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まいにちノート1

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毎日10分で書く日記です(と言いながら帰り道に30分ぐらい書いてる)。 #毎日更新
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#読書

note生活と読書ジャンルの変化

note生活と読書ジャンルの変化

最近借りる本・読む本の傾向が変わった。

我が家と最寄り駅のあいだに市立図書館があるので、週1以上(娘は週5ペースで)図書館に行く。また、Kindleや書店でもわりとばかすか本を買う。全部精読できていないが、量でインプットする。

これまでも雑食ではあったけれど、8月ごろから、いままであまり手に取らなかった本を手元に置くことが増えた。

いま借りている図書館の3冊。アンソロジー型の短編集と、作家紹

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書評も起承転結でいい

書評も起承転結でいい

本の紹介か読書メモを切り口に毎日更新を続けるべく、作家6人のおすすめ本コラムを集めた『きみに贈る本』を借りてきた。

1冊1編3ページ程度の短い文章。これを読んで、本の紹介文も起承転結でいいんだなと感じた。

ひとによってスタイルは違うけれど、だいたいの流れはこんな感じだ。

起:なぜこの本の話をするのか。

承:この本は何か。

転:なぜこの本がいいのか。

結:この本の話を通じて言いたいことは

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岸本佐知子と文体練習:『居心地の悪い部屋』

岸本佐知子と文体練習:『居心地の悪い部屋』

翻訳家の岸本佐知子さんが編んだ英文アンソロジー『居心地の悪い部屋』を読んだ。不気味な世界観がかなり面白いのだけれど、個々の作品の「文体」のバリエーションにも注目したい。

ポール・グレノン『どう眠った?』は、カギカッコを使わず全編会話文体で通す。意味はちょっと分からないけど比喩がすごい。

どう眠った?
スコットランドの狩猟小屋のように眠ったよ。
丸太の?

ダニエル・オロズコ『オリエンテーション

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ジェットコースターのような幸福感の形容:陳浩基『見えないX』

ジェットコースターのような幸福感の形容:陳浩基『見えないX』

推理小説を読んでいて、その展開の美しさに思わず涙した。

華文ミステリの新星・陳浩基による中編『見えないX』終盤からの引用。

記憶のなかのすべての場面、すべての言葉が、その真相と合致し、符合して、完璧な形を作りあげた。推理小説を読んでいるとき、真相が明かされる瞬間に身体がぞくりとするというけれど、現実で似たような状況に身を置くと、その感覚は言葉にできないほどに強烈だということに僕は気づいた。

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サランデルの冷凍ピザ

サランデルの冷凍ピザ

小説の主人公が食べているものが、不思議と美味しそうに響く。

スウェーデンの国民的ミステリー、スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』シリーズには、ヒロインのリスベット・サランデルが、セブンイレブンで冷凍ピザを買い占めるシーンがある。パン、牛乳、チーズ、冷凍ピザで潜伏を乗り切ろうというんだから相当ジャンクな生活だ(野菜どこいった…?)。

2巻を読んだ勢いで、きょうのお昼はアルプラザで買った冷凍ピザを

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再読『利休にたずねよ』:70代の凄味をめざして

山本兼一さんの直木賞受賞作『利休にたずねよ』2周目を読み終えた。茶の湯の達人・千利休の生涯を「逆から」たどり、原点となったある女性との関係性に焦点を当てていく… というプロットなのだが、とにかく利休の60代〜70代の凄味がはんぱない。鬼のような美への追究と創意工夫。

この作品を通じて気に入った一節がある。234ページ、利休67歳。太宰府へ流される大徳寺の古渓宗陳を送る席でのやりとり。

「人は、

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ビジネス理論書は、ケース(事例)を覚えて読みこなす。

ビジネス理論書は、ケース(事例)を覚えて読みこなす。

クリステンセン『ジョブ理論』を再読した。とても明快で、思考の軸にしたい1冊だ。

こうした「理論」の本は、理論自体をがんばって覚えようとするよりも、例示されているケースをストーリーとして覚えて、そのケースの裏にある解説を思い出す… という読み込み方がいいと思う。

