信州ソウルフード「いむらや」3つの疑問。
信州(しんしゅう)とは信濃国(しなののくに)を語源とする長野県の呼び名です。
信州と言えば、そば、おやき、野沢菜、わさび、りんご、栗かのこ、七味唐辛子、善光寺、軽井沢、有名どころが勢ぞろい。しかしそんなきらびやかな名所・名物のなかでひっそりと、それでいて力強くたくましく生きるソウルフードが...!?
こんにちは。現地食に目がない いなつち☆稲田智 です。
私は生まれは茨城ですが、育ちは長野です。碓氷峠を電気機関車2連結で牽引する特急あさまが走っていた時代。いま考えるとどんな急坂なんだと思います。そして電気機関車2連結牽引という強引な対処に、国鉄の凄みを感じていました。
長野に住んでいた子供のころ、よく食べたのは「おやき」と「野沢菜漬け」、あとは冬に「りんご」。名産であるはずの「そば」はあまり食べた記憶がなく、「善光寺」も2回ぐらいしか行ったことなく、「軽井沢」は通過しただけ。あと、関係ないけど「信濃の国」が歌えます。(笑)
観光客と現地住民で食べるものや行くところが違うというのは、よくある現象ですね。
ただ、長野には、現地住民でも知らなかったり、眉をひそめたり、なんか反応が不思議な食べ物が存在します。
それは、
「いむらや」の「焼きそば」!!!?
長野に住んでいた私ですら知ったのはつい2年前。今回はこの「いむらや」の「焼きそば」に関する3つの疑問にせまりたいと思います。
ここからは2年前の情景を再現してます。
疑問① 長野市民も勧めてこない。
2年前に長野出張が増えたとき、会社の大先輩から、
「なんか長野に、そばはそばでも、焼きそば?かた焼きそばみたいなのがあるんだけど、知ってる?すごい大盛りで、餡が乗ってて、甘い。あれはいなつちが絶対気にいるやつ。」
とたいへん神聖なる情報をいただきました。大盛りは大好きだし。甘いってなんだろう?と興味津々丸です。
それは行かねばと、その大先輩と東京から長野に向かいました。仕事で、ですが。
長野に到着し、長野の会社の人たちに「いむらや」について聞いてみると、
Aさん「いむらや?あぁ。え、行くの?」
Bさん「私は長野市に来てから知りました。あんまり行かないですね。」
Cさん「別に名物じゃないし、ふつうにそばでも食べれば?」
みんな死んだような目で話します。そこに何の感情もありません。そんな違和感が逆説的に私の情熱を焚き付けたのです。
疑問② そんなにおいしいわけでもない。
いむらや権堂店に着きました。長野市内に2店舗あるうちの1つです。
味の道くさ いむらや↓
食券を買って待ちます。
そして、満を持して、出てきたのがこれ↓
もうすこし寄ってみましょう↓
なんという盛り!
そびゆる山はいや高く 流るる川はいや通し。
ちなみに、しゅうまいもトッピングでのせられます。1個だけにしました。
食べてみると、聞いていたとおり揚げた麺に甘い餡がかかっています。この甘みは何の甘みなんでしょう?甘じょっぱく、煮物の甘さを軽くした感じです。これはラーメンばあチョコチップ味が出たときの衝撃に似ています。パリパリの麺に甘み、まさにラーメンばあチョコチップ味!
餡には白菜?キャベツ?(くたくたすぎてわからない)、キクラゲが入っています。その上にチャーシューやさやえんどう、錦糸卵。
最初は甘さが際立ちますが、食べ進めるうちに甘さに慣れます。そしてパリパリだった麺が徐々に餡の影響で柔らかくなり、それがまたジュワッとした食感に変わります。
半分ぐらい食べすすめたころ、卓上にある酢がらしを入れてみました。するとどうでしょう!あの甘かったのが急にさっぱりと食べられます。朝8時30分ごろの京浜東北線上りの満員電車に乗っていて、品川で降りてホッとしたときのようなさっぱりさです。
しゅうまいも有名みたいでふわふわしてておいしいです。551のしゅうまいを一回り小さくした感じです。現地の人はしょうゆじゃなくてソースをかけて食べるらしいです。でも私はしゅうまいにはしょうゆ、いきなりステーキには塩とわさび、ハンバーガーにはコカコーラが合うと思います。
で、結局初回の感想は、「まぁまぁおいしい。量もあるし。甘いのにしょっぱいのがラーメンばあチョコチップ味のよう。でも通うほどではないかなー。」
と、さっきの長野の人たちと同じような目をしてしまったのです。
疑問③ なのに、ハマる。
いむらやの焼きそばをすっかり忘れかけていた1か月後、また大先輩と長野に行きました。仕事が終わり、大先輩が、
「そばでも食べる?せっかく長野に来たし。」
と誘ってくれました。
そして二人でそば屋に行きました。
いや、いむらや!
結局、焼きそば!
そばはそばでもいむらやの方。
そんでしゅうまい増えてる!
しゅうまいと焼きそばを肴にビールが進みます(笑)。
何でしょう。最初食べたときはもう来なくてもいいかなぐらいの死んだテンションだったのに、口が乾かぬうちに自然と来ているこの違和感。心の持って行きかたがわかりません。
くせになるのは甘さのせいなのでしょうか?かた焼きそばを甘くするとは、まさに焼きそばルネサンス!
毎月の長野出張は、いつもよりちょっと特別な日になりました。
世界化できる可能性。地方再生のヒント。
いむらやの焼きそばのような地方にしかなく、現地の人が魅力とも思っていないようなものは、地方再生の起爆剤になりうると思います。
観光客と現地住民で食べるものや行くところが違うというのは、よくある現象です。この現象を逆手に取り、現地食をインスタやツイッターなど、グローバルに使われているツールで広めれば、バズる可能性がある。インバウンド受けも良いことでしょう。
いむらやの焼きそばを味わいながら、第二の故郷、信州の幸せを願うのでした。
いむらやも 焼きそばも 山とそびえて世に仰ぎ 川と流れて名は尽ず
おわり。
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※2020年2月15日、導入部分追加、微修正。
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