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距離においてとどまりリズムを立ち上げる 『自然なきエコロジー 来たるべき環境哲学に向けて』(ティモシー・モートン)

距離においてとどまりリズムを立ち上げる 『自然なきエコロジー 来たるべき環境哲学に向けて』(ティモシー・モートン)

エコロジーという言葉の使われ方に漠然とした違和感を感じる機会が増えてきている気がする。
そんななか、エコロジーという言葉に対していかなる思想を持つことが可能か。
もはや避けがたいこの疑問に対し、これはモートンを一度は読んでみないといけない、と手にとってみた。

何度も読んでみたけれども、実際のところ、どれだけ理解できたかは自信がない。
自信はないのだが、現時点で感じたことを残すために、キーワードを

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マネジャーとプレイヤーの分離~マネジメントは誰が担うのか?

マネジャーとプレイヤーの分離~マネジメントは誰が担うのか?

プレーイングマネジャー問題ってのがあると思います。
マネジメントを担う人間が、プレイヤーとしても優秀で、プレイヤーとしても活躍する。そうすると、本来、マネジメントに使うべき時間が取れなくなるという問題です。

前職でもその問題にぶち当たりました。
ベンチャーだったということもあり、創業期は社長も含めて全員がプレイヤーです。創業期なんてそもそも人数も少ないし、マネジャーなんか要らないわけです。
とこ

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確定申告の季節になると父を思い出す。50年間「税」と向き合ってきた父の記憶

確定申告の季節になると父を思い出す。50年間「税」と向き合ってきた父の記憶

「確定申告は、自分が1年間、どれだけ頑張って働いたかを振り返るための大切な機会なんだ」

梅が咲く頃になると、父はよくそう言っていた。

僕の父は税理士だった。
父は2016年、69歳で他界した。

確定申告の季節になると、僕は父を思い出す。

父は国税局へ勤務し、和歌山の税務署長を務めた人だった。
定年後、税理士として起業し、大阪市内に小さな税理士事務所を構え、起業したばかりの僕の確定申告を手伝

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自己破壊としての学習

自己破壊としての学習

※本文章は、2023年1月末日にHCD-Net会員向けニュースレターに寄稿したHCDコラムの転載です。

個人的なことで恐縮ですが、3年前から大学院の博士後期課程に身を置いて研究のマネごとのようなことをしています。訳のわからない研究テーマを手探りで研究することはとても苦しい反面、矛盾するようですがこの上なく楽しいものでもあります。

ところが、自分が興味を感じているテーマについて勉強すればするほど

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河合隼雄さんと「関西弁力」に迫る (土井元編集長イチオシ記事)

河合隼雄さんと「関西弁力」に迫る (土井元編集長イチオシ記事)

「なぜ関西人だけが、東京でも方言(関西弁)をでかい声で話すの?」「最近、関西弁を話す若者が、東京でも増えていないか?」「関西弁で話をされると、まるめ込まれやすい気がする」
 関西弁の持つ特徴や計り知れないパワー=「関西弁力」について、臨床心理学者で文化庁長官の河合隼雄さんと話し合い、5つのキーワードで解き明かしてみました。

関西弁力 その一
ニュアンスで「まあるくする」力

編集部:今日は「関西

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【知ってはいけないモダン・ポストモダン思想】批判理論

【知ってはいけないモダン・ポストモダン思想】批判理論

こんにちは。いつもお越しくださる方も、初めての方もご訪問ありがとうございます。

今回は批判理論の英語版Wikipediaの翻訳をします。翻訳のプロではありませんので、誤訳などがあるかもしれませんが、大目に見てください。翻訳はDeepLやGoogle翻訳などを活用しています。

学問・思想・宗教などについて触れていても、私自身がそれらを正しいと考えているわけではありません。

序文批判的人種理論と

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人間中心の意味を見つめ直した一年あまり

人間中心の意味を見つめ直した一年あまり

※本文章は、2021年10月末日にHCD-Net会員向けニュースレターに寄稿したHCDコラムの転載です。

前回、コラム執筆の機会をいただいてからあっという間に1年あまりが経っていました。その間、海外のデザインカンファレンスやコミュニティイベントにいくつか参加した中で感じたことは、以前にも増して「人間性への回帰」や「従前の価値観からの転換」、そして「多様な文化理解と倫理観」といったテーマが色濃く扱

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まず、まるごとaestheticに受けとめる。意味のイノベーション再訪。

まず、まるごとaestheticに受けとめる。意味のイノベーション再訪。

安西さん、こんにちは。ちょっとご心配をおかけしましたが、幸い明らかに以前よりも当該箇所はすっきりしています。ギリギリだったのかもしれませんが、ほんとにいいタイミングだったように思います。

さて、このnote、すごく興味深く拝読しました。

このnoteから1か月たってしまいましたが、ここでの論点はもちろん私も共有しています。ちょっと雑駁で、しかも冗長ですが、昨日(2021年9月8日にいったん脱稿

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「注文をまちがえる料理店」に思うこと

いま私が勝手に注目しているのが「注文をまちがえる料理店」です。

すでに知っている方も多いと思いますが、認知症の人が接客をする料理店です。認知症の方なので「注文をまちがえる」かもしれない、テヘペロ。ということなんですね。

「注文をまちがえるなんて、変なレストランだな」
きっとあなたはそう思うでしょう。

私たちのホールで働く従業員は、
みんな認知症の方々です。
ときどき注文をまちがえるかもしれな

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仁義なきポストモダン

執筆 茂野介里

本論考は、ニューアカデミズムの代表的な人物と言われている浅田彰と中沢新一を中心とし、上野千鶴子、田中康夫、糸井重里と言った、当時活躍した、著述家から見た80年代に関する論考である。

まず始めにセゾン文化の論説から始めたいと思う。

それは矛盾を孕んだ文化戦略ではあった。大衆消費社会を批判する前衛文化を、大衆消費社会の担い手である流通産業が積極的にフィーチャーしてみせる。

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