西村 文

日本の地名と風景をこよなく愛するartist。 ❝そこはか❞となく綴る地名のエッセイと…

西村 文

日本の地名と風景をこよなく愛するartist。 ❝そこはか❞となく綴る地名のエッセイと風景画集です。

記事一覧

ある地名の風景

”骨通り”という街角 kotsudori その昔、江戸には鈴ヶ森、小塚原という 二つの刑場がありました。 鈴ヶ森は今の品川区南大井、小塚原は荒川区南千住。 現在はどちら…

西村 文
2日前
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ある地名の風景

小豆沢の崖に咲く躑躅 azusawa-3 ずっと小豆の話ばかりでしたが 小豆と言えば、妖怪”あずき洗い”を思わずにいられません。 徳島生まれの友人。 子供のころに帰りが…

西村 文
8日前

ある地名の風景

新緑の参道ー小豆沢神社 azusawa-2 連休だっていうのに地名の話~?辛気臭ー そんな声が聞こえてきそう。 まぁ、その気持ちもわかりますが(笑) 前回お話しした「小豆…

西村 文
2週間前
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ある地名の風景

小豆沢の昼下がり azusawa ここは東京の板橋区と北区の境界を流れる新河岸川の河畔。 とても天気が良く、日差しはちょっと強いのですが 乾いた風が心地よい日です。 …

西村 文
3週間前

ある地名の風景

桜散る、おとめ山の緋鯉 otomeyama 神奈川の箱根に”乙女峠”という地名があります。 昔、バイク乗りの友人が、週末になると 「乙女峠をせめる」なんて話していました…

西村 文
1か月前

ある地名の風景

落合の夜桜 ochiai ここは妙正寺川流れる 西武新宿線下落合駅の近く。 ちょっと前に 新宿区の中井の回で”落合”に触れました。 落合という地名は特に珍しくもなく全…

西村 文
1か月前
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ある地名の風景

雪谷の円長寺に紅い花 yukigaya-2 もうすっかり春だというのに 雪の話で申し訳ありません(笑) 大田区の”雪谷”といい、鎌倉の”雪の下”といい なんとも情緒あふれる…

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1か月前
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ある地名の風景

池上線に揺られながら今日も帰る私なの-雪谷 yukigaya もうずいぶん前、「池上線」という歌がありました。 タイトルはその一節。 5~6年前、これを歌う西島三重子さ…

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1か月前
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ある地名の風景

久が原の道、色・ホワイトブレンド kugahara-2 絵はポップだし タイトルもどこかで聞いたよーな・・まぁ、春ですから(笑) この道は久が原の住宅街です。 碁盤の目状の…

西村 文
1か月前
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ある地名の風景

久が原に春風舞う kugahara ここは大田区久が原の小さな公園。 心地よい風とちょっと眩しい日差しはもうすっかり春。 平日のせいか、 走り過ぎる池上線のほかは何とも…

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2か月前

ある地名の風景

妙正寺川にたなびく-中井 nakai 練馬に用事があり、その帰りに大江戸線の中井で途中下車。 こんな風景に出会いました。 とはいっても、「染の小道」なる年に一度の…

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2か月前

ある地名の風景

春まだ遠し鬼子母神ー雑司が谷 zoshigaya-2 雑司ヶ谷鬼子母神の境内には 都内でも一二を争うイチョウの巨木があります。 私もいろいろ見てきましたけど、あれは見事で…

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2か月前

ある地名の風景

雑司が谷の千登世橋 zoshigaya 江戸っ子の言葉遊びに 「恐れ入谷の鬼子母神」というのがあります。 「恐れ入りました」を 地名の入谷(台東区)に引っ掛けたシャレです…

西村 文
2か月前
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ある地名の風景

新井薬師に陽のあたる午後 arai ここは東京中野区にある新井薬師。 西武新宿線にその名の駅があります。 ちょっと聞くと 足立区にある西新井大師と間違いそうになるの…

西村 文
3か月前
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ある地名の風景

代官山のふたり daikan-yama-2 なんだか頭も足元もヘン? 実はこの”ふたり”、路地裏に並べてあったマネキン・・ ではなく、洋服スタンド。 代官山にはこんな小さなシ…

