秋田 朗

音楽プロデューサー 舞台プロデューサー 作曲・編曲・脚本家 B級グルメ評論家  小説を…

秋田 朗

音楽プロデューサー 舞台プロデューサー 作曲・編曲・脚本家 B級グルメ評論家  小説を連載中

マガジン

  • 山岳小説 カンチェンジュンガに降る雪

    ヒマラヤ山脈第三の高峰カンチェンジュンガ。再度その山に挑む孤高の天才クライマー。彼を恨みながらもなぜか惹かれていく女。鉄道プロジェクトにうごめく官僚と政治家たちの陰謀・・・そして物語は神々の住む天空の頂きへ飛ぶ。人はなぜ山にのぼるのか?永遠のテーマを伏線に展開する山岳小説ここに連載開始!

  • 短編連作小説 こいのうた

    ミュージカル女優に憧れる水口はるか。けんか友達の堀口雄太。そして彼らをやさしく見守る先輩柳原健二と早乙女さくら。大学生の青春群像をコミカルに描く。 「こいのうた」の画像モデルは友重舞香さん。 インスタ https://instagram.com/maika.t CM https://www.instagram.com/p/Cn8yIDBhF-P/?img_index=10

記事一覧

[山岳小説] カンチェンジュンガに降る雪2

2 外務大臣梅原龍三郎は、執務室にいた。 「深沢君、深沢君!」 政務次官の深沢和彦が急いで入ってきた。 「例の件は進んでいるか」 少し、イラついた声で梅原が尋ねた…

秋田 朗
1日前
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[山岳小説]カンチェンジュンガに降る雪

ヒマラヤの山々には、神々が住むという 人々は神々を崇め、称え 神々は人々を守り、愛した だが、時に人は愚かにも神々の聖域に立ち入ろうとする 神々はそれを許さない 神…

秋田 朗
8日前
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[連載ラブコメ小説] こいのうた5 コロナの中の二人

登場人物 堀口雄太 水口はるか 早乙女さくら 1  それは突然やってきた。中国で発生した新型コロナ・ウイルスである。コロナの猛威はあっという間に世界中に蔓延し、…

秋田 朗
7か月前
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[短編ラブコメ小説]こいのうた4 はるかの行く道

登場人物 堀口雄太 水口はるか 柳原健二 早乙女さくら 1  城東大学は秋真っ盛りであった。正門から続く欅並木は黄金色に変わり、女子学生の洋服も、白やブルーの…

秋田 朗
7か月前
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[時代小説]天治の剣

一 「若僧!きさま、俺をみて笑ったな!」 夜の闇に怒声が轟いた。 慶長4年11月、江戸の場末の酒場も閉まりかける、四ツ頃(午後十時ごろ)である。 一人の侍を三人の…

秋田 朗
7か月前

[朗読劇] 海の見える丘

登場人物 高志 春美           春美 高志さん、わたしびっくりしました。あなたからの手紙。 だってわたし、あなたがずっと怒っているとばかり思っていたん…

秋田 朗
8か月前
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はるかなるテニアン

小職の作曲です。テニアン島の思い出を曲にしました。

秋田 朗
8か月前

[短編ラブコメ小説] こいのうた3 雄太の彼女

登場人物 堀口雄太 水口はるか 柳原健二 早乙女さくら 小野寺真琴 1 「あれ? 雄太じゃないかな」 はるかは、10月の秋も深まりつつある、夕方の新宿歌舞伎町の雑踏に、…

秋田 朗
8か月前

そしてワルツはつづく

小職が前に手掛けたミュージカルのテーマ曲です。作曲者はなんと名優アンソニー・ホプキンス氏。

秋田 朗
8か月前
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[クリスマス・ファンタジー童話]エマとダリア

主な登場人物 エマ    魔女 ダリア   魔女 ぺぺ    妖精 コーボルト 小悪魔 ギルバート 魔法学校の先生  ここは魔法の国。魔法学校を卒業したばかりの魔女…

秋田 朗
8か月前
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[短編ラブコメ小説] こいのうた2 キスのしかた

登場人物 堀口雄太 水口はるか 柳原健二 早乙女さくら     1  ここは城東大学のある東京M 市である。M市はおしゃれな街並み、静かな住宅地が見事に調和している…

秋田 朗
8か月前
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[コミカル・ミステリー小説]ブリキの魔人

主な登場人物 五味山一平     ひまな探偵                平泉テン子     五味川の女助手            ブリキの魔人    全身を…

