みんなの世界史

世界史&日本史、世界&日本をつなぐ公立高校教員。 通訳案内士(英語)。歴史を深く、わか…

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世界史&日本史、世界&日本をつなぐ公立高校教員。 通訳案内士(英語)。歴史を深く、わかりやすく翻訳。まずは総目次からどうぞ → https://note.com/sekaishi/n/nf718813a5362

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  • "教育系" note まとめ

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  • SDGs 世界史

    国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)に挙げられた課題に対して、人類はどのように向き合ってきたのか―。SDGsと「世界史」の関わりを解説した史上初の試み。全文無料。

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【全文無料】総目次 世界史/日本史のまとめ

基本コンセプト  昔と今を、今と未来をつなぐ。  世界の中の日本、日本の中の世界をつなぐ。  世界史を26ピースに「輪切り」にし、 深く、たのしく、わかりやす…

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MDGsは、SDGsと本当はどういう関係にあるのか? 【SDGsとは一体、何だったのか?】第3回・前編

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【国内 "世界史" 観光500選】 記録的円安なんて吹き飛ばし、ニッポンの「世界史」を歩こう!

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いまや日本のSDGsは、空虚な「記号」である  2015年に採択されたSDGs(国連持続可能な開発目標)は、スタートしてから早9年目を迎えようとしている。  SDGsの実施年限…

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【ニッポンの世界史】#34 1970年代のまとめ

 これまで1970年代に多くの回を費やしてしまいました。  それも無理はありません。  こうやってみてみると、1970年代の「ニッポンの世界史」には、これまでになかった…

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【ニッポンの世界史】#33 地政学化する世界史:キッシンジャー・『悪の論理』・高坂正堯

2010年代の世界史ブーム  連載の第1回で、2010年代以降の世界史の一般書のトレンドに、(1)データベースとしての世界史、(2)文理融合的な世界史、そして(3)世界史のなかの…

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世界史授業の教材研究:手元にあると便利なもの

"まじめ" に教材研究をするにあたって、「こんなものが手元にあると便利」というリストです。 もちろん、一見授業の組み立てとは関係のなさそうな "ふまじめ" なものも含め…

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【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・東京書籍の比較編

これまで山川出版社の『詳説世界史:世界史探究』(ややこしいタイトルだ…)の索引をベースにして、ほかの教科書の索引の比較を試みてきた。 帝国書院の索引と比べる ht…

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【新学期】社会系授業で使えるかもしれないWebサービス50選

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【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・実教出版の比較編

今回比較するのは、山川出版社『詳説世界史:世界史探究』と、実教出版『世界史探究』の索引です。 実教出版の用語の選び方をみるため、山川にはないが実教の索引にはある…

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【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・帝国書院の比較編

この記事の要約この記事は長い(約40000字)のではじめに要約を書いておきます。 以前、山川出版社の新しい世界史教科書の用語がどのように変化したのか記事を書いたこと…

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【ニッポンの世界史】#31 学習参考書と世界史:なぜ世界史は「暗記地獄」化したのか?

 これまで私たちは、「ニッポンの世界史」は、アカデミズムや学習指導要領のような“公式”世界史と、それらと対抗関係にある“非公式” 世界史の綱引きによって形成され…

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【全文無料】総目次 世界史/日本史のまとめ

【全文無料】総目次 世界史/日本史のまとめ


基本コンセプト

 昔と今を、今と未来をつなぐ。

 世界の中の日本、日本の中の世界をつなぐ。

 世界史を26ピースに「輪切り」にし、
深く、たのしく、わかりやすく”翻訳”する。

コンテンツの一覧【1】ゼロからはじめる世界史のまとめ(世界史×ゼロから)

【2】同時に学ぶ! 世界史と地理(世界史×地理)

【3】世界史のまとめ × SDGs(世界史×未来)

【4】"世界史のなかの"

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MDGsは、SDGsと本当はどういう関係にあるのか? 【SDGsとは一体、何だったのか?】第3回・前編

MDGsは、SDGsと本当はどういう関係にあるのか? 【SDGsとは一体、何だったのか?】第3回・前編

 前回は「持続可能な開発」概念がどのような経緯で生まれたのかという問いに対して、その背景に途上国と先進国の対立や、その後の新興国の台頭といった国際社会の激変が関わっていたことを確認した。

 今回は2つ目の問いである「MDGsは、SDGsと本当はどのような関係にあるのか?」について、考えていきたい。

MDGsとは何か
 MDGs(エムディージーズ)とは「ミレニアム開発目標」の略称で、ミレニアム総

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【国内 "世界史" 観光500選】 記録的円安なんて吹き飛ばし、ニッポンの「世界史」を歩こう!

