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何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

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#読書

fuzkueありがとう日記:読書記録のための読書記録

fuzkueありがとう日記:読書記録のための読書記録

なんのジャンルにせよ記録をつけないと気が済まない病気ってあると思うんですけど、とりわけ「読書」って記録厨泣かせですよね。わたしも長年苦悩してきたんです。たとえば映画とかライブとか美術鑑賞だったら、

・〇月△日 映画「ほにゃらら」@なんとかシアター
・〇月×日 ほにゃららライブ@なんとかライブハウス
・〇月▽日 「ほにゃらら展」@なんとか美術館

って、サクッと記録できるじゃないですか。でも読

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「積読」の脅威と、「ふと読み」の至福

「積読」の脅威と、「ふと読み」の至福

 皆さんも経験をしたことはあるはずだ。そうだきっとあるはずだ。それが「積読(つんどく)」。今回のテーマはこの誰がつけたのか、誰が読みをあてたのかわからないけど響きはよい言葉である。

 その意味をWeblio辞書によると

積読 読み方:つんどく 別表記:積ん読
本を購入し、「いつか読もう」と思ってはいるものの、まだ読まずに放置してある(積んである)状態、あるいはその本を意味する語。「積んどく(積

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仕事のための僕の変な本の買い方

仕事のための僕の変な本の買い方

朝8時台に新幹線に乗り東京へ。
あったかいお茶をズルズル飲んでパチパチ仕事してペラペラ本を読む。

いつもの癖で喫煙席側の席を抑えていたが、そうだ禁煙したんだったと思い出す。京都駅の本屋で「一番売れてる文庫本どれですか?」と伺って買った本を読む。

自分では買わないであろう啓発本だった。
毎月そういう買い方をするのでビジネスマンが多い書店で買うと必ず啓発本を読むことになる。
ざっくり言うと「やらな

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近代の〈物神事実〉崇拝について/ブリュノ・ラトゥール

近代の〈物神事実〉崇拝について/ブリュノ・ラトゥール

デザインの領域において、「結果にコミットする」ということの捉え方が変わってきているのではないかと感じる。

「参加型のデザイン」といったアプローチが重視されるように、デザインはもはやデザイナーとクライアント(発注者)の閉じた関係において行われる活動ではなくなり、デザインによって目指すべき結果を享受する人たちの参加も得て進められる活動になっている。

しかし、この変化の捉え方を間違えてはいけない。

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分かりやすさへの危機感

分かりやすさへの危機感

子どもの頃、好きなことにしか興味を持てなかった。

大人になってからも、子どもの頃と変わらず、興味関心の幅は狭いまま。

人の尺度はどうでもよくて、自分が心踊るものだけが大好きだった。

本を読むときも、同じようなジャンルばっかり読んでいた。

それでも、もちろん楽しいのだけれど。

でも、なんだか、自分が触れたものが、自分の幅を決めるような気もする。

だから、自分の幅を広げるために、今年はいつ

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本は読むまで分からない

本は読むまで分からない

第1章 本屋のたのしみ (11)

 本を買うとき、「面白い」か「面白くない」か、「役に立つ」か「役に立たない」かが購入時点で約束されることはない。基本的に「面白そう」「役に立ちそう」という予測に基づいて買う。そして、その本が気に入ったからといって、同じものを繰り返し買うことがない。

 これは当たり前のようで特殊なことだ。食品であれば試食もできるし、車は試乗してから買えばいい。シャンプーは髪質に

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遠くの本屋を訪ねる価値

遠くの本屋を訪ねる価値

第1章 本屋のたのしみ (17)

 そう考えると、近所の本屋だけでなく、遠くの本屋にもわざわざ足を伸ばして行ってみる価値があることに気づく。

 あるときまでは、ぼくにも、本屋はどこも同じように見えた。商店街にあるような小さな本屋は、同じような文庫やコミックや単行本と、雑誌の最新号が並んでいるだけだった。ターミナル駅にある大きな本屋は、どこでも「在庫何十万冊」という売り文句を掲げて、同じような品

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読み切れなくても買う

読み切れなくても買う

第1章 本屋のたのしみ (12)