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3か月前
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ある地名の風景

代官山に冬色の・・ daikan-yama 最近のニュースで 東京の昭島市に”代官山”という町名が誕生する・・ そんな話を聞きました。 「渋谷の代官山に比べられて恥ずかし…

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3か月前
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ある地名の風景

”骨通り”という街角 kotsudori

その昔、江戸には鈴ヶ森、小塚原という
二つの刑場がありました。

鈴ヶ森は今の品川区南大井、小塚原は荒川区南千住。
現在はどちらも史跡となり、お寺の敷地です。

時代劇で聞くくらいで
どちらも行ったことはなかったのですが、
ちょっと前に知人から
「南千住に”骨通り”(こつどおり)という道がある」
そんなことを聞きました。

歴史が歴史だけに、いか

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小豆沢の崖に咲く躑躅 azusawa-3

ずっと小豆の話ばかりでしたが
小豆と言えば、妖怪”あずき洗い”を思わずにいられません。

徳島生まれの友人。
子供のころに帰りが遅くなると
「”あずき洗い”に連れていかれる」と親に言われたそう。

それから小豆といえば
”あずきバー”で有名な井村屋。

実は井村屋のホームページに、小豆の語源について
こんな記事がありました。

「「あず」「あづ」は

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新緑の参道ー小豆沢神社 azusawa-2

連休だっていうのに地名の話~?辛気臭ー
そんな声が聞こえてきそう。
まぁ、その気持ちもわかりますが(笑)

前回お話しした「小豆が流れ出た」という
”小豆沢”についての説話ですが、
その他にもいくつか地名の起こりを伝える話があります。

・飢饉の年に小豆が流れ着き村名とした。

・洪水の時に米が流れ着き、村人は腐らないうちに
小豆を入れて赤飯にし

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小豆沢の昼下がり azusawa

ここは東京の板橋区と北区の境界を流れる新河岸川の河畔。
とても天気が良く、日差しはちょっと強いのですが
乾いた風が心地よい日です。

対岸が北区、こちら側は板橋区。
そして私が立っているのは”小豆沢”という町名です。

”小豆”と書いて「あずき」ですが
町名は”小豆沢”と書いて「あずさわ」です。

新河岸川は荒川の支流として江戸時代からあったらしいのですが

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桜散る、おとめ山の緋鯉 otomeyama

神奈川の箱根に”乙女峠”という地名があります。
昔、バイク乗りの友人が、週末になると
「乙女峠をせめる」なんて話していました。

”乙女”が付く地名は全国にあります。
栃木の小山市・大分の宇佐市に”乙女”、
滋賀の高島市に”乙女ヶ浜”、山梨の牧丘町に”乙女高原”、
奈良の河合町に”乙女山古墳”・・・

若い女の子を連想しがちですが
この”乙女”い

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落合の夜桜 ochiai

ここは妙正寺川流れる
西武新宿線下落合駅の近く。

ちょっと前に
新宿区の中井の回で”落合”に触れました。

落合という地名は特に珍しくもなく全国にあります。

川や道の合流点につく地名ですが
新宿の落合は神田川と妙正寺川が落ち合っています。

知ってはいたのですが
どこで合流するのか実際に見たことがなく、
今回確かめてみました。

しかしなんと、現在の合流点は

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雪谷の円長寺に紅い花 yukigaya-2

もうすっかり春だというのに
雪の話で申し訳ありません(笑)

大田区の”雪谷”といい、鎌倉の”雪の下”といい
なんとも情緒あふれるきれいな地名です。

語源や由来がどうであろうと
これはこれで、地名の魅力だと思うのです。

もちろん文字のきれいな地名ばかりではありませんが
どうしても漢字の持つ意味が
その土地を印象づけてしまいます。

昨年でした

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ある地名の風景

池上線に揺られながら今日も帰る私なの-雪谷 yukigaya

もうずいぶん前、「池上線」という歌がありました。
タイトルはその一節。

5~6年前、これを歌う西島三重子さんが
「小室等の新・音楽夜話」に出演されていて
久しぶりに聴きました。

まぁ、分かる人には分かる、懐かしい人には懐かしい(笑)