【国内 "世界史" 観光500選】 記録的円安なんて吹き飛ばし、ニッポンの「世界史」を歩こう!

 コロナ禍も明け、海外に出かけようとせっかく思い立ったところにふりかかる記録的円安…。これから夏にかけてどのように推移するかは不透明ではありますが、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

 では、日本国内で海外を味わうことはできないのでしょうか?
 いえ、そんなことはありません!

 「世界史」をキーワードに掲げて視点を変えてみれば、日本全国津々浦々、さまざまなところに海外の人や出来事

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【SDGsとは一体、何だったのか?】第2回「持続可能な開発」概念のルーツはどこにある?

【SDGsとは一体、何だったのか?】第2回「持続可能な開発」概念のルーツはどこにある?

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【連載第2回】「持続可能な開発」概念のルーツはどこにある?

1SDGsから何を連想する?

 みなさんは「SDGs」と聞いて、どんなことを思い浮かべるだろうか?
 ある人はSDGsとは「エコ」のことだと考えるかもしれない。レジ袋削減や気候変動対策が、生活と大きな関わりがあることも大きいだろう。

 またある人は差別をはじめとする社会問題の解決や「多様性」のことを、またある人は、まちづく

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【ニッポンの世界史】#35 進む「世界史離れ」:文化圏学習・ナチカル・共通一次

【ニッポンの世界史】#35 進む「世界史離れ」:文化圏学習・ナチカル・共通一次

 これからいよいよ「ニッポンの世界史」にとってきわめて重要な1980年代に足を踏み入れます。
 この10年を通して、世界史にいかなる意味がつけ加わり「世界史必修化」に至るのか。
 ”公式” 世界史と ”非公式”世界史の輻輳を追うことで、経緯を浮かび上がらせていきます。

「文化圏」学習の徹底:1978年度指導要領改訂

 そのためにまずは "公式" 世界史の動向から確認していきましょう。

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SDGsとは一体、何だったのか?【世界史でよむSDGs】はじめに

SDGsとは一体、何だったのか?【世界史でよむSDGs】はじめに

いまや日本のSDGsは、空虚な「記号」である

 2015年に採択されたSDGs(国連持続可能な開発目標)は、スタートしてから早9年目を迎えようとしている。

 SDGsの実施年限は2030年だから、まだあと6年ちょっと、残されていることになる。
 にもかかわらず「SDGsとは一体、何だったのか?」などと問うのは、ちょっと時期尚早ではないかと思われるかもしれない。

 最初に筆者の立場を明確にして

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【ニッポンの世界史】#34 1970年代のまとめ

【ニッポンの世界史】#34 1970年代のまとめ

 これまで1970年代に多くの回を費やしてしまいました。

 それも無理はありません。

 こうやってみてみると、1970年代の「ニッポンの世界史」には、これまでになかった多くの新しい要素がつけ加わり、そうした「転回」こそが、1980年代以降の転回に大きな影響を与えることとなるからです。

 以下に整理しておきましょう。

 たとえば ①文化圏学習は、比較文明論、国際化言説を通してビジネス教養的世

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【ニッポンの世界史】#33 地政学化する世界史:キッシンジャー・『悪の論理』・高坂正堯

【ニッポンの世界史】#33 地政学化する世界史:キッシンジャー・『悪の論理』・高坂正堯

2010年代の世界史ブーム
 連載の第1回で、2010年代以降の世界史の一般書のトレンドに、(1)データベースとしての世界史、(2)文理融合的な世界史、そして(3)世界史のなかの日本史があると書きましたね。

 この連載をお読みの方ならば、「おすすめの世界史の本」ということで手にしたことがある人も少なくないのではないかと思いますが、ここでのわたしたちの目的は、これらの書籍の内容をレビューすることに

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世界史授業の教材研究:手元にあると便利なもの

世界史授業の教材研究:手元にあると便利なもの

"まじめ" に教材研究をするにあたって、「こんなものが手元にあると便利」というリストです。
もちろん、一見授業の組み立てとは関係のなさそうな "ふまじめ" なものも含めて、関心を広く払っておくことが大事であるというのが、正直なところではあります(往々にして"ふまじめ" と "まじめ" は、それぞれの極北でピタッとくっつくものです)。歴史を学ぶ「意味」や「たのしさ」は、なるべく多面的にとらえたほうが

