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エッセイストになりたいねん

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自分の人生や日々の生活に起きたことをエッセイにしています。
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#海外

ブラとおばさんと私 〜ロンドンのコインランドリーで起きた珍事〜 (#キナリ杯 応募用)

ロンドンに住んでいた時のことである。私の下宿先には洗濯機が無かった。いや、正確には洗濯機自体は存在していたのだが(それも部屋の目の前にあるバスルームに)、同居する大家さん以外は使えない決まりで、私は仕方なくコインランドリーに通っていたのだった。お風呂やトイレを使うたび、その場に鎮座する洗濯機が視界に入り、こんなにも近いのにこんなにも遠い…と、恨めしげな目をしていたが、それも今となっては良い思い出で

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「好きな音楽を誰とも共有できない悩み」 #洋楽好きnoteユーザーあつまれの会

「好きな音楽を誰とも共有できない悩み」 #洋楽好きnoteユーザーあつまれの会

数日前まで、noteではハッシュタグ企画「#いまから推しのアーティスト語らせて」が開催されて大変盛り上がっていた。

面白い企画だなぁと思った一方、私は即座に投稿することを諦めてしまった。それはなぜか。

カーペンターズ。
キャロルキング。

彼らは私の敬愛してやまないミュージシャンだけど、そんな彼らについて語ったところでどうせ誰も読まないだろうな、そう思ったからだ。

カーペンターズとキャロルキ

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革命のエチュードを聴きながら【ショパンの故郷ポーランドをたずねて】

革命のエチュードを聴きながら【ショパンの故郷ポーランドをたずねて】

ショパンの話をしようとすると、いつも胸がいっぱいになってしまって、何から話したらいいかわからなくなってしまう。だからこの文章もどう頑張ったってムチャクチャになる。それでも想いの1/10でも記せたら良いのかなと思って書いてみることにする。

私にとって、ショパンは私のもう一つの心であり、理解者であり、気が合う人でありながら、偉大なる作曲家でもある。

クラシックの演奏はイタコに似ている。音を書き残す

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アイスランドの朝焼けと、いつもの部屋の夕焼けと。

アイスランドの朝焼けと、いつもの部屋の夕焼けと。

世の中にはありとあらゆる楽しいものや綺麗なものが溢れているけど、空ほど面白いものはないと思う。ふと見上げた空の美しさにもハッとさせられるけど、「さあ空でも見るかな」と腰を据えて何十分もじっくり眺めると、これはもう何物にも変えがたい見応えがある。

雲は流れたり止まったりして姿形を変えて、太陽は少しずつ傾いていつの間にか朝は昼になり、昼は夕方になり、夕方は夜になっている。そのうち月が現れて、「今日は

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おやつこそ人生の喜び 〜焼き菓子とほうじ茶ミルクティーの不思議な関係〜

おやつこそ人生の喜び 〜焼き菓子とほうじ茶ミルクティーの不思議な関係〜

昨日のおやつが美味しかったから今日もまた幸せでいられるし、今日のおやつが美味しかったから明日もまた幸せでいられるんだろうな。

というくらいに最近おやつが生きがいになっている。毎日それはもう単調な生活を送っているので(しかしそれを気に入ってもいる)、朝起きてから晩ごはんまでのちょうど狭間、午後4時を過ぎたくらいに食べるおやつはこれ以上ないくらいに美味しく感じる。1日の中間地点に何か一つ楽しみを設け

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フィッシュアンドチップスの日 〜イギリス料理のおもいで〜

フィッシュアンドチップスの日 〜イギリス料理のおもいで〜

今日の晩ごはんはフィッシュアンドチップスだった。いろいろと偶然が重なり、さらには私のわがままを聞いてもらった結果訪れた幸運である。幸運の女神はこういう思いがけない場面で突然微笑んでくるのだ。私は突然の微笑みに心躍らせながら買い出しから母が帰って来るのを待っていた。今日はフィッシュアンドチップスだ!

フィッシュアンドチップスとはイギリス好き的には言わずと知れたブリティッシュソウルフードで、どんな食

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サナトリウム生活からコンテスト受賞までの1年間。 #noteでよかったこと

サナトリウム生活からコンテスト受賞までの1年間。 #noteでよかったこと

私事ではありますが、この度4月24日をもちまして無事、「外に出なくなって1年目♡記念日」を迎えることができました。「外に出なくなって」とは文字通りそのまんまで、なんとこの私、1年間、家から一歩も外に出ていないのです。そう、ただの一歩たりとも!!!!

1年も外気に触れないなんて、こんな経験なかなか出来るものではありません。

ここはサナトリウムか?隔離施設か?ジブリ映画の世界か?私は菜穂子か?もう

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イギリス紅茶実習|note✕午後の紅茶「#紅茶のある風景 投稿コンテスト」 準グランプリ受賞作

イギリス紅茶実習|note✕午後の紅茶「#紅茶のある風景 投稿コンテスト」 準グランプリ受賞作

初めて紅茶を飲んだ時のことは覚えていない。記憶の一番深いところにあるのは、小さな頃のお祝いの食事風景だ。誕生日やクリスマスの夜、いつもより少し豪華な食卓を囲みながら、冷蔵庫に待ち受けるホールケーキの存在に心を踊らせていた。メインは食事のはずなのに、私の心はいつも食後の方を向いていて、料理を食べ終わるなり、いそいそとケーキをテーブルに置いたものだ。

母が紅茶を入れてくれるので、それをワクワクしなが

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