記事一覧
コイン・チョコレート・トス_第1話
🪙 プロローグy=-3x²の放物線を描きながら、宙を舞うコインチョコ。
玄関の白い天井の少し下の位置を最高到達点とし、コインチョコは幸子の手の平に落ちてきた。幸子はそれを両手で優しくキャッチする。
幸子はコインチョコが左手に落ちてきた瞬間、上から右手をそっと添える。コインチョコがどちらかを向いているかが見えないように静かに隠す。
表か、裏か。
全ての決断は、コインチョコに委ねられた。
口の中で幸せ弾ける六花亭のつゆ
「なんで、あんなこと言っちゃったんだろ……」
私は小さく独りごちた。
部屋の電気もつけずに、カーテンも閉めずに、窓から入り込む月明かりだけが頼りの夜。
ケンカなんてするつもりもなかったのに、ホントになんであんなこと言っちゃったのか、自分でもよくわからなかった。もしかすると、やきもちと彼への恋心を焦がしながら待っていた五日間の気持ちが爆発しちゃったのかもしれない。
北海道への出張。
彼と一緒
クリスマスプレゼント
あの歌の歌詞は本当だった。
恋人は本当にサンタクロースだって思った。
奈月にも罪悪感はあった。
夏から付き合い始めた同じ歳の彼氏とのクリスマス。彼氏である隆史を騙す形で、家のクリスマスパーティに誘うことになってしまったことを奈月は申し訳なく思っていた。
隆史は優しいから、ちゃんと説明すれば喜んで家に来てくれるような気もした。反面、無理をさせてしまうかもしれないと思うと、奈月は最後の最後までそ
クリスマスイブ・イブ
春は別れの季節でもあり、出会いの季節でもある。
今年の春、私はそれを体現することになった。
「もうサヤカのことは嫌いになった」
ちょっと信じられないくらいに衝撃的な別れの言葉だった。
「好きな人ができた」とか「僕では君を幸せにできない」とか「こういうところが合わない」とかだったら、まだ理解もできるけど。
嫌いになるってどういうことだろうと、私の頭は混乱した。
やたらと嫌いを連呼する人だとは思