 本は、読めるぶんだけ買うという人もいる。読むためのものなのだから、そちらのほうがまっとうな考え方かもしれない。読むものがなくなりそうなときに、また本屋に行って、次に読む本を買う。そういうスタイルで、たくさんの本を読み続けている人もいる。

 けれど本屋を、一番身近にある世界一周の場であり、本との一期一会の場だと考えるなら、いま読んでいる本を読み終わるまで行かな

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本は日用品だけど消耗品じゃない

本は日用品だけど消耗品じゃない

三省堂神保町本店のカリスマ書店員の新井さんが、本は日用品であると何かのエッセイで書いていらっしゃり、このことばがとても心に残っている。そういえば新井さんが特集されていたセブンルールでは、読み終わった本は適当に本棚に積み上げて、溢れたら捨てるという新井さんの姿があった。
私は本を簡単に捨てることができない性格なので、そうやって割り切って入れ替えられるのは正直羨ましい(でも新井さんのエッセイやらいろい

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何時間でもいられる

何時間でもいられる

第1章 本屋のたのしみ (1)


 むかしから記憶をなくしやすい性質なのだけれど、折にふれて思い出してきたからか、本屋についてはまだましなほうだ。ひとりの客としての、本屋のたのしみとは何か。それを考えていくにあたって、まず個人的な記憶からはじめたい。本屋についての最初の記憶。ぼくにとってそれは、埼玉県浦和市、現さいたま市に住んでいた小学生のころの記憶で、二軒ある。

 一軒目は、住んでいたマ

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上妻世海『制作へ』を読み、考える(1)ー書形夢醸

上妻世海『制作へ』を読み、考える(1)ー書形夢醸

書形夢醸―読んだ本の記憶整理と読んでいる最中に連想したことなどのメモ。あくまでも読書記録なので書評ではない、あしからず。

上妻世海さんの初の単著である『制作へ』は凄い本であった。「凄い本」と言ってしまってはTwitterのタイムラインやAmazonのレビューに流れては消えていくような紋切り型でトートロジカルな評価と同じになってしまうのだが、まずは「凄かった」ということを僕は言っておきたかった。

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ブックガイド「中東を通して、世界を知る」/ 翻訳家 マイサラ・アフィーフィー

ブックガイド「中東を通して、世界を知る」/ 翻訳家 マイサラ・アフィーフィー

この連載では、飯田橋文学会のメンバーがテーマごとに必読書をご紹介していきます。今回は、翻訳家 マイサラ・アフィーフィーが「中東を通して、世界を知る」をテーマに5冊オススメの本をご紹介します。

「中東を通して、世界を知る」いま中東は大変なことになっている。パレスチナ問題、第一次と第二次の湾岸戦争そしてイラク戦争。2010年の暮れから始まった、いわゆるアラブの春。その結果いくつかの国が内戦状態に。複

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きみが「わからない」のは「わかる」を理解していないからだ。

きみが「わからない」のは「わかる」を理解していないからだ。

「わかる」とは、どういう感覚なのだろう。
ぼくたちは、説明を聞いて「わかった!」と言い、話をしていく中で「腑に落ちた」こともある。
会議の議論を聞きながら、何を話しているのか「わからない」と言い、彼や彼女に、「なにもわかっていないくせに!」と言うこともある。
ワールドカップについて詳しく話す人に、サッカーのことが「わかる」人だと思う。いい絵だ、いい壺だとわかる人もいれば、わからなくて騙される人もい

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読書の秋らしく、僕なりの本の選び方と読み方をさっと書いた

読書の秋らしく、僕なりの本の選び方と読み方をさっと書いた

すっかり涼しくなりました、読書の秋です。

昔から読書が好きです。読書家ってほどじゃないけど。

本の選び方や読み方は意識していて。選び方でいうと目的に応じてけっこわけています。

・心の栄養をとるために、小説を読む
・仕事に活きる知識を得るために、ビジネス本やノウハウ本を読む
・教養をつけるために、新書や古典を読む
・モチベーションを高めるために、啓発本や伝記を読む

偏りなく読みたいタイプです

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