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【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・東京書籍の比較編

【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・東京書籍の比較編

これまで山川出版社の『詳説世界史:世界史探究』(ややこしいタイトルだ…)の索引をベースにして、ほかの教科書の索引の比較を試みてきた。

帝国書院の索引と比べる https://note.com/sekaishi/n/neeb8e1b5eae4

山川出版社『新世界史』の索引と比べる https://note.com/sekaishi/n/nf81a976401fb

実教出版の索引と比べる htt

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【新学期】社会系授業で使えるかもしれないWebサービス50選

【新学期】社会系授業で使えるかもしれないWebサービス50選

GISを利用したインタラクティブ・マップやウェブ上のアーカイブ、生徒が自ら使えるツールなど、オンライン上で公開されている社会系授業で使えるかもしれないWebサービスをランダムに50個集めました。
「ネタ」としての提示は "打ち上げ花火"的 なものとなりがちですが、計画とアイディア次第で地理総合、地理探究だけでなく、歴史総合、世界史探究、日本史探究、公民科においても効果的に使えるものもありそうです。

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【ニッポンの世界史】#32 少女漫画がひろげた世界史の担い手:『ベルサイユのばら』を中心に

【ニッポンの世界史】#32 少女漫画がひろげた世界史の担い手:『ベルサイユのばら』を中心に

 はじめに結論から。

 少女漫画『ベルサイユのばら』が、世界史をコンテンツとして楽しむことのできる広汎な読み手を育て、歴史の関わり手を男性だけでなく女性にひろげる役割を果たした。

 今回ここで述べるのは、たったそれだけです。

***

歴史を物語として楽しむカルチャー
 歴史を物語として楽しむ行為自体には、口伝えの伝承や軍記物語など、それこそ長い長い歴史があるわけですが、日本ではとりわけ近世

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【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・実教出版の比較編

【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・実教出版の比較編

今回比較するのは、山川出版社『詳説世界史:世界史探究』と、実教出版『世界史探究』の索引です。

実教出版の用語の選び方をみるため、山川にはないが実教の索引にはある用語のうち、気になるものをピックアップしていきます。

実教出版の特徴はウェブサイトによると以下の通り。



愛国啓蒙運動

愛国派
 アメリカ独立戦争における愛国派(パトリオット) 

アウグスライヒアウスグライヒ(訂正:2024/

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【世界史教科書比較】山川詳説vs新世界史

【世界史教科書比較】山川詳説vs新世界史

ながらく"定番"と目されていた山川出版社の詳説世界史と、のびのびとした ”攻める” 記述で知られる新世界史(採択数は少ない)の記述を、今回は索引の異同に注目して比較します。

参考にしたのは新世界史は見本(2022年検定済)と詳説世界史は2023年刊(2022年検定済)の索引。
「王の道」のように、索引にはないが本文には掲載されているものもあるが、すべてに目を通しているわけではないので、おおよその

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【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・帝国書院の比較編

【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・帝国書院の比較編

この記事の要約この記事は長い(約40000字)のではじめに要約を書いておきます。

以前、山川出版社の新しい世界史教科書の用語がどのように変化したのか記事を書いたことがあった。しかし、必ずしも単純に「増えた」「減った」と言えないのではないかという事実がみえてきた。

そこで今回は帝国書院の世界史探究教科書の収録語と、山川の収録語を比較することで、山川が収録しなかった用語とは何かをあぶり出してみるこ

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【ニッポンの世界史】#31 学習参考書と世界史:なぜ世界史は「暗記地獄」化したのか?

【ニッポンの世界史】#31 学習参考書と世界史:なぜ世界史は「暗記地獄」化したのか?

 これまで私たちは、「ニッポンの世界史」は、アカデミズムや学習指導要領のような“公式”世界史と、それらと対抗関係にある“非公式” 世界史の綱引きによって形成されてきた経緯をみてきました。

 “公式”の語りを、“非公式”の語りが突き崩すといっても、両者の間に厚い壁があったわけではありません。

 ときに、ひとりの書き手が、両者を行ったり来たりすることもみられました。
 歴史学者の土井正興(1924

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