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2023年ベストアルバム
今年はいつもより各レビューを短めにして、レコードでよく聴いた音楽や、過去作も含めて今年出会った音楽について書くことにしました。
コロナも少しずつ落ち着いてきて、ライヴにもたくさん足を運んだ一年になったと思います。なかなかたくさんの新譜を聴くことが出来なかった気もしますが、まだまだこんなに新しい音-楽の可能性が開かれているのだということに、強い希望を感じる作品がたくさん生まれた年だったように感じてい
2022年ベストアルバム
1. BADモード/宇多田ヒカル
リード曲である「BADモード」(M-1)を初めて聴いたとき、「ネトフリ」と「ウーバーイーツ」という単語が耳に飛び込んできて、誰もがたちまち度肝を抜かれたことでしょう。あぁ、こんなに軽やかに時代性を象徴するワードをさらりと入れてくる・・・痺れました。そして冒頭の力のないため息が、この曲が持っている揺蕩うような空気感、リバーブの効いたギターと、エレピの響きが湛える懐
2021年ベストアルバム
1. An Evening With Silk Sonic/Silk Sonic
今年の3月に「Leave The Door Open」(M-2)がリリースされた時、やられた、と同時に、こりゃずるいよ…と言う感慨とともに浮かんでくるにやけ顔を禁じ得ませんでした。
1枚目は、現代アメリカのポップス界を代表する二人のスターによるタッグ、Silk Sonicのデビューアルバムに決定です。2016年に
新宿駅のバーキンが消えた
バイト終わり。たまの贅沢に寄っていた新宿駅のバーガーキングが閉店してしまった。
あの日のことはよく覚えている。いつも通りバイトを終えて駅へ向かった私はテリヤキワッパーの口になっており、京王モールへと足早に向かった。献血の協力を求める声を左に、いつも申し訳ない、と思いつつ店へと急ぐ。
テリヤキワッパーのパティは、硬質でドライな口当たりが特徴だ。あの、粗めにひいて固めた肉感の強い塊は、噛みごたえが
2019年ベストアルバム
1. IGOR/Tyler, the Creator
前作の『Flower Boy』(2017)に引き続き、今回も遊び心満載の一枚をリリースしてきました。一曲目の「IGOR’S THEME」(M-1)、一発目に鳴るシンセの音から壮大な叙事詩の幕開け感がすごいです。この音色、「EARFQUAKE」(M-2)ほかアルバム内のいろんな楽曲で多用されているので、タイラーの今作お気に入りサウンドなの