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大学改革

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#大学改革

「わが子の母校はわが母校!」。支援者を2倍、3倍に増やすかもしれない、関西大学の父母の捉え方・関わり方

「わが子の母校はわが母校!」。支援者を2倍、3倍に増やすかもしれない、関西大学の父母の捉え方・関わり方

前回、「京都橘大学父母の会」の取り組みを紹介し、その熱量の高さと、教職員でも卒業生でもない視点での支援の大事さ、みたいなことを書きました。父母会自体、そこそこニッチなテーマなので、しばらく取り上げることはないだろうと思っていたのですが、まさかの二回連続での父母会ネタです。関西大学の父母会関連の取り組みなのですが、こっちはこっちですっごいです。

日本最大の参加者数を誇る、関西大学の父母会

今回、

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京都橘大学父母の会の企画から考える。教職員とも卒業生とも違う、父母の役割とポテンシャル。

京都橘大学父母の会の企画から考える。教職員とも卒業生とも違う、父母の役割とポテンシャル。

新年度になると100円朝食や100円ランチといった、学生たちの食生活を支援する取り組みをよく目にします。今回、見つけた京都橘大学の取り組みも、そんな食生活支援に関わるものなのですが、ひと工夫あって目を引きました。さらにこの活動の生みの親である、同大学の父母会が個性強めで面白そうなんですね。日頃あまり意識していなかったのですが、学生たちの親もまた、大学の魅力をつくる大事なアクターなのかもしれません。

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全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

大学のブランディング活動を、ものすごく平たく言ってしまうと、その大学がこれまで積み重ねてきたことと、これからやろうとすることを、ターゲットに最も伝わる表現で伝え、浸透させていく営みのように思います。今回、見つけた立命館大学の取り組みは、まさにこれに当たるのですが、他とはちょっと違うんですね。こういった重層的な手法をとれると、より深く、説得力のあるかたちで、社会に大学の価値を伝えられるのかもしれませ

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大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

普段は大学のプレスリリースからnoteのネタを探すことが多いのですが、今回はX(旧Twitter)で見つけた告知を取り上げようと思います。立命館アジア太平洋大学(APU)の前代未聞の非常にユニークな取り組みです。大学が新しいことを模索するのであれば、これぐらいの突飛さや気概が必要なのかもしれません。

「高校生特命副学長」募集というチャレンジ

ではどのような取り組みなのかというと、新高校1・2年

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変化の過渡期だからこそ考えたい。フェリス女学院大が取り組む、学生の発表で問いかける”我々とは何か?”

変化の過渡期だからこそ考えたい。フェリス女学院大が取り組む、学生の発表で問いかける”我々とは何か?”

歯止めのきかない少子化、コロナ禍を経ての学びや学生意識の変化、にわかに高まっている学び直しへのニーズなどなど。大学の置かれた状況が刻々と変わってきているのは、大学関係者でなくても、なんとなく感じている人は多いように思います。今回、見つけたフェリス女学院大学の取り組みは、こういった変化の過渡期だからこそ、より大事になる取り組みだと感じました。大学はどうあるべきかを考えるのは、大学のマネジメント層だけ

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駒澤大学の「Amazonほしい物リスト」の取り組みに見る、大学に寄付文化を根付かせる大きなポテンシャル

駒澤大学の「Amazonほしい物リスト」の取り組みに見る、大学に寄付文化を根付かせる大きなポテンシャル

18歳人口が確実に減ってきているなか、新たな財源をどう確保するかは、すべての大学に共通する悩ましい課題です。今回、見つけた駒澤大学の取り組みは、この課題の解決策の一つとなる「寄付」に関わるものになります。寄付関連のプロモーションに関わるといつも感じていたジレンマが、この取り組みだとうまく解決できそうで、すごく可能性を感じました。

「Amazonほしい物リスト」を使って現物寄付を募る

駒澤大学の

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大学は学び場から、目的を見つけ備える場に変わる?立命館のイベントで感じた、これからの大学がめざす姿。

大学は学び場から、目的を見つけ備える場に変わる?立命館のイベントで感じた、これからの大学がめざす姿。

大学広報というのは、言ってしまえば大学が何をめざしていて、何をやっているのかを伝える活動なわけで、私立大学の場合その根っこにあるのは教育活動になります。そのため、大学関係者とあれこれ話していると、教育は今後どうなっていくのか、という話になることがよくあります。つい最近、縁があって立命館のイベントに参加したのですが、教育の今後を考えるいいきっかけになりました。今回はこれについて取り上げたいと思います

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プラスどころかマイナスになる?立命館の支援制度が伝える、インナーコミュニケーションに足りていない大事な視点