ここは池上線雪が谷大塚駅のあたり。
小田急線や京王線などと違い池上線は3両編成。
なんだか

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久が原の道、色・ホワイトブレンド kugahara-2

絵はポップだし
タイトルもどこかで聞いたよーな・・まぁ、春ですから(笑)

この道は久が原の住宅街です。
碁盤の目状の街区で、こんな真っすぐな道が特徴的です。

散歩するにはちょっと単調ですね。
あまりキョロキョロすると不審者ですし(笑)

明治初期に作られた地図を見ると
直線道路が交差する久が原の中央部は
ほとんどが畑だったようです

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久が原に春風舞う kugahara

ここは大田区久が原の小さな公園。
心地よい風とちょっと眩しい日差しはもうすっかり春。

平日のせいか、
走り過ぎる池上線のほかは何とも静かな午後です。

井の頭線が走る杉並区には”久我山”という地名がありますが
ここは似ているようでちょっと違う”久が原”です。

私はしばらく”ひさがはら”だと勝手に思っていましたが
”くがはら”だと知り俄然来てみたくなり

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妙正寺川にたなびく-中井 nakai

練馬に用事があり、その帰りに大江戸線の中井で途中下車。
こんな風景に出会いました。

とはいっても、「染の小道」なる年に一度のイベントです。

新宿区の中井、落合のあたりは
江戸時代の手描き友禅や小紋などの技術が今でも息づき、
戦後は京都や金沢と並ぶ染物の産地だったそうです。

そうした歴史を絶やすまいと街をギャラリーに見立て、
2月23日から三日間

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春まだ遠し鬼子母神ー雑司が谷 zoshigaya-2

雑司ヶ谷鬼子母神の境内には
都内でも一二を争うイチョウの巨木があります。
私もいろいろ見てきましたけど、あれは見事です。
今は冬枯れなので、この絵には入ってませんが(笑)

ところで、前回の”千登世橋”ですが
”千歳”という言葉があるので
単純に縁起の良い意味で付けた名前だと思っていました。

でもよくよく調べてみると
明治のころ、あ

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雑司が谷の千登世橋 zoshigaya

江戸っ子の言葉遊びに
「恐れ入谷の鬼子母神」というのがあります。

「恐れ入りました」を
地名の入谷(台東区)に引っ掛けたシャレです。

毎年、七夕のころに朝顔市が開かれる入谷界隈ですが、
真源寺というお寺に、その鬼子母神が祀られています。

そして江戸にはもう一つ、
有名な鬼子母神堂が雑司ヶ谷にあります。

これは近くにある法明寺持ちのお堂ですが

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新井薬師に陽のあたる午後 arai

ここは東京中野区にある新井薬師。
西武新宿線にその名の駅があります。

ちょっと聞くと
足立区にある西新井大師と間違いそうになるのですが、
こちらは薬師様、あちらはお大師様(弘法大師空海)をおまつりしています。

どちらも”新井”がつくせいでちょっと紛らわしいですね。

新井薬師は通称で、本当の名は梅照院という真言宗のお寺です。
目の病気や子育てに霊験あ

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代官山のふたり daikan-yama-2

なんだか頭も足元もヘン?
実はこの”ふたり”、路地裏に並べてあったマネキン・・
ではなく、洋服スタンド。
代官山にはこんな小さなショップが多いのです。

そういえば、ずいぶん昔
”ハウスマヌカン”という言葉がありました。
いつの間にか聞かなくなりましたね。

渋谷の”代官山”は
文字通り江戸時代の代官所が管轄した雑木林の高台。

明治時代に創刊し

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代官山に冬色の・・ daikan-yama

最近のニュースで
東京の昭島市に”代官山”という町名が誕生する・・
そんな話を聞きました。

「渋谷の代官山に比べられて恥ずかしい」
「おしゃれな町名でよかった」など
地元にもいろいろな感想があるようです。

なんでも、”代官山”はもともと地元の小字(こあざ)で、
まさか渋谷にあやかろうなんて思いはなかったはずです。

古い地名を復活させるなんて

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