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北朝鮮の“ゴミ”が近隣国にとって“宝”になる可能性を秘めているわけ(#62)

北朝鮮の“ゴミ”が近隣国にとって“宝”になる可能性を秘めているわけ(#62)

アートとデザインの間にある違いは平たくいえば「用途があるかどうか」である。

後者はそれがあるものを指す。

ところで浮世絵はアートなのだろうか、それともデザインだろうか。

今ではアートかもしれない。

ただ、元々はその枠に当てはまらなかった。

アートやデザインといった概念は西欧由来のもので、江戸時代にはそんな概念がなかったからである。

そもそも浮世絵は何だったのか?

新聞だった。

そし

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“ゴミ拾い”と“金運”、それらの相性が良い理由 ~溝に落とされた吸殻が向かったその先は~(#55)

“ゴミ拾い”と“金運”、それらの相性が良い理由 ~溝に落とされた吸殻が向かったその先は~(#55)

年の瀬のある夜、セブンイレブンの前に一人の女性がいました。
彼女は駐車した後、降車し、外でタバコを燻らせ始めます。
そのコンビニは喫煙場所を設置していませんでした。
同乗者がいたかどうかは分かりませんが、数分と経たないうちに促されるようにタバコの火を消して、その吸殻をどこに捨てるべきか迷った挙句、道にある排水溝へ屈んで落としたのです。
その所作はなんとも慇懃だったので、妙な違和感を覚えました。

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ランチメイト症候群とは(#41)

ランチメイト症候群とは(#41)

みなさん「ランチメイト症候群」という言葉を御存知でしょうか?
昼食時間に一緒に食べる相手がいないことに恐怖を覚えるといったものの総称です。
2018年には『ランチメイト症候群』という題名の短編フィルムが公開されたそうです。

※写真引用:FilmMarksより

個人的にその存在を初めて知ったのは2013年、米倉涼子主演ドラマ『35歳の高校生』で昼食の弁当をトイレで食べるというシーンからでした。

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地球に“最果て”がなかったように、出入口もいつだって通過点。(#12)

地球に“最果て”がなかったように、出入口もいつだって通過点。(#12)

『けものみち』という小説を御存じだろうか。松本清張原作でこれまで何度もドラマ化、映画化されてきた作品だ。料亭の女中だった主人公の成沢民子が小滝という男に政財界の黒幕・鬼頭洪太の愛人になるように誘われる、というのが物語の始まりだ。民子には脊髄損傷の亭主がいたが、彼にとって彼女は執着の対象、暴力的のはけ口でしかなかった。ある日、小滝は民子いう。「あなたにとって必要なのは入口ではなく、出口ではありません

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『ドラえもん』の空き地の中に"土管”が置かれている理由(#40)

『ドラえもん』の空き地の中に"土管”が置かれている理由(#40)

御存知『ドラえもん』は1969年に雑誌連載が開始し、今尚、TV放映されている世界的アニメのひとつです。
同時にその中で映し出された世界は時間の経過とともに現在の日常から徐々に遠ざかっています。
しかし時間の経過がない世界、それがドラえもんの世界観としてまた世間に認知され、受け入れられています。
その一つが裏山の存在であったり、空き地の存在であります。
おそらく連載前後は日本中でまだそのような風景が

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Movie:『PAD MAN 〜5億人の女性を救った男』(2018, 🇮🇳)(#4)

Movie:『PAD MAN 〜5億人の女性を救った男』(2018, 🇮🇳)(#4)

“ナプキンなどの生理用品を隠して使う”、そんな文化は日本にもあるようだ。確かに生理用品の話を真剣にしたことはない気がする。
それも良いはいえないが、たとえ”こっそり”であっても女性自身が生理用品を使うことに積極的であれば、まだ良い。そこから議論に至る余地があるからだ。しかし、そもそも使用すら拒むような状況であれば、最悪死と結び付いてしまう可能性すらある。そう、この映画の始まりはまさにその使用を拒む

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看书:『トイレは世界を救う〜ミスター・トイレが語る 貧困と世界ウンコ情勢〜』(#3)

看书:『トイレは世界を救う〜ミスター・トイレが語る 貧困と世界ウンコ情勢〜』(#3)

富士山にゴミ問題があるように、エベレストにも同様の問題があるようだ。登山家の野口健氏の活動で有名だが、実はエベレストにはトイレがないらしい。それは物理的な理由かもしれないが、多くが先進国から凍った”糞尿”を置き土産にされているようだ。
エベレストにおいて第一は生命の維持だ。衛生面はずっと優先順位が低い。
しかし雪山と同じく衛生面の優先順位の低い状態が世界に”へばりついている”。それは文化なのか宗教

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看书:『WOODAP 上下水道の未来への処方箋』(#2)

看书:『WOODAP 上下水道の未来への処方箋』(#2)

国土交通省が平成30年に纏めたデータによると蛇口からそのまま水道水を飲める国は世界で9ヵ国しかないそうです。

日本はそのうちのひとつ。だからこれからも安泰かというと、そうではないようです。何故でしょう。設備の老朽化と技術継承者不足。水道関係も例外ではないようです。つまり日本の上下水道事業も変革期に入っているといえます。
しかし各自治体等で中々足並みが揃っていないなど問題は様々です。

本書は民間

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看书:『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(#1)

看书:『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(#1)

インド国民13億人のうち11億人がスマートフォンを所有している。しかし6億人が自宅にトイレがないという。日本ではちょっと考えられない“常識”があるようだ。

トイレがないから犯罪(性犯罪)が起きる、など、“日本の常識”的立場から安直な発言は慎むべきかもしれない。

トイレの有無は根底でヒンズーの教えと結びついており、問題は一筋縄とはいかない(“浄-不浄”の二項対立)。
またインフラのコモデティ化が

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