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ポール・オースターのこと
今朝の朝刊でポール・オースターの訃報を知った。
この記事で私は彼の年齢を初めて知った。
ニューヨークの自宅で死去と書かれていた。
彼の居る場所はニューヨーク以外に考えられないほど、私の中で彼とニューヨークは同じ景色の中にあった。
『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』は、何度となく手に取った本だった。
特にその中のひとつは、ことあるごとに読み返した。
生活のすべてを手放し、テント生活を始めた女
『老舗ミニシアター 第二章へ着々』 no.5
先月半ばにオープンしたばかりの『ナゴヤキネマ・ノイ』に行ってきた。
ドキュメンタリー『その鼓動に耳をあてよ』は、夕方からの上映だった。
自ら選ばない類の作品だけど、オープニングにここが選んだ作品なので楽しみでもあった。
『シネマテーク』が閉館してから、このビルに来たのははじめてだ。
何も変わってないことに些か驚きながら、まあこのビルはそうだよねと、ひとり頷きながら階段を上がる。
ニューオープンと
ポール・ヤングとジュークボックスと
何かの拍子にふと聞こえてきて、途端に時がとまってしまう瞬間がある。
そんな曲がいくつかあるけど、タイトルも歌手も普段は忘れている。
あの頃は、何時どこへ行っても音楽が鳴っていた。
ニューヨークのレストランやバーには、よくジュークボックが置かれていた。
1990年前後の頃だ。
『フレディ・マーキュリー』の映画を見て、あの頃のことを思い出した。
当時の音楽シーンは明らかに今とは違った。
ジャンルや好
『老舗ミニシアター 第二章へ着々』 no.4
以前、私の購読している朝刊の紙面には、近隣映画館の上映作品一覧が掲載されていた。
テレビ番組表の1〜2時間分ほどの細くてとても小さいスペースに、上映館と上映作品、上映時間だけが載っていた。
その一覧を見るだけで、普段、私が気に留めていない映画情報を得ることができた。
詳しい作品の内容や広告もなく、最低限の情報だった。
テレビの番組表と似ているけれど、より情報は少ない。
でも、私にとってこれで充分だ
映画『フレディ・マーキュリー』を観る
上映を知ったのは書店のポスターだった。
この書店は通勤途中の地下街から直通で勤務先から徒歩2分ほどと、私にとってこの上なく便利で都合の良いロケーションにある。
本来なら毎日立ち寄ってもおかしくない。
でも、立ち寄る、立ち寄れるのは月に数回と数えられてしまうほどしかない。
残業が多い職場というか、職種なので、閉店時間に間に合わない。
本と映画の共通点は何だろう?
本屋に行く人は映画を観る人が多いの
自分を見つけるために book review
『シェイクスピアを盗め!』
『シェイクスピアを代筆せよ!』
ゲアリー・ブラックウッド・著
安達まみ・訳
白水社
たとえば、欲しいモノがある。
たとえば、それが、野球のポジションで、ピッチャーだとしたら。「背番号1」のエースナンバーだとしたら。どうすれば手に入れられるのか?
やりたい。なりたい。欲しいと、思うだけでは手に入らない。黙っていても手に入らないけれど、口に出しても同じだと思う。「ほ
『老舗ミニシアター 第二章へ着々』 no.3
『ナゴヤキネマ・ノイ』のピンクのフライヤーに目が止まり、思わず立ち止まって見入ってしまう。
そういえば、この本屋には映画のポスターがやたら貼ってあったのを思い出した。
すぐ横にはフレディー・マーキュリーが拳を突き上げている。
彼も応援してくれているような気がするのは、私だけだろうか…
この映画も見たいなあと思っていたのだ。
『ナゴヤキネマ・ノイ』の情報がアップデートされるたび、CFのニュースレター
映画『FIRST COW』を観る
2023年最後に、ケリー・ライカート監督作品を観た。
公開前からこの映画は楽しみにしていた。
その日は友人と会う約束もしていたので、
ランチ後のコーヒーを飲みなら「行く?」と聞いてみた。
チケット予約時には席の大半が空いていた。
まだ空席があるはずだ。
どんな映画? と、聞かれ一瞬言葉につまる。説明が難しい。
予告を見ただけで、私もあまり知らない。
「アメリカの西部開拓時代が舞台の、友情物語?か
『フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築』
この展覧会には行けないと半ばあきらめていた
スケジュールが合わなかったからだ。
どうしても観たいわけではないのだしと、自身に言い聞かせながらも、頭の片隅に引っ掛かっていた。
なぜなのか自分でもよくわからない。
偶然、半日だけ時間ができた。
何が気になっているのか、やはり知りたかった。
急遽、前日に行くことを決めたので、展示会の概要をチェックできなかった。
どんな内容かくらい、いつもは確認しておく
『老舗ミニシアター 第二章へ着々』 no.2
シネマテークに続く『ナゴヤキネマ・ノイ』のCFが始まって一週間が過ぎた。
サイトをチェックすると、目標の達成率150%、1500万円を超えている。
アップデートのコメントでは、2日ほどで目標金額を達成したとあった。
こんなにたくさんの人たちが応援している。
その理由はそれぞれが違っても、誰しも根底に同じ想いがあるのだとも思う。
共同代表の方たちは、この成り行きを予想できただろうか?
もしかしたら
『老舗ミニシアター 第二章へ着々』 no.1
朝刊の見出しに、目が釘付けになった。
夏に閉館したミニシアターが、新たに始まる記事だった。
いつか誰かがと、ずっとずっと思っていた。
その日がこんなに早く来るなんて…
紙面の文字を追いながら、目の前がぼやけてきた。
本当に嬉しかった。
足繁く通ったわけではない。
ただ、私が見たい映画の上映館はここしかなかったのだ。
閉館してから、胸の中に空洞ができてしまったような気がしていた。
他の映画館に行くた