子どもがいることが豊かな人生?

 あるラジオで、「進んで子供のために何かをできる幸せを、子供から得られて感謝しています。親という立場で、子供を通して広がっていくつながりによって、人生が豊かになります」と五木ひろしさんが言っていたんです、と出演者が話していた(MCの方が五木ひろしのエピソードを紹介していたので)

 豊かな人生を送るためには子供を産まなればならない、とまでは言われていないが、そういう無言の圧力は感じるのだ。だから私

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性を消す(7月23日の記)

こんなに生きた心地がしなくなること、最近あんまりなかったからなあ。朝からひとりでとりあえずパンケーキを焼き、あえて明るい人たちのYouTubeを流ながら、できるだけ負の方向に流されないようにしながら、そういえば暗い気持ちのときは書くとが良いんだよなあと思い出しパソコンを広げた。

「自分の傷つけ方」と何度も調べて、その度に出てくる「いのちの電話」の電話番号を薄目で、バカにしながらスクロールする。「

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【やめちゃえば?】ノンバイナリーの妊活③

【やめちゃえば?】ノンバイナリーの妊活③

そんなに妊娠したくないんだったらしなきゃいいのに。私もそう思う。じゃあ、産まないで二人で行きていけばいいのでは?私も思う。でも、できない。踏ん切りがつかない。

自分が妊娠・出産を前向きに享受できない理由を整理してみます。ノンバイナリーに限らず、思うことを。

①10代で経験した子宮外妊娠のトラウマ前にも書いたが、未婚時の10代後半に子宮外妊娠の経験がある。レイプや性被害とかではなく、もちろん避妊

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子どもを産みたい、産みたくない

子どもを産みたい、産みたくない

昨年8月に結婚したので確か11月だったと思う、もう避妊しないでもいいんだねと夫と話をしたのは。“セックスの結果”に伴い、“子が生まれ”ても、社会的にも許される。

今29歳の私。妊娠するなら早いほうがいい、とどんな人からも言われるからたぶんそう。それに私にはハンデがある。卵管が一本ない。だからなおさら子どもを産みたいのなら急がないといけない。でも、怖い。本当に子どもがほしいのか?と自分に問うと、即

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女であることがたまらなく嫌になったアラサー妊活女が性自認について考えた

女であることがたまらなく嫌になったアラサー妊活女が性自認について考えた

昨年結婚し、妊娠出産を考えるタイミングになったのをきっかけに自分の性自認について悩み始めました。夫(男性・シスジェンダー)のことは大好きで、夫との子どもはほしいのですが、自分が「女」であることを強く認識するような妊娠や出産、子育てに違和感が出てきました。



先日こんな記事を書きました。私は子どもを産みたいのだけど、産みたくないというように気持ちが揺らいでいました。

夫と相談しました。「私の

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揺れる日々、妊活とフリーランス

揺れる日々、妊活とフリーランス

30歳を目前に控え、私は、子どもを産むかどうかを迷っている。
夫と話し合った結果、「考えは毎日揺れていいよね」というひとつの着地点を見つつある。だから、揺れる日々を記録していこうと思う。

私の悩みは、子どもはほしいけれども妊娠や出産などを経験したくない、その理由は「女であること」を強く感じてしまうから、というものだ。また、私は少しだけ、自分がXジェンダーではないかということを疑っている。

↓前

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妊活リセット、奴が来た

妊活リセット、奴が来た

 今日、奴が来ました。生理です。あんなに産みたい・産みたくないで悩んだり、女でいるのに嫌気がさしたとセクシュアリティのことで悩んでいたくせに、わたしはうかつにも「もしかしたら?」と心配するような夜を、今月過ごしていたのです。すごく無責任だと思い、ずっと反省してきました。

 奴が来たのは正確には昨日のよる、真夜中。夫がzoomで飲み会をしていたので私は別室で映画を観ていて(ちなみに『インビクタス/

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【子供を産みたい?産みたくない?】ノンバイナリーの妊活②

【子供を産みたい?産みたくない?】ノンバイナリーの妊活②

▼前回はこれを書きました

 今、自分の感覚はノンバイナリーというアイデンティティがいちばんしっくりきている。男・女という従来の二元的な枠組みに自分を当てはめたくない。「女らしく」と言われるのも、スカートを履くのも最近は嫌。性別関係なくただ自分という存在でいるだけ、という感覚が強い。

 子どもを産むには性行為が必要。でもその性行為をするには、あたしは挿れられるほうだから、自分を女だと強く認識しな

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【射精がこわい】ノンバイナリーの妊活①

【射精がこわい】ノンバイナリーの妊活①

 結婚を機に性自認について考え始めてモヤり、はや1年以上。そろそろ30歳になる。「子どもを持つ・産む・持たない」ことは悩み続けており、できればもうこんなこと考えたくはないくらいところまで悩んでいる。

 疲れている。愛とか、母とか、子宮とか、親になるとか。もう聞きたくないくらいにはへとへとで、本音を言えばもっと悩む時間がたっぷりほしい。自分のペースで悩みたいが、それでは肉体は待ってくれない。あたし

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