七月

句座が好き。自分の生活の中での句の背景を残したいと思っています。

七月

句座が好き。自分の生活の中での句の背景を残したいと思っています。

記事一覧

羊蹄やひとりで決めて転居して

昨日は、初めて席題句会に参加した。季語と季語ではない語がその場で出されて、制限時間内に五句出句という趣向で行った。 そもそも句会に参加するのに、いつもその五句が…

七月
5日前
5

パソコンの十指働く昭和の日

ゴールデンウィークに入ったが、町内の自治会の役員でおおわらわだった。家族以外血縁は周囲にいないわけでは、地域は大切と思い、思い切って引き受けてみたのが、一年前。…

七月
3週間前
7

筍の裸体めきたる五六本

我が家の隣の竹藪は市の管理の土地だけれども、筍堀りは大目に見てくれる。自分でも掘ってみるが、根気がないので小さいのしか取れない。 今年も向かいの家のご主人が、ご…

七月
4週間前
3

島旅や進路は鳥の帰る方

少し前に香川県の直島、豊島、犬島を旅行した。現地の友達(会社の元同期)がエクセルで予定表を組んでくれた。 高松や、島と島の間は全て船。バスのように正確に動くから…

七月
2か月前
9

言いさして言わぬ約束早桜

母が入院した。直接の原因はわからない。もともと悪いところが老人ホームに入所して介護体制のミスなどで見過ごされ、症状として出ただろう。折からのコロナやインフルの再…

七月
2か月前
4

鳥雲のフェリーや誰も見ぬテレビ

楽しみにしていた瀬戸内の旅なのだが、あいにくの曇り。午後は雨になるらしい。瀬戸内の島へはフェリーや高速船で行くのだが、前回行ってわかったことは、この島々を巡る船…

七月
2か月前
4

漆嗅ぐことから始む雛飾

私の生まれた街は、かつて大きな城下町で、城を造るために集められた職人がそのまま残り、漆工芸品や下駄などの制作を生業にした人が多い街と言われている。 私が生まれた…

七月
3か月前
8

人憎むこころ一緒に鬼は外

節分でしたね。街は恵方巻きの旗が立ち、何やら一大イベントになりつつあり、それもまた季節の節目を感じる大切な行事と思い、今では楽しんでます。 豆を撒くのは、子ども…

七月
3か月前
5

室咲を一泊二日留守にして

いただいたアマリリスが咲いた。真冬に到着したので、本当にこれから咲くのかと思っていたが、育て方の解説どおりに10日に一度、50ccの水をあげ、約40日で見事に咲いた。 …

七月
4か月前
8

明日は入居支度進まぬ雪催

とうとう母が有料老人ホームに入居することになった。内臓疾患があり通院は欠かせないし、認知症も進んできた。目も悪い。 ホーム入居が決まってから、私はなんとなくモヤ…

七月
4か月前
7

二列目で膝震わせて初写真

昨日は「童子」東日本句座始で、小石川後楽園へ行った。初めての場所だった。 吟行は大の苦手だけれど、数か月前の吟行で、事前に万が一の時のための俳句を作っていったら…

七月
4か月前
7

ほどほどの幸でよけれと年の酒

明けましておめでとうございます。 とはいえ、年始早々の地震の被害に遭われた地域の方々がいることを思うと、寿ぐばかりではいられない気持ちになります。 今年は頑張っ…

七月
4か月前
5

痣もまた生きる証やシクラメン

またケアマネからLINEで連絡が来た。 母をデイサービスの迎えに行ったら転んでいたと。きょうだいからもLINEで連絡が来た。 透析の日の夜に入浴はしてはいけないと言われて…

七月
5か月前
3

冬日さす讃美歌312番

今年12月末で解体が決定している聖堂カトリック清水教会の最後に合わせて準備してきた白い鳥のインスタレーションが完成した。約1700の折鶴が88年間年清水の地に建っていた…

七月
5か月前
3

しぐるるや人なき俳句文学館

今日は、調べものがあって、思い切って大久保にある俳句文学館へ行ってきた。 手書きの図書カードがびっしり引き出しにあり、検索して、申し込み書に読みたい資料を記入す…

七月
6か月前
3

胡桃割る泣きたきことの三つほど

今日はいろんな予定が重なった。 ひとつは地元であった戦争の記録を集めた展示会。九条を守る会の地域支部が集めた資料を見た。空襲を逃げ延びた人の証言もさることながら…

