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【いっしょに〝記紀〟を旅しよう!】
はじめに
今年の大河ドラマ「光る君へ」で脚光をあびる紫式部ですが、「源氏物語」を書いた時、人びとは、式部は「日本紀」(日本書紀)をよく読み取られたと感心してほめたそうです。
ご存知のように【記紀】とは「古事記」「日本書紀」をあわせた総称で、「古事記」は712年、「日本書紀」は720年に奏上された歴史書。特に「日本書紀」は六国史の第一にあたる我が国最古の正史です。
私は歴史が好きで、特に国
ニギハヤヒの伝承地を訪ねる⑨ 伊香色雄命と肩野物部氏
『新撰姓氏録』記載の物部氏関連氏族は約100氏族。その半数が祖神とする饒速日命六世孫 伊香色雄命。
今回はその伊香色雄命ゆかりの地と肩野物部氏について考えます。
前回の石上神宮の話しの続きですので、よろしければそちらもご覧ください。
伊香色雄命の邸宅跡
「ひらかたパーク」に隣接する大阪府枚方市伊加賀町。その高台にある宮山という場所は、かつて伊香色雄命の邸宅と伝わる意賀美神社がありました
オススメの社寺⑥ 気比神宮と常宮神社
今回は、北陸新幹線の延伸で注目の福井県敦賀市にある気比神宮と常宮神社をオススメします。
都怒我阿羅斯等
『日本書紀』第11代垂仁天皇の巻に、先代崇神天皇の時、額に角の生えた都怒我阿羅斯等が当地にやってきて、それが角鹿つぬが(敦賀)の地名の由来となったことが記されます。
仲哀天皇と神功皇后
次に『日本書紀』に当地が登場するのは仲哀天皇の巻です。「(仲哀天皇)2年1月11日、気長足姫尊(古
第16話 大和平定と妄想話し
神武東征の旅第16話 大和平定
長髄彦を倒した皇軍は、その後、帰順しない新城戸畔、居勢祝、猪祝の邑を攻めます。地図で確認しましょう。三か所の伝承地と大和の主な弥生遺跡をマークしています。地図で見ると磐余を中心として周辺の邑(遺跡)は既に帰順していて、今回登場するのは一番離れた場所の部族という感じです。
前回の記事で書きましたが、こうして見ると長髄彦との決戦地が生駒ではやはり違和感ありま
ニギハヤヒの伝承地を訪ねる⑧ 石上神宮
前回、物部氏の総氏神と言われる石上神宮に祖神 饒速日命が祀られていないと書きました。今回はなぜ饒速日命が祀られていないのかを考えてみようと思います。
ご祭神ですが、石上神宮にしか祀られていない神様 布都御魂大神と布留御魂大神。「つ」と「る」一字違うだけでややこしいですけど、意味を知るとを納得できると思います。
布都御魂大神
〝記紀〟神話の国譲りの段で 武甕雷神(古事記は建御雷神)と経津
オススメの社寺⑤ 室生寺と龍穴神社
近代(明治時代後半)まで女人結界が定められ、女性が参拝できなかった高野山。そんな時代にあっても祈りを届けたいという女性たちの願いを聴いた「女人高野」と呼ばれるお寺がありました。
「高野山にはの、女は入れへんがのう、この慈尊院までは上がれるんやしてよし。そやよってに、ここは女人高野と云うんやして。花は知ってたわの」有吉佐和子著『紀の川』冒頭に描かれる万年山 慈尊院の他に、妙法山 阿弥陀寺、不動坂
ニギハヤヒの伝承地を訪ねる⑦ 磐船大神社と鴨習太神社
