記事一覧
旅文通12 - ブダペストのクリスマス・マーケットは夜行列車のあとに -
そろそろニューヨークへお戻りですね、やすこさん。今回も空港を出てタクシーの窓の先に、近づいてくるマンハッタンの遠景を眺めましたか。いつもsomething=何か胸に感じさせるものがある姿ですが、この季節となると騒がしさがタクシーからも聞こえたのではないでしょうか。だってね、12月はね、ニューヨーク市の人口846万人に加えて650万人ともいわれるツーリストが、小さな島の上でかなり元気にはしゃいでいる
もっとみる旅文通10 – ニューヨークのピンク、ある?ない?アッパーイーストありません –
旅から戻ると。
余韻を楽しむ間もないまま日常へと、まるでマンハッタン上空から細切れの野菜が煮えるスープの大鍋へ落下するようで、なんだか恨めしい。熱々の野菜スープに溺れながら、なんとか手足をバタつかせて泳ぐ。たとえ鍋の縁で頭をぶつけようが、スパイスが目に沁みようが、あたりまえのこととしてあるべき暮らしに戻ってゆく。
この夏の旅から戻った直後は不思議な感覚を味わった。帰った翌日の朝にあれ?と、気づい
旅文通8 - 旅情はどこに、ヴェネツィアに? -
旅人よ、いずこへ。
ただいま!
北半球にはたいへんな夏が来ていますね。
異常な気温上昇の中、マスクを捨てた渡航者で大混乱する空港とエアーラインの遅延や欠航、空を見上げると山火事の煙の被害、もっと遠くの上空では戦争による飛行空域制限などと、人類にとって〝さり気ない旅”はもう雲の彼方に消えてしまったのでしょうか。
前回のやすこさんの旅文通は、海岸線を走る中距離バスの中で読みました。その日もやっぱり
旅文通2 - リスボン
さて、私のリスボンに至るお話。
ある年、空腹というものを経験した。
ひと月ほど入院している間、数十年に渡ってくり返してきた物を食べるという習慣が禁じられ、アメひとつさえ何やらという成分が入っているゆえ云々と、主治医から許可が出ることはなかった。未曾有の空腹感を経験するうち、しだいに食べ物は空想の中で、どこか遠いが確実に存在する夢の世界に浮かぶ色とりどりの雲になって、夜な夜な虚しく魅力を増した。
ところで、初めましてnote!
noteというこのプラットフォームに集まるみなさん、初めまして。新入りの私です。
ここがどんなに素晴らしい場所なのか、私はまだよく分かっていないと思うけれど、実は最近、これまでよりもっともっと率直に書いてみたい気持ちがあって、もう何も隠したいことも言いたくないこともないような気がしていて、なのでじっと心に耳をすませて、そのまんま気楽にリラックスしてここに来てみました。
ニューヨーク市で暮らすとい