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小説『クリキャベ🥬』感想たち

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創作大賞2023 朝日新聞出版賞受賞作、そして2024年4月5日に発売した書籍『クリームイエローの海と春キャベツのある家』にいただいた感想記事たちをまとめました。たくさんの感想あ… もっと読む
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記事一覧

「日本よ、これがクリキャベだ!」の話

「日本よ、これがクリキャベだ!」の話

「私、父子家庭って事、言ってたっけ?」

ある日の朝。
梅原さんがそう切り出した。

「いえ、初耳です」
「貸してもらった本読んで……『あ、父子家庭の話』って思って。もう亡くなったんじゃけど」
「えっ……そうだったんですね」

「で、そこまでなら『ま、ない話じゃないか』って、読んでて……」
「はい」

「最後、餃子作ってたじゃろ?ウチのお父さんの得意料理だったんよ」
「ええっ?」
「今でも命日に餃

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最近読んだ本たち(2024年4月分)

最近読んだ本たち(2024年4月分)

4月は出会いの月とよく言われるけれど、ほんとうにそうで。いろいろな方面で新しいつながりができてよかったなー、としみじみしている。

月の前半は娘たちが春休み、または午前中授業ということで、限られた時間内で仕事に追われた。それでも、ちょっとは本を読む時間を確保できた。よし!

残るは「エクササイズをしたあと眠くなってしまう問題」だ。「筋トレしてから本読もうっと」などと思っていると、睡魔に襲われて読め

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キャベツの投稿とクリキャベと #書もつ

キャベツの投稿とクリキャベと #書もつ

先月発売された、創作大賞2023受賞作「クリームイエローの海と春キャベツのある家(せやま南天)」(以下、クリキャベ)を読みながら思い出した、せやまさんの投稿がある。

・・確か、あれはキャベツの話だった。

あらためて読み返してみると、なんとその投稿はクリキャベで描かれていた「家事」の話しで「母親」の話しだった。

小説家さんにも様々な方がいて、日常生活に近い視点で描く方もいれば、全く想像だにしな

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それでいいよと私の元にやってきた本

それでいいよと私の元にやってきた本

こんにちは、めげないやつ子です。

久しぶりに小説を読みました。

note主宰、創作大賞2023のお仕事小説部門で朝日新聞出版賞を受賞された作品です。

昨年から色んな出来事があった我が家。
息子のことも自分も、家族のことも、一つの答えが出たところでした。

暮らしが大切なんだと気付いた途端に “そうそう、それでいいんだよ…” と言わんばかりに、私の元にやってきた本です。

読み終えてから、ふわ

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2024年3〜4月に買ってよかったもの・読んでよかった本まとめ【#17】※Notionテンプレ付

2024年3〜4月に買ってよかったもの・読んでよかった本まとめ【#17】※Notionテンプレ付

「2024年1〜2月に買ってよかったもの10選【#9】」をまとめてから、もう2ヶ月も経っていることが驚き。あれから分割キーボードにハマり、ああだこうだと試行錯誤してきたので、今回紹介する買ってよかったものたちは、キーボードとその周辺アイテムが結構多めです。

1. 買ってよかったもの1-1. Corne V4 Cherry

以前のnoteでも書きましたが、分割キーボードを買いました。タイピング速

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せやま南天『クリームイエローの海と春キャベツのある家』《砂に埋めた書架から》70冊目

せやま南天『クリームイエローの海と春キャベツのある家』《砂に埋めた書架から》70冊目

 昨年行われた、note主催による「創作大賞2023」において、お仕事小説部門の朝日新聞出版賞を受賞したのが、せやま南天『クリームイエローの海と春キャベツのある家』だった。「創作大賞2023」は小説のみならず、エッセイ、漫画原作、イラスト、映像作品など多岐のジャンルにわたって広く作品を募る大規模なもので、およそ三ヶ月の募集期間で集まった作品の総数は、最終的に33,981という数だったようだ。この中

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まぁるい春キャベツを見るたびに「クリキャベ」を想う、そんな春です

まぁるい春キャベツを見るたびに「クリキャベ」を想う、そんな春です

「このお話が本になったらいいな」

昨年noteで、せやま南天さんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」を読んだ時、素直にそう思いました。