これまで主に生駒山地の伝承地を訪ねてきましたが、生駒山地は大和川で区切られ、その南は金剛山地となります。金剛山地は明神山、二上山、岩橋山、葛城山、金剛山などから構成され、中でも葛城山は古代、葛城襲津彦を祖とする葛城氏の拠点であり、それよりもっと前の時代は、鴨氏や神武東征の論功行賞で葛城国造となった剣根命、そして尾張氏の本拠でもありました。
生駒山地と違い、金剛山地には饒速日命の伝承地はほとん
第14話 宇陀② 忍坂大室の巻
神武東征第14話 宇陀その2 忍阪大室の巻
神武天皇が、八十梟帥をどう打ち破れば良いか思い悩んでいたところ、夢に天神が現れて「天香具山の土で平瓦80枚とお神酒を入れる瓶子をつくって天神地祇を祀り、身を清めて呪詛せよ」と告げます。
さっそく椎根津彦と弟猾に天香久山の土を取りに行かせます。
天香久山
大和三山(畝傍山、天香久山、耳成山)の一つ。天から降り来た山とも言われ、香久山の土には霊力・
オススメの社寺④ わが国最古の神社 大神神社
今回は、わが国最古の神社 大神神社です。
第10代崇神天皇の御代、疫病が流行し人民の半数以上が死んで世の中が乱れました。その時に天皇の夢に現れた神が「私の子(子孫) 大田田根子に私を祀らせれば、たちどころに平穏になる」と仰せられ、茅渟県の陶邑(大阪府堺市)で大田田根子(三輪君の始祖)を見つけだし、大物主神を祭る祭主とした」と日本書紀は記します。
※ 『古事記』は「意富多々泥古」 『大神神社』
ニギハヤヒの伝承地を訪ねる⑥ 水神と風神と、妄想話しと
今回はご祭神として祀られている広瀬大社を訪れました。
主祭神 若宇加能売命
相殿に 櫛玉命(饒速日命)
穂雷命(カグツチ)
社家の樋口氏が物部氏の末裔ということで相殿に櫛玉命(饒速日命)が祀られています。社家邸宅内にも境外末社 饒速日命社があるそうです。
丁未の乱で蘇我馬子・聖徳太子に敗れた物部氏は、祖神 櫛玉饒速日命を祀るのに、饒速日命の名を消し尊称だけにして櫛玉命として
第13話 宇陀の巻① 「国の始まり大和の国 郡の始まり宇陀郡 村の始まり穿邑」
神武東征の旅第13話 宇陀の巻その1
「国の始まり大和の国 郡の始まり宇陀郡 村の始まり穿邑」
という古誦があります。宇陀郡は奈良県宇陀市、穿邑は現在の宇陀市菟田野宇賀志です。
宇賀志の血原
〝記紀〟を要約したような内容でして、短いのでこちらがわかりやすいかなと思い引用しました。
この時の勝利の宴で「久目歌」が歌われました。
宇菟の高城
久米歌にも登場した、皇軍の休息に築いたといわれる、
ニギハヤヒの伝承地を訪ねる⑤ 桜井市外山と等彌神社
奈良県桜井市外山 〝外山〟何と読むかご存知ですか?
「とび」です。
外山地区には、宗像神社や桜井茶臼山古墳などがあります。
前回の生駒市に鵄邑伝承地がありました。字は違いますが、こちらにも鵄(金鵄)に関する伝承があるのでしょうか?
と思ったのですが、こちらの地名は、大和猿楽 外山座(後の能楽 宝生流)が当地を拠点としたことに由来するもののようです。
そして今回の本題の鳥見山があ
第12話 吉野の国つ神の巻
神武東征の旅 第12話 吉野の国つ神の巻
皇軍は八咫烏の先導で紀伊山地を越え、吉野から宇陀に入ります。
『古事記』は、吉野川の河口に着き、最初登場するのは贄持之子、次に井氷鹿、次に岩押分之子、そして宇陀へ入ります。
『日本書紀』は逆で、まず最初に宇陀に着き兄猾を討ちます。その後に吉野を巡幸され、井光、石押分之子、苞苴担之子の順で登場します。
〝記紀〟共に、石押分之子と井光(井氷鹿)は尻尾