Yuka

スイス在住。べルン大学で修士課程(社会言語学)修了。継承語教育、ミックスのアイデンティ…

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スイス在住。べルン大学で修士課程(社会言語学)修了。継承語教育、ミックスのアイデンティティ形成について記事をまとめたり。語学習得とアルツハイマー予防の関連性、成人の継承語教育に興味があります。

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固定された記事

自己紹介

簡単な経歴と自己紹介公立大学英文学科卒業 大学卒業後、中学校英語教諭として働く その後、スイス人夫との婚約を機に学生ビザでスイスに移住 結婚後も引き続きドイツ語を…

Yuka
2か月前
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ハーフモデルという言葉について思う事

ここ最近、子供の夏服を買いたくなっていろんなサイトを見ていたけれど、日本のサイトって特に、ハーフモデルの起用多くないですか…? この現象に違和感を持つのは私だけ…

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3週間前
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自分の人生の決定権は、自分にある

こんにちは。 産後少しずつ落ち着いてきて、自分の時間も持てるようになってきたら、相変わらずのクセである、余計なことを考える時間が増えてしまった。 趣味があれば、…

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1か月前
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スイスのリスキリングのシステム

こんにちは。 今日は簡単にスイスのリスキリングのシステムについてかなり小さい範囲ではありますが紹介できたらと思います。 キャリア形成にはリスキリング必須なスイス…

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1か月前
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人生は自分の思い通りにいくことのほうが少ない

人生は自分の思い通りにいくことのほうが少ない こう聞くと、少しネガティブな響きに聞こえるかもしれない。 だけど、自分の人生を振り返ってみると、思い通りにはいかな…

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1か月前
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スイスの大学院について

今回はスイスの大学院について紹介しようと思います。 もちろん、学科やキャンパスによって雰囲気が異なるので、かなり私の個人的体験ベースでの紹介にはなりますが、特徴…

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2か月前
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修論提出、修士試験、出産があった12月を振り返る

みなさんこんにちは。 既に前回の記事から6カ月も経っており、時間が過ぎるのは早いな~。と実感する今日この頃。 記憶が残っているうちに、人生で恐らく一番イベントの多…

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3か月前
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多様性が生む分断

こんにちは。 今日は大学の友人との会話から一つ考えさせられた、多様性について記事を書いていきたいと思います。 多様性とはそもそも何なのか多様という言葉を聞くと、…

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9か月前
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海外で暮らすようになって、自分が弱くなった。

西 加奈子さんの、【くもをさがす】を読んだ。 “人は一人では生きてゆけない。改めて強く感じる。 それは当たり前のことのはずなのに、やはり私はどこかで、1人でも生き…

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11か月前
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スイスドイツ語のインプットをして感じたこと

今日は人生で初めてかもってくらいにスイスドイツ語に浸れた一日だったので、その初体験の感覚を言語化していきたいなと思います。 スイスドイツ語とはそもそもスイスドイ…

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1年前
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アイデンティティと継承語教育学習(ニュージーランドでのケーススタディ)

今回は、アイデンティティと継承語教育について、ニュージーランドでケーススタディとしてとれたデータを紹介していきます。 被験者は ① NZ(White)と韓国人のミックスで…

Yuka
1年前
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人種アイデンティティの形成がバイリンガルの言語維持と発達にどう影響しているのか

今回はTse Lucy が2000年に書いた論文を紹介したいと思います。 Tseは、アメリカに住むアジア人移民をインタビューし、彼らの人種形成(アジア人のバックグランドを持ちな…

Yuka
1年前
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ラベリングが好きな西欧人

こんにちは。 今日は、頭の中に浮かんできた日本社会とスイス社会(ドイツ語圏)の違いを言語化していきたいと思います。 ラベリングとは?ラベリングとは、社会学や社会言…

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1年前
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継承語の能力とアイデンティティの関連性について

こんにちは。 今日はHeritage Langugae Journal (継承語ジャーナル)で読んだ記事の結果をふまえて思ったことを綴っていきたいと思います。 この記事は、筆者がオーストラ…

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1年前
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子供が初めての“一語”を話せるようになるまでに必要な身体と脳の発達

こんにちは、今回は子供がまず言語を話せるようになるまで(初めての一語を)に他にどんな側面が関係しているのかについてまとめていきたいと思います。 ざっとまとめると …

Yuka
1年前
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Maximal View Minimal Viewについて