ジョブ理論では、冒頭の『ミルクシェイクのジレンマ』の話が有名だけれど、マクドナルドなどのファーストフード店を通るたび、「人々はシェイク

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娘、クレヨン王国を読み始める

娘、クレヨン王国を読み始める

小さい頃なんども読み返していた福永令三さんの『クレヨン王国』シリーズを、小3の娘がついに読み始めた。

第1巻『クレヨン王国の十二ヶ月』は、2年生のユカちゃんが主人公の旅物語で、総ルビで漢字のバランスもちょうどよく、ぴったりのタイミング。
寝る前に読み聞かせをしていて、長いので途中でおしまいにすると、「えーー続き読みたい!読みたい!」と言って、翌朝早起きしてひとりで続きを読んでいたりする。

作品

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ライムとダンス

ライムとダンス

ジェフリー・ディーヴァーのミステリーは本当に「ひっくり返し」の頻度が高くて飽きない。リンカーン・ライムの『ウォッチメイカー』に続いて、キャサリン・ダンスの『スリーピング・ドール』を読んだ。名作だ。

このシリーズは登場人物の「密集度」が高い。けっこう大人数がまとまって登場する。警察サイドの身内、容疑者サイドの身内。それが裏切り裏切られ、仲間と思えば実は敵、撃つと思ったら撃ってない、「いや、確かにそ

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めくるめく統計地図(カルトグラム)の世界

めくるめく統計地図(カルトグラム)の世界

図書館の新刊コーナーにあった『地図で見るフランスハンドブック』がめちゃくちゃ面白かった。これは、人口分布を加味して面積を補正する「統計地図(カルトグラム)」という技法を駆使して、地図から政治勢力の分布、貧困、産業構造までなんでも可視化しちゃうぞという意欲的なシリーズだ。フランスはあんまり馴染みがないので、同シリーズの「バルカン半島」と「アラブ世界」を早速注文した。(一般的には中国、インド、アメリカ

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お気に入りの書店に本を買いに行く

お気に入りの書店に本を買いに行く

『未明02』に出会ってから突如「お気に入りの書店」に格上げされた四条河原町『メリーゴーランド京都』に今日も行ってきた。めあては前回見送ったレベッカ・ソルニットの『ウォークス』。

『災害ユートピア』で名前を知っていたソルニット。最近よく仕事中の切り替えで散歩したり、娘と近所を歩いたりするので、「歩くことの精神史」というテーマはいいなと思った。「いろんなことが書いてあっておもしろそう」という浅い選択

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ファシリテーションに関する図書館散策メモ(2/10)

ファシリテーションに関する図書館散策メモ(2/10)

昨日のnoteからの流れで、ファシリテーション/ワークショップ関連の本はないかなーと思って京田辺市立図書館に行った。

まず、2007年に出たワールドカフェの古典を書庫に発見。ゼロ年代後半に、一通りこの手の手法本が出ていたように思う。ワールドカフェという手法がよく使われるようになったのも2010年近辺ではなかっただろうか。

続いて、英治出版から「ホールシステム・アプローチ」の解説書。組織変革系で

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noteで出会った読書:『ベルリンは晴れているか』

noteで出会った読書:『ベルリンは晴れているか』

深緑野分さんの直木賞候補作、『ベルリンは晴れているか』を読了した。とても面白くて、一週間ぐらい続けて一息に読んだ。

この本との出会いは、たぶんnote編集部のおすすめに入っていた、著者・深緑さんのこのnoteだ。これがなかったら、読まなかったかもしれない。

私は「現代の日本人が戦後のベルリンを」、真藤さんは「現代のヤマトが戦後のウチナーを」書いた。
自分が体験していないことに魅力と語るべき物語

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読み聞かせ『ポラーノの広場』

読み聞かせ『ポラーノの広場』

新幹線で東へ向かう車中、Kindleに入れた『宮沢賢治全集283作品→1冊』から、ポラーノの広場を娘に読む。

あのイーハトーヴォのすきとおった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市…

フォント見本でおなじみのこのフレーズ。見覚えはあっても話の筋を知る人は少ないのではないか。

この作品は、役所勤めの主人公が、百姓に仕えるファゼーロ、羊飼いのミーロと一緒に、伝説の「

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