七月
6か月前
6
羊蹄やひとりで決めて転居して

羊蹄やひとりで決めて転居して

昨日は、初めて席題句会に参加した。季語と季語ではない語がその場で出されて、制限時間内に五句出句という趣向で行った。
そもそも句会に参加するのに、いつもその五句ができずに苦労していたくらいだから、即興でできるかしらという不安はあったが、なにか閃くかもしれないという思いも多少はあった。
席題の中に、「羊蹄(の花)」というのが、あった。句会場では写生句はできないから、取り合わせを考えてみたのが、この句。

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パソコンの十指働く昭和の日

パソコンの十指働く昭和の日

ゴールデンウィークに入ったが、町内の自治会の役員でおおわらわだった。家族以外血縁は周囲にいないわけでは、地域は大切と思い、思い切って引き受けてみたのが、一年前。自治会とは何であるか?からの洗礼を受け、担当した仕事に勤しんだ。地域に住む人々の温度差の違うこと違うこと。まして職を辞し、ご自宅にいる方々の自治会への(夢のような)期待、地域を作って来たという自負には頭が下がります。が、結論としては、やって

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筍の裸体めきたる五六本

筍の裸体めきたる五六本

我が家の隣の竹藪は市の管理の土地だけれども、筍堀りは大目に見てくれる。自分でも掘ってみるが、根気がないので小さいのしか取れない。
今年も向かいの家のご主人が、ご近所数軒分の筍を掘って、家の前に並べてくれるのをみんなでいただく。これは見事だ。
話によると、筍には、雌と雄があるらしく、まっすぐなものが雄、少し腰が曲がったのが雌らしい。味も変わるとか。
この日もたくさん掘って並べてくれた。
ありがたい限

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島旅や進路は鳥の帰る方

島旅や進路は鳥の帰る方

少し前に香川県の直島、豊島、犬島を旅行した。現地の友達(会社の元同期)がエクセルで予定表を組んでくれた。
高松や、島と島の間は全て船。バスのように正確に動くから驚く。
船に揺られていると、ただ気持ちがいい。本当はここで俳句を作りたいところだが、頭は眼前の風景だけしか反応せず、空になるというか、海でいっぱいになる。

その友人が、ほら、あれが屋島と何度か行ってくれるが、その屋島は前に見えたり横に見え

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言いさして言わぬ約束早桜

言いさして言わぬ約束早桜

母が入院した。直接の原因はわからない。もともと悪いところが老人ホームに入所して介護体制のミスなどで見過ごされ、症状として出ただろう。折からのコロナやインフルの再流行で、変化を見逃したとも言える。そのことを振り返るのはまた別の機会にしっかりやっておきたい。

入院前も母はかなり認知症が進んでいて、話の辻褄は合わなかった。それでも時々めちゃくちゃまともなことを言う。
ホームに入所して、1か月経った頃に

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鳥雲のフェリーや誰も見ぬテレビ

鳥雲のフェリーや誰も見ぬテレビ

楽しみにしていた瀬戸内の旅なのだが、あいにくの曇り。午後は雨になるらしい。瀬戸内の島へはフェリーや高速船で行くのだが、前回行ってわかったことは、この島々を巡る船はまるでバスのように使われている。そしてバスより渋滞がない分正確なのだ。
船内に入ると、朝ドラがちょうど始まっていたが、遠くて見えない。
確かにフェリーにはよくテレビがついているなあ。毎日利用する人にはいいのかもしれないが、このフェリーを見

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漆嗅ぐことから始む雛飾

漆嗅ぐことから始む雛飾

私の生まれた街は、かつて大きな城下町で、城を造るために集められた職人がそのまま残り、漆工芸品や下駄などの制作を生業にした人が多い街と言われている。
私が生まれた頃もまだ職人さんの家は残り、間口の広い引き戸の玄関から入ると、そのまま板の間があり、そこが今でいう工房で、漆が落ちるためか、その床は黒光りしたでこぼこしてきた。二階に上がる階段は箱階段で、その引き出しも漆塗りだった。入った途端、強い漆の匂い

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人憎むこころ一緒に鬼は外

人憎むこころ一緒に鬼は外

節分でしたね。街は恵方巻きの旗が立ち、何やら一大イベントになりつつあり、それもまた季節の節目を感じる大切な行事と思い、今では楽しんでます。
豆を撒くのは、子どもの頃からのならいですが、その昔、恵方巻きの風習を関西の出張で知ったときには奇習と感じたのも懐かしい話です。