今回は 1) Maximal View 2) Minimal View の二つのバイリンガルの論理を紹介します。 1)Maximal View バイリンガルはL1(第一言語)も、L2(第二言語)も同レベルの言語能力…

Yuka
1年前
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自己紹介

簡単な経歴と自己紹介公立大学英文学科卒業
大学卒業後、中学校英語教諭として働く

その後、スイス人夫との婚約を機に学生ビザでスイスに移住
結婚後も引き続きドイツ語を学び、その後ベルン大学大学院(社会言語学)へ進学し修了
現在第一子を子育て中、ドイツ語オンラインレッスン中、そして現地就活中

大学院へ進学した経緯中学校教諭として働いている最中、国際教育へ興味を持つ
(ここでの国際教育とは、日本に在住

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ハーフモデルという言葉について思う事

ハーフモデルという言葉について思う事

ここ最近、子供の夏服を買いたくなっていろんなサイトを見ていたけれど、日本のサイトって特に、ハーフモデルの起用多くないですか…?

この現象に違和感を持つのは私だけでしょうか。
‘ハーフモデル’と聞けば白人と日本人のミックスの様子を想像する人が多いかと思います。

私は大学院でミックスのアイデンティティやミックスの方々の国籍にまつわる複雑な心境についての研究論文を幾つか読んできました。

また、自身

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自分の人生の決定権は、自分にある

自分の人生の決定権は、自分にある

こんにちは。

産後少しずつ落ち着いてきて、自分の時間も持てるようになってきたら、相変わらずのクセである、余計なことを考える時間が増えてしまった。

趣味があれば、よし!この時間を趣味に費やそう!
なんて思えるのだが、残念ながら今の私に新しい趣味を見つける気力と、自分の心が躍るような楽しい趣味を持ってはいない。

よし、この時間を何に活かそうか?

と考えると、たどり着くのはまた働きたいから就活す

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スイスのリスキリングのシステム

スイスのリスキリングのシステム

こんにちは。
今日は簡単にスイスのリスキリングのシステムについてかなり小さい範囲ではありますが紹介できたらと思います。

キャリア形成にはリスキリング必須なスイス日本でも昨今では終身雇用制度がほぼ崩壊していると言われていますが、スイスは割と日本よりも前に終身雇用のシステムが薄れていったと思います。

そもそもスイスでは、Weiterbildung(ワイタービルドゥング)と呼ばれる、資格やスキルを身

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人生は自分の思い通りにいくことのほうが少ない

人生は自分の思い通りにいくことのほうが少ない

人生は自分の思い通りにいくことのほうが少ない

こう聞くと、少しネガティブな響きに聞こえるかもしれない。
だけど、自分の人生を振り返ってみると、思い通りにはいかなかったけど、結局とても良い経験ができたことが多かったように思う。

そもそも、思い通りの人生とはなんなのか?と少し考えてみた。

目標を達成する、ゴールに向かって進みその結果を得る。など、短いスパンで思い通りの結果を得ることができるか否か

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スイスの大学院について

スイスの大学院について

今回はスイスの大学院について紹介しようと思います。
もちろん、学科やキャンパスによって雰囲気が異なるので、かなり私の個人的体験ベースでの紹介にはなりますが、特徴など、お伝えできたらと…

スイスの大学院への申請方法まずスイスの大学院へ申請したい場合は、各々の大学のウェブサイトでの募集要項を確認する必要があります

私の場合、英語とドイツ語ベースの講義受講、そしてアカデミックなことを学ぶこと(言語

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修論提出、修士試験、出産があった12月を振り返る

修論提出、修士試験、出産があった12月を振り返る

みなさんこんにちは。
既に前回の記事から6カ月も経っており、時間が過ぎるのは早いな~。と実感する今日この頃。
記憶が残っているうちに、人生で恐らく一番イベントの多かった2023年12月のことについて書き示しておこうと思う。

修論提出2020年コロナが世界中に蔓延した年、私は当時カフェでバイトをしていたわけだが、皆さんもご存知の通り、ロックダウンという措置が行われ(ロックダウンという単語が死語のよ

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多様性が生む分断

多様性が生む分断

こんにちは。
今日は大学の友人との会話から一つ考えさせられた、多様性について記事を書いていきたいと思います。

多様性とはそもそも何なのか多様という言葉を聞くと、色んな、とか、様々な、とか、異なるといったような言葉を連想するであろう。
実際に社会学でも、多様性という言葉は

[ある集団の中に異なる特徴•特性を持つ人がともに存在すること]

