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小説「ある朝の目覚め」第一章
あらすじ化粧はわたしの「戦闘服」。わたしを強くしてくれる。
内気で感受性の強い自分に「武装」してIT企業の技術営業職として働くあや子は、お気に入りのノートと万年筆で日々の出来事や自分の考え・思いを書き出して整理する習慣を仕事や生活に活かしている。
出勤前のおひとり様時間を楽しむカフェでのある女性バリスタとの交流が、あや子の日々と内面とに、最初は小さな、徐々に大きな波紋を起こしていく。
ある日
小説「ある朝の目覚め」第六章
洞窟の中の寝床で大勢の女の小人たちがまどろんでいる。少し奥をのぞき込むと小部屋があり、魔女が大きな木製の椅子に座り目を閉じていた。わたしは小部屋に近寄る。そこには本棚があり、おどろおどろしい装丁の大きな本が並んでいた。きっと魔法の呪文や触媒の種類などが書かれているのだろう。わたしは魔女を起こさないように本棚に近づく。本棚には置き時計も置いてあった。時計の針は止まっているように見えたが、わたしが近づ
もっとみる創作大賞2024の新川帆立さん×秋谷りんこさんのトークイベントに参加した
2024年のゴールデン・ウィークの最終日に、note主催の創作大賞2024に関連した、小説家の新川帆立さんと秋谷りんこさんのトークイベントに参加した。
イベントは、11時からオフラインの創作作業をする時間と、16時からのトークイベントの二部構成となっていた。私は、11時から会場入りして、同じ創作を志す方との交流を期待していた。しかし、私が人見知りであることと、会場の雰囲気から、交流するところまで
映画「PERFECT DAYS」から感じるマインドフルネス
遅ればせながら、ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」を、鑑賞してきた。観に行こうと思ったきっかけは、kururiさんの下記の記事を読んだこと。もし、映画の詳細について興味を持った方は、感性豊かなkururiさんの書かれた記事を読むと良いと思う。
鑑賞して1日経ったが、私はまだそれほど、感想を言語化できていない。第一印象として感じたのは、主人公の平山さんは、出家
ヤーッコ・クーシストによる、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」
私のアマチュアとしての音楽活動における演奏楽器は、合唱と管弦楽のホルンである。どちらもとても発音(アーティキュレーション)の大切な楽器である。
きれいに発音された音は、はっきりとしつつ雑音の少ない音で始まり、中間部はきれいに伸びて、音の最後は雑音なく自然に消える。
私は、声楽と管楽器のホルンの経験から、口(アンブシュア)を活用した発音については、感覚的にも理論的にもある程度説明できる。しかし、
ディーナ・ウゴルスカヤの「平均律」
私は、先日、バッハの作曲した音楽が好きであり、その音楽を紹介する記事を書こうと思うと述べた。
私は、その記事をどういう内容で書こうか、数日考えた。読者をクラシック音楽に馴染みの無い人と想定して、バッハの人となりや各曲の成立の成り立ち、作曲技法などを順番に紹介することも考えた。
しかし、バッハほどの著名な作曲家の音楽についての情報は、Webを検索すればすぐに見つかる。私は、一介の音楽の愛好家でし
バッハの音楽について
私は、音楽を聴くことが好きである。趣味と言っても良いかも知れない。学生の頃は、合唱部や管弦楽部に所属し、演奏会に向けて切磋琢磨していた。楽器の演奏は続けることは難しかったものの、歌うことは楽しみの一環として長く続けた。一人カラオケや気のおけない友人たちとのカラオケは、私のストレス発散や楽しみとして長い間続いた。
しかし私はある時を境に、様々な理由をきっかけに精神的・身体的な病を発症した。その中に
小説「ある朝の目覚め」第五章
暗闇の中で沢山の女の小人たちが薪の火を囲んでいる。もう大鍋の熱は冷めている。食事は終わったようだ。魔女が戻ってきた。不思議な胴体の形をした弦楽器を手に持っている。魔女はそれを顎に当てて、弓を弦に当てて弾き始める。なんとも形容のし難い音色が発せられる。魔女が低音を響かせるとわたしの下腹部にずんずんと痛みが伝わり、高音を高らかに奏でると、下腹部の奥に刺すような痛みが鋭く伝わる。わたしは魔女の演奏を止め
もっとみる小説「ある朝の目覚め」第四章
夕暮れの広場で沢山の女の小人と魔女がパーティーをしている。魔女が小人に命じて、大きな鍋に不思議な食べ物を加えるとそこからボコボコと泡が立ち上る。その泡が弾ける度にわたしの下腹部に鈍く長く続く痛みが伝わってきた。魔女が大きくうなずくと、数人の小人が協力して大きな食べ物を鍋に放り込もうとした。わたしは怖くなり「もう止めて!」と声に出したところで目が覚めた。
月曜の朝。生理三日目。昨日か今日で痛みのピ
小説「ある朝の目覚め」第三章
大勢の女の小人たちが森を切り開いている。小人たちは数人のグループになって大きな木を切り倒そうとしている。斧が木の幹に当たる音がする度に、わたしの下腹部に鋭い痛みが伝わってくる。だんだんと幹に深い傷ができ、木が倒れようとしてミシミシという音を立てて傾いていく。わたしの下腹部から何かが剥がれていくような鋭い痛みが連続して伝わる。木が倒れ込んでひときわ強い痛みを感じたところでわたしは目が覚めた。
日曜