日中、ある会があって、わいわい楽しんでいたのですが、その中に人の好き嫌いが激しく、とても攻撃的な人がいて、何かにつけ、嫌いな人に対

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室咲を一泊二日留守にして

室咲を一泊二日留守にして

いただいたアマリリスが咲いた。真冬に到着したので、本当にこれから咲くのかと思っていたが、育て方の解説どおりに10日に一度、50ccの水をあげ、約40日で見事に咲いた。
なんといっぺんに4輪も。
しばらく部屋で眺めていたいところだが、また介護のために実家へ行く。
今頃どんなふうに咲いているのか、少し気になるが、アマリリスは花期が長いし、そもそも10日に一回の水やりでいいから、安心だ。
母が有料老人ホ

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明日は入居支度進まぬ雪催

明日は入居支度進まぬ雪催

とうとう母が有料老人ホームに入居することになった。内臓疾患があり通院は欠かせないし、認知症も進んできた。目も悪い。
ホーム入居が決まってから、私はなんとなくモヤモヤしてきた。潜在的にやっぱり自宅でしょ、という父の思いや、やはり自分の中に植え付けられた固定観念のようなものがあって、ホーム入居を受け入れられなかったらしい。
しかし、この固定観念は、自分の中から湧いてでたものではなく、父母に植え付けられ

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二列目で膝震わせて初写真

二列目で膝震わせて初写真

昨日は「童子」東日本句座始で、小石川後楽園へ行った。初めての場所だった。
吟行は大の苦手だけれど、数か月前の吟行で、事前に万が一の時のための俳句を作っていったら、却って、大した句ではないのに、それに頼ってしまって、緊張感なく過ごしてしまったので、今回は丸腰で参加してみた。今回は吟行の時間もたっぷりあるのだ。
三句出し三句選。
もちろんぎりぎりまで粘り、不十分ではあるが、前回より楽しめた。何故か?お

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ほどほどの幸でよけれと年の酒

ほどほどの幸でよけれと年の酒

明けましておめでとうございます。
とはいえ、年始早々の地震の被害に遭われた地域の方々がいることを思うと、寿ぐばかりではいられない気持ちになります。

今年は頑張ってnoteの更新の頻度をあげようと思っていましたが、年末から風邪をこじらせてしまい、久しぶりに寝込んでしまったため、それもほどほどに頑張るのがいいかなと思ってるところです。今年も地味に更新していきます。よろしくお願いいたします。

風邪熱

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痣もまた生きる証やシクラメン

痣もまた生きる証やシクラメン

またケアマネからLINEで連絡が来た。
母をデイサービスの迎えに行ったら転んでいたと。きょうだいからもLINEで連絡が来た。
透析の日の夜に入浴はしてはいけないと言われているのに、ケロっと入浴していたと父が言ってたと。
透析をしているかなり呆けた高齢者が自宅で暮らしているんだから、転ぶのも、風呂に入ってしまうのも、いいんじゃあないかと思う。
高齢者の適切なケアという観点で言えば、転んで大腿骨の骨折

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冬日さす讃美歌312番

冬日さす讃美歌312番

今年12月末で解体が決定している聖堂カトリック清水教会の最後に合わせて準備してきた白い鳥のインスタレーションが完成した。約1700の折鶴が88年間年清水の地に建っていた教会の天井に飛翔する。
鶴を折ってくれたのは、高齢者施設の方、コンサートを行う合唱団の方々、コンサート主催者の所縁のある方々。
鶴が飛翔するかのように天井から吊るすのは、教会の保存を目指す有志の方々や高校の同級生たちだ。
信者でもな

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しぐるるや人なき俳句文学館

しぐるるや人なき俳句文学館

今日は、調べものがあって、思い切って大久保にある俳句文学館へ行ってきた。
手書きの図書カードがびっしり引き出しにあり、検索して、申し込み書に読みたい資料を記入すると、書庫から出してくれる仕組み。
もう俳句好きにはたまらない蔵書の数。
静かな閲覧室でページをめくる至福の時でした。

しぐるるや駅は西口東口   安住 敦

安住敦は、ここの創設に尽力し、館長も務められた方。
この句の駅は、田園調布駅。

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胡桃割る泣きたきことの三つほど

胡桃割る泣きたきことの三つほど

今日はいろんな予定が重なった。
ひとつは地元であった戦争の記録を集めた展示会。九条を守る会の地域支部が集めた資料を見た。空襲を逃げ延びた人の証言もさることながら、後の調査で分かった米軍の空襲地域の選びかた、空襲前の予告のビラの投下などの施策。爆弾の使い分けなど。目新しいことではないのだが、今住んでいるところで起こった事実と知ると、特に最近の紛争と重なって、昔のこととは思えなくなった。今が決して平時

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