私はせやまさんのエッセイも大好きで、みずみずしくて、テンポも良くて、読みやすい文章を書かれる方だなぁと、ずっと思っていました。

一目惚れした、いえ、一読惚れした「クリームイエローの海と春キャベツのある家」が見事に2023年の創作大賞を受賞され、ほん

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自分勝手な思い込みを、柔らかな風で吹き飛ばしてくれるかのように

自分勝手な思い込みを、柔らかな風で吹き飛ばしてくれるかのように

noteで相互フォローさせてもらっているせやま南天さんが、昨年創作大賞を受賞された。

そして今月、南天さんの小説『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が出版された。

昨日、なんとなく訪れた梅田の紀伊國屋書店で「南天さんの本、どんな感じで並べられているのかな~」と気になって、店内を探し回った。

自力で見つけ出したかったけれど、広い店内には膨大な本があり、なかなか探しきれない。観念して検索

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読書感想文 クリームイエローの海と春キャベツのある家

読書感想文 クリームイエローの海と春キャベツのある家

読み終わってからどうも胸の辺りがふつふつとするようで、いくつもの観点から感想を書きたくなるものがたりを読んだ。

クリームイエローの海と春キャベツのある家

創作大賞2023にて朝日新聞出版賞受賞っ!
そして重版決定!!
おめでとうございます!!!
いち読者ながらうれしい!!!!

わたしはこの作品を
喪失から回復へのものがたり
と捉えた。

 喪失からの回復とは、必ずしも喪失する前のそうであった

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息苦しさを感じている人は、救心でも、キャベジンでもなく、「クリキャベ」を読んでみるといい

息苦しさを感じている人は、救心でも、キャベジンでもなく、「クリキャベ」を読んでみるといい

「コレハワガヤノコトデスカ?」

小説を読んだ瞬間、それはもうカタコトになるくらいビックリした。読みすすめ、ちょっと怖くなり、どこかにカメラでもあるんじゃないかと我が家の四方を見渡した。

「クリームイエローの海と春キャベツのある家」 せやま南天さん

家事代行サービスを始めたばかりの津麦が、5人の子どもを育てるシングルファーザーの織野家と出会い、育児や家事、仕事や生活の本質に向きあい、成長を遂げ

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クリームイエローの海と春キャベツのある家を読んで創作したくなっている

クリームイエローの海と春キャベツのある家を読んで創作したくなっている

せやま南天さんのデビュー作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』読み終えました。

安富さんという登場人物が、優しさに溢れていて、事あるごとに主人公に寄り添ってくれて、一番好きな人物です。こんな人が同僚や上司にいてくれたらなと思います。

一番好きだった場面は、春キャベツが初登場する所です。目の前が一気に春キャベツ色になりました。春キャベツを食べたくなりました。実際に、僕の今日の献立は春キャ

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「クリームイエローの海と春キャベツのある家」読んでみた

「クリームイエローの海と春キャベツのある家」読んでみた

⚠ネタバレあり⚠

もう……
読んだ?

え……
まだ?

それは……
僥倖!

はわわ……
すっげーっ!
装丁からもう素敵!!
あと帯のコメント……
知ってる人ばっかでテンション上がる!!!

ほら、つくねは書店員さんですので!
店長に言った訳だ。

「あのあの……私の知人が……作家デビューしたのですよ!で、自分の客注は己でやりますけども……お店に置く分を……入荷してもらったり出来ませんか?」

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クリキャベを読むと、回鍋肉を作りたくなる。

クリキャベを読むと、回鍋肉を作りたくなる。

発売日(4/5)に、せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を書店へ買いに行き、先週、子供達の新学期バタバタ週間の隙を見ながらゆっくり読んだ。

オリジナル版のストーリー展開と雰囲気はそのままに、過去エピソードがふんだんに追加されたことで、主人公・津麦のキャラクターが、より人間味豊かになって、とっても満足な読み応えだった。

やって当たり前、地味で面倒、無償の労働――そうやって

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【読書日記3】 クリームイエローの海と春キャベツのある家

【読書日記3】 クリームイエローの海と春キャベツのある家

4月5日発売のこの本が発売日を過ぎても我が町で手に入らないと愚痴ったのが、ちょうど先週の日曜日のことだった。

それから4日後(発売日から6日後)、ようやく私の手元に届いた。

ちょうど今の季節に合う、柔らかな色合いの装丁に、「創作大賞2023」の文字。
裏表紙の帯には、9人のnoterさん達の感想コメントが並んでいる。
同じnote界のすみっこに生息する身として、本当に誇らしい。

土曜日の昨日

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