秋田 朗
8か月前
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[詩編] タマルとアムノン 

月は空を巡る。 水のない台地、夏はトラの掃く灼熱の息のように巻き散らかされ、 その中でおれは身を焦がす。 おお、タマルよ。おまえはなぜ妹なのだ。 タマルよ・・・ 大…

秋田 朗
9か月前

[短編ラブコメ小説] こいのうた

1 城東大学は東京のM市にあった。M市は住みたいまちベストテンに入るようなおしゃれな街並みと、静かな住宅地が同時に存在している学園都市であった。大学はそんな街の…

秋田 朗
9か月前
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[怪奇ミステリー小説]悪鬼の島

第一章 密室の殺人 わたしの名前は三島春樹、外科医である。わたしは幼少のころの記憶がない。わたしはどこで生まれのか、さだかではない。幸い子供がなかった今の養父…

秋田 朗
9か月前
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[山岳小説] カンチェンジュンガに降る雪2

[山岳小説] カンチェンジュンガに降る雪2



外務大臣梅原龍三郎は、執務室にいた。
「深沢君、深沢君!」
政務次官の深沢和彦が急いで入ってきた。
「例の件は進んでいるか」
少し、イラついた声で梅原が尋ねた。
「はい、今、近藤君が動いています」
深沢は急いで答えた。
梅原は深沢の答えが終わらねうちに、秘書の山下に声を投げる。
「電光の青葉くんはまだか」
「はい、あと10分くらいで到着の予定です」
「よし、来たらすぐ始めよう」
梅原はすっ

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[山岳小説]カンチェンジュンガに降る雪

[山岳小説]カンチェンジュンガに降る雪

ヒマラヤの山々には、神々が住むという
人々は神々を崇め、称え
神々は人々を守り、愛した
だが、時に人は愚かにも神々の聖域に立ち入ろうとする
神々はそれを許さない
神々はつぶやく
・・・罰を与えよ

立ち入った者は二人
彼らは氷壁に宙づりにされていた
風は激しく雪をたたきつける
まるで二人を鞭うつように

カンチェンジュンガ北東壁・・・
上の男は、下の男にもがくように手を伸ばした
下の男が滑落し

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[連載ラブコメ小説] こいのうた5 コロナの中の二人

[連載ラブコメ小説] こいのうた5 コロナの中の二人

登場人物

堀口雄太
水口はるか
早乙女さくら



 それは突然やってきた。中国で発生した新型コロナ・ウイルスである。コロナの猛威はあっという間に世界中に蔓延し、企業や教育機関等を閉鎖に追い込んだ。何よりも大変なのは飲食店や、舞台関係の団体であった。行政と医療は、人が集まるところに感染ありと判断し、人と人との接触を極端に制限した。飲食店は休店を余儀なくされ、舞台やライブ、コンサートは次々に

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[短編ラブコメ小説]こいのうた4 はるかの行く道

[短編ラブコメ小説]こいのうた4 はるかの行く道


登場人物

堀口雄太
水口はるか
柳原健二
早乙女さくら




 城東大学は秋真っ盛りであった。正門から続く欅並木は黄金色に変わり、女子学生の洋服も、白やブルーのTシャツから、シックな色のトップスに変わった。そして、学園祭の準備や、体育祭の準備にあわただしくなっていった。水口はるかは、この大学に通う学生で、ミュージカル研究会に所属していた。先輩にはすでにプロとして活躍している、柳原健二

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[時代小説]天治の剣

[時代小説]天治の剣



「若僧!きさま、俺をみて笑ったな!」
夜の闇に怒声が轟いた。
慶長4年11月、江戸の場末の酒場も閉まりかける、四ツ頃(午後十時ごろ)である。
一人の侍を三人の浪人が取り囲んだ。
「まことに、まことに。不愉快なことでござる」
浪人たちは酒に酔っている風である。
「笑った覚えはござらん。先を急ぎます故、ご免」
侍は軽く会釈して通り過ぎようとした。
「待てぃ!愚弄されたままでこのまま通すわけには

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[朗読劇] 海の見える丘

[朗読劇] 海の見える丘

登場人物

高志
春美

          春美
高志さん、わたしびっくりしました。あなたからの手紙。
だってわたし、あなたがずっと怒っているとばかり思っていたんですもの。あの頃何度お便りしても、あなたは返事をくださらなかった。だから、今日郵便受けに、あなたからの手紙を見つけたとき、本当にびっくりしました。そして・・・うれしかった。
『クラス会の案内を出しただけだ』とあなたは言うかもしれない