プラスどころかマイナスになる?立命館の支援制度が伝える、インナーコミュニケーションに足りていない大事な視点

社会の先行きが読めなくなり、また変化が早く激しくなってきたことで、自分たちのやるべきこと、やりたいことを見つめ直すことの大切さ、みたいなものが以前に増して重要視されるようになってきた印象があります。大学もインナーブランディングやインナーコミュニケーションの促進に本腰を入れて取り組むところが増えています。私もこういったプロジェクトにいくつか関わらせてもらっているのですが、今回、見つけた立命館大学の取

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大学のリカレント教育に残された道はこれしかない。徹底的に個人に寄り添った”学び直し”について考える。

大学のリカレント教育に残された道はこれしかない。徹底的に個人に寄り添った”学び直し”について考える。

最近、教育未来創造会議の第一次提言について詳しく内容を聞く機会がありました。このなかで「学び直し(リカレント教育)を促進するための環境整備」が、大きなテーマとして挙がっていたこともあり、リカレント教育について改めて考えてみて、何となく自分のなかで整理ができたので、一度まとめてみたいと思います。

まず、本提言でも言及されているのですが、日本人は諸外国に比べて「日本の企業は学ぶ機会を与えず、個人も学

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オンライン授業に必要なのは監視か、信頼か。テレワークとは異なる、オンライン授業ならではの難しさ。

オンライン授業に必要なのは監視か、信頼か。テレワークとは異なる、オンライン授業ならではの難しさ。

オンライン授業が、コロナ後の大学教育にどんな影響を与えるのかは、大学関係者でなくても興味のあるトピックです。今回、取り上げる早稲田大学のニュースは、そんな大学のオンライン授業の今後を考えるうえで、しっかり議論した方がいいもののように感じました。こういったニュースを、大学そして社会がどう受け止め、どうやって未来への肥やしにしていくかが、大学教育を豊かにしていくうえで必須なような気がします。

ニュー

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学費でも、人気でも、偏差値でもない。地方私立大学の公立化で、私たちが注目すべきことを考える。

学費でも、人気でも、偏差値でもない。地方私立大学の公立化で、私たちが注目すべきことを考える。

2月に入って各大学の志願者数を目にする機会も増え、入試シーズン真っ盛りだなと実感しています。今回、取り上げるのはそんな志願者数のニュースで、次年度から公立大学になる徳山大学の志願者数が大幅に増やしたというもの。私立大学の公立化は、時折、メディアでも取り上げられますが、その効果があまりにも一目瞭然でいろいろと考えさせられます。

ニュースのタイトルにもあるように、徳山大学の大学入学共通テストの利用選

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大学を変える鍵は学長にあり。大経大のインナーブランディングサイトから気づいた、学長メッセージの大切さ。

大学を変える鍵は学長にあり。大経大のインナーブランディングサイトから気づいた、学長メッセージの大切さ。

少子高齢化、新型コロナ、急速なICTの発展などなど、世の中の大きな変化は、大学にも直撃しており、これからの時代を見据えて主体的に変化することが、今、大学ではかつてないほどに求められています。では、変化するとしたら、どこをめざして変化するべきなのか、またどのようにしたら学内に変化しようという気持ちが芽生えるのか、といったことが重要な課題になっていきます。この解決の糸口として、インナーブランディングは

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VCは、大学に何をもたらすのか?早稲田大学の決断から考える、資金獲得だけではない大学発VCの役割と可能性。

VCは、大学に何をもたらすのか?早稲田大学の決断から考える、資金獲得だけではない大学発VCの役割と可能性。

大学発ベンチャーキャピタル(VC)は、大学の新たな財源確保の手段として、またイノベーションを産む場として注目が集まっています。これまでは政府が出資して国立大学で設立されるイメージが強かったのですが、私立大学でも慶應義塾大学に続き、早稲田大学で大学発VCが設立されるようです。

いきなり余談なのですが、先日、発売した月刊中央公論2月号に寄稿する記事の執筆のため、数ヶ月前に早稲田大学の田中総長を取材し

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これから支持される学びは、いち大学では成立しない?学びのオンライン化がもたらす、新たな学びの評価軸を考える。

これから支持される学びは、いち大学では成立しない?学びのオンライン化がもたらす、新たな学びの評価軸を考える。

魅力的なオンラインの学びにある2つの共通点オンライン授業という学び方が大学教育に本格的に取り入れられるようになり、なんだかんだでもうすぐ1年が経とうとしています。当初は対面授業の代替として、対面でやってきたことを何とかしてオンラインに置き換えようとする取り組みだったように思います。でも、時間が経ち、学びのコツや特徴がわかるようになってきて、じわじわと内容が変化してきているようです。今回はそんな新し

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