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131「神曲 天国篇」ダンテ
地獄篇、煉獄篇、と順に読んできてようやく天国である。下世話な人間なので清いものよりはおぞましいものの方に興味深々ではあるが、やっぱり『地獄篇』だけでなく『天国篇』まで通してよむと黄泉の国旅行記として達成感が違う。
漏斗状の穴を地底に向かって降りていく地獄、地獄の底からぐるっと重力を反転した山を登っていく煉獄、天空を上昇する天国。ビジュアルのイメージの壮大さは、貧相な私の想像力をもってしてもぶるっ
120「白鯨」メルヴィル
477グラム。翻訳でも漫画化したものでも映像化したものでも、バージョン違いがたくさん楽しめるエンタテインメントの宝庫『白鯨』。
角川文庫が二冊分冊なので安く手に入るのだけど、岩波文庫の方が訳も読みやすく挿絵や図なども楽しい。初めて読むなら三冊分冊で少し高いが岩波文庫の方をおすすめしたい。
片足に鯨骨の義足をつけたエイハブ船長が、自らの脚をうばった巨大な白鯨に復讐を誓い、追い詰めた挙句に船員も
118「犬の心臓」ブルガーコフ
201グラム。犬に人間の脳下垂体と睾丸を移植する話であり、この際あまり心臓は関係ないのだが、タイトルは『犬の心臓』である。
そして実は睾丸を移植した理由もなんだかよくわからない。学問一筋で名声を得た独身の老教授と、その教授を尊敬するハンサムでやはり独身の助手が二人でたいして説明もなく犬に人の睾丸を移植する。君たち何やってるの。
作品は、犬の一人称語りではじまる。名前はまだない。
ウォウォー