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[短編ラブコメ小説] こいのうた3 雄太の彼女

[短編ラブコメ小説] こいのうた3 雄太の彼女

登場人物

堀口雄太
水口はるか
柳原健二
早乙女さくら
小野寺真琴



「あれ? 雄太じゃないかな」
はるかは、10月の秋も深まりつつある、夕方の新宿歌舞伎町の雑踏に、偶然堀口雄太にそっくりの後姿をみつけた。雄太と思われる人物は、髪の長い黒いロング・ドレスの女と並んで歩いていた。
「雄太のやつ・・・彼女ができたなんて聞いてない」
はるかは、少し悔しそうに言った。

はるかと雄太は同じ大学

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そしてワルツはつづく

小職が前に手掛けたミュージカルのテーマ曲です。作曲者はなんと名優アンソニー・ホプキンス氏。

[クリスマス・ファンタジー童話]エマとダリア

[クリスマス・ファンタジー童話]エマとダリア

主な登場人物
エマ    魔女
ダリア   魔女
ぺぺ    妖精
コーボルト 小悪魔
ギルバート 魔法学校の先生

 ここは魔法の国。魔法学校を卒業したばかりの魔女エマは、一人でお祈りをしていた。そこに妖精のペペが飛んできて話しかけた。
「エマ、何してるの?」
「今日はクリスマス・イブよ。みんな楽しそうにクリス魔の準備をしてるわ。あそこの家は子供たちがツリーの飾りつけ、あそこの家はお母さんが大き

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[短編ラブコメ小説] こいのうた2 キスのしかた

[短編ラブコメ小説] こいのうた2 キスのしかた

登場人物

堀口雄太
水口はるか
柳原健二
早乙女さくら
   


 ここは城東大学のある東京M 市である。M市はおしゃれな街並み、静かな住宅地が見事に調和している学園都市であった。駅前にはおしゃれなカフェやレストランがあり、M市マダムは昼からランチを楽しむ。駅周辺の雑踏から少し入ると、センスのいい洋服が飾ってあるプディックや、輸入雑貨を売る店が住宅地の中に隠れるように佇む。そんな洗練された

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[コミカル・ミステリー小説]ブリキの魔人

[コミカル・ミステリー小説]ブリキの魔人

主な登場人物

五味山一平     ひまな探偵               
平泉テン子     五味川の女助手           
ブリキの魔人    全身をブリキでおおわれた謎の魔人 
日和見警部     五味山の友人 警察官     
尾間貫刑事     日和見の部下           
金有剛三      宝石商              
金有峰子

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[詩編] タマルとアムノン 

[詩編] タマルとアムノン 

月は空を巡る。
水のない台地、夏はトラの掃く灼熱の息のように巻き散らかされ、
その中でおれは身を焦がす。
おお、タマルよ。おまえはなぜ妹なのだ。
タマルよ・・・
大地は傷だらけの灼熱の白い光のなかで焦げていく。
おれも焦げてゆくのだ。

月は空を巡る。冷たいシターラの響きがきこえる。
私は踊る。
さあ、ハンナ、おまえも踊るのです。

タマルよ。おまえはまだ踊るのか。まだ俺を惑わすのか。
月にぬ

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[短編ラブコメ小説] こいのうた

[短編ラブコメ小説] こいのうた



城東大学は東京のM市にあった。M市は住みたいまちベストテンに入るようなおしゃれな街並みと、静かな住宅地が同時に存在している学園都市であった。大学はそんな街のシンボルのように郊外の一等地にあって、裕福な学生たちが多かった。学生たちはみな青春それぞれを謳歌していた。
部活も盛んで、中でもミュージカル研究会からは何人もプロが排出し、また、学生のうちからプロ活動している者も多くいた。
そんななかで、

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[怪奇ミステリー小説]悪鬼の島

[怪奇ミステリー小説]悪鬼の島

第一章 密室の殺人

わたしの名前は三島春樹、外科医である。わたしは幼少のころの記憶がない。わたしはどこで生まれのか、さだかではない。幸い子供がなかった今の養父母に引き取られ、大学まで出してもらった。その養父母も今は、二人とも病気で他界してしまった。
そのことを除けば、わたしは幸福な人生を歩んでいると思う。しかし、かすかに記憶に残るあの不気味なうなり声のような声と、かくも美しい歌声とが、かわるが

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