と定義されている。
従って、多様性を受け入れる、なんていう

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海外で暮らすようになって、自分が弱くなった。

海外で暮らすようになって、自分が弱くなった。

西 加奈子さんの、【くもをさがす】を読んだ。

“人は一人では生きてゆけない。改めて強く感じる。
それは当たり前のことのはずなのに、やはり私はどこかで、1人でも生きていける。そう驕っていたのではなかろうか。少なくとも東京ではそうだった。

32才の時に、マンションを買った。人生で一番高い買い物に手が震えたが、同時に興奮していた。自分がこんなことを成し遂げられるなんて、思ってもみなかった。
それから

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スイスドイツ語のインプットをして感じたこと

今日は人生で初めてかもってくらいにスイスドイツ語に浸れた一日だったので、その初体験の感覚を言語化していきたいなと思います。

スイスドイツ語とはそもそもスイスドイツ語って何?と思われるかもしれませんが、簡単に言うと、ドイツ語とは異なる文法形態や語彙を持つ、スイスのドイツ語圏で話される言語のことです。分かりやすく言うと、ドイツ語の方言です。

この言語は、標準ドイツ語(ドイツで話される言語)を習得し

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アイデンティティと継承語教育学習(ニュージーランドでのケーススタディ)

アイデンティティと継承語教育学習(ニュージーランドでのケーススタディ)

今回は、アイデンティティと継承語教育について、ニュージーランドでケーススタディとしてとれたデータを紹介していきます。

被験者は
① NZ(White)と韓国人のミックスである大学生
② 韓国人と日本人のミックスである大学生
です。

この二人の語りを分析し、継承語教育はアイデンティティ形成にどのような役割を果たすのか?について筆者であるParkとChungはデータをまとめています。

参考文献

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人種アイデンティティの形成がバイリンガルの言語維持と発達にどう影響しているのか

人種アイデンティティの形成がバイリンガルの言語維持と発達にどう影響しているのか

今回はTse Lucy が2000年に書いた論文を紹介したいと思います。

Tseは、アメリカに住むアジア人移民をインタビューし、彼らの人種形成(アジア人のバックグランドを持ちながら“アメリカ人”として生きる事)のプロセスにおいて、どうマイノリティ言語(日系アメリカ人であれば日本語がマイノリティ言語)が維持されるのか、また人種アイデンティティの形成について、インタビューの返答を分析しました。

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ラベリングが好きな西欧人

ラベリングが好きな西欧人

こんにちは。
今日は、頭の中に浮かんできた日本社会とスイス社会(ドイツ語圏)の違いを言語化していきたいと思います。

ラベリングとは?ラベリングとは、社会学や社会言語学でよく用いられる専門用語で、要は人をカテゴリ分けする。という考えが発祥の言葉です。
1960年~70年代までは、特に社会的マイノリティや、スティグマ(差別)をうけている人達と、マジョリティとを区別するのに使われていた言葉です。

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継承語の能力とアイデンティティの関連性について

継承語の能力とアイデンティティの関連性について

こんにちは。

今日はHeritage Langugae Journal (継承語ジャーナル)で読んだ記事の結果をふまえて思ったことを綴っていきたいと思います。

この記事は、筆者がオーストラリアに住む日本にルーツを持つ子供たちを対象にアンケートを集計、インタビューを行い、彼らのエスニックルーツ(自分を日本人かオーストラリア人か、それともハーフと思うか?など)と日本語能力の関連性について論じたもの

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子供が初めての“一語”を話せるようになるまでに必要な身体と脳の発達

子供が初めての“一語”を話せるようになるまでに必要な身体と脳の発達

こんにちは、今回は子供がまず言語を話せるようになるまで(初めての一語を)に他にどんな側面が関係しているのかについてまとめていきたいと思います。

ざっとまとめると

①舌の発達 (Motorik und Physiologie)

②音韻能力の発達 (Phonologische Entwicklung)

③物の認知 (Objektkognition)

④実用的部分の発達 (Pragmatisc

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Maximal View Minimal Viewについて

今回は
1) Maximal View
2) Minimal View

の二つのバイリンガルの論理を紹介します。

1)Maximal View
バイリンガルはL1(第一言語)も、L2(第二言語)も同レベルの言語能力を持つという見方です。要は、バイリンガルは二種の言語を備えている人間だという見方です。

2)Minimal View
すべての人間はバイリンガルであるという見方です。
要は、方言も

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