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その人とその人にまつわるお話
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大輪の花が、あなたに降り注ぎますように。

大輪の花が、あなたに降り注ぎますように。

不慮の事故で、大事な人が、突然この世を去った。

一週間と、一日しか、経っていない。

小さい頃から、血のつながりのない私にも、たくさんの愛をくれた

幼馴染の家族。

幼馴染が心を許し信頼をおいて、自分の人生をかけて守り、守られてきた、たったひとりの幼馴染の最愛の人。

亡くなったと知らせを受けてすぐに会いに行き顔を見たけれど、もう目を開かない、もう声は聞こえない、もう笑うこともない、死んだんだ

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幸せにだって痛みはあることを知っているから

幸せにだって痛みはあることを知っているから

友人から結婚するという報告を受けたり、はたまた違う友人の伴侶と3人で会ったり、そのまた違う友人からは別れたという泣き声を聞いたり、先週はいろいろなお話をきいた。

私の心もたくさん動いた週だったように感じる。

*****

みんなで飲んでいる時、彼と私を見ながら幼馴染が
「私も、2人みたいになれたらいいのに」と
少しとろんとした目で言った。

私が「どんな風に見えているの」と聞いたら
幼馴染は

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違うよ、もっと楽しいことを見つけたの

違うよ、もっと楽しいことを見つけたの

中学生になるまでは健康優良児みたいな体をしていたくせに、中学生から徐々に身体が弱くなってしまった。

最初は精神的なものからくる身体の症状だと思っていたから、きちんと病名を持った先天性だと言われて驚いた。

不思議なことに、身体の症状が顕著に現れる日は精神状態は安定していたように思う。

次第に、学校には好きなときにしか行かなくなった。

いじめられていたわけでもないし授業についていけないわけでも

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冷めきったフライドポテトだって、制服を着ていればおいしかったんだ

冷めきったフライドポテトだって、制服を着ていればおいしかったんだ

年末が近づくと、友人からの連絡頻度が増えて心が少し沸き立つ。

もうじきやってくる仕事の繁忙期に向けて、同棲中の恋人と「今年も乗り越えておいしいもの食べよう」と笑ってグータッチを交わしたり、「年末はいつものメンバーで集まろう」という連絡に早打ちで「もちろん」と返したり、気が引き締まる思いだ。

それぞれバラバラのところに住む幼馴染がみんな一度に集まれるのは、お盆や忘年会くらいのもので、会うたびに成

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待っているだけの私はもういない

待っているだけの私はもういない

保育園に母じゃない誰かが迎えにくると、最初の頃「ママは?」と必ず聞いていた。

15時くらいに多くの子供が親に抱かれて帰るなかで、日が暮れる遅くまで残っている、私と数人の子たちがいた。

その子たちとは他の子たちよりも一緒にいる時間が長いこともあって、自然と仲も深まって幼馴染という仲になり、今でもかけがえのない存在だ。

保育園の先生は大好きだった。

遅くまでいる子しか食べられないおやつがあって

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でも、もう会えないらしいから

でも、もう会えないらしいから

お盆になると、必ず大好きだった母方の祖母を思い出す。幼い頃から今まで、そしてこれからも、私の憧れで、目指す人で、誰よりも尊敬している人。私はずっと、あなたのような女性になりたい。

今でも夢でいいからもう一度会えないかと、話せないかと、何度も願ってしまう。

以前書いた記事を読んでからこの記事を読んでいただけるとスムーズかもしれない。

この記事には祖母が私に宛てた手紙を載せています。

当時私は

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恋にも愛にも、余裕などあってたまるか

恋にも愛にも、余裕などあってたまるか

今の恋人と出会ったのは、私が酔って幼馴染に「今から遊びたい」と真夜中に電話したことがきっかけだった。なぜ真夜中にそんな連絡をしたかというと、当時の恋人とのことで傷心していたから。

私には保育園の頃からずっと一緒にいる幼馴染がいて、男5人、女3人(私を含む)くらいの割合。みんなそれぞれに個性が強くて、それもそのはず、私たち幼馴染の親もかなり個性が強い。そして家族ぐるみで仲が良い。そこに加えてみな酒

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会って話しがしたいんだよ

会って話しがしたいんだよ

いま、すごく会いたい友人がいます。

もう一年半以上会っていないし、私がこれほど会いたいと思っていることをその友人は知らないだろうけど。

ほんとうに会いたいです。

その友人に会うと、全部が腑に落ちるような、そいういう気持ちになれます。東京に住んでいた大学時代、眠れないときにはよく友人のお家にいきました。

私が会いたいと思うのは決まって甘えのような気持ちだけど、それも伝わっている気がするけど、

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死ぬ直前まで誰かの心配をしているような人だった

死ぬ直前まで誰かの心配をしているような人だった

タイトル画像、太陽じゃなくて、月明かりなんですよ。綺麗ですよね。

しばらく前に、大好きだった祖母と小学生のときに文通していた手紙を、実家の部屋で見つけました。

最後の手紙のハンコの日付は、祖母が亡くなる年でした。亡くなるにはあまりにも早く、私たちにとって偉大すぎる存在でした。

祖母は、病気で、家と病院を行き来して戦っていました。

隠してあるところは、祖母が住んでいた地域と、私の兄妹の名前や

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お兄ちゃんの恋人

お兄ちゃんの恋人

東京に住んでいた4年間、お兄ちゃんと2人暮らしをしていた。

わたしにはお姉ちゃんが居ないから、お兄ちゃんの恋人が私に良くしてくれると、姉妹ができたみたいで嬉しかった。

お兄ちゃんの恋人は、賢くて綺麗で良い香りがして、とにかくにこにこしている人。正直、なぜ兄を選んだ、と思うくらいには憧れるような女性。

何度も遊んでくれたし、ご飯も連れていってくれて、誕生日プレゼントもくれて、就職のお祝いもして

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