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強迫性障害と私-世界がほんのちょっと広がった日-③

※こちらは以下の記事の続編となりますので、初めてご覧になる方はぜひ①から順にお読みくださいませm(_ _)m
以前の記事はこちら→
https://note.com/rin_990206/n/n1a007b75edb4
https://note.com/rin_990206/n/n61f7b064d6df

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多分それは、
「社会科」を学んでいくにつれて、
自分の中で新たに対比が
出来るようになっていったから。

自分が今置かれている世界。

「強迫性障害のせいで、
 自分の人生めちゃくちゃにされた」


と憎んで、周りを羨んで、
ひたすら強迫性障害と闘っている自分と、

過去の歴史の中で、
当時の私なんかが想像し得ないくらい、
辛い思いをして死に追いやられた人たち。

そんな時代は違えど、
それぞれが生きる世界の対比が、

「自分の見ている世界って、
 案外ちっぽけなのかもしれない…」

そんなことを思わせてくれた。

自分が生きる世界を客観的に
映し出してくれるものになっていた。

これは、
過去に苦しんだ人たちと
自分が今置かれている状況とを比べて、

「自分の方がまだ幸せなんだ。」
と優越に浸っているわけではない。

それよりかむしろ、
自分ばかりが不幸だと思っていた、
そんな世界にどっぷりの、
それが全てだと思っていた自分が、

「もっと新たに色んな世界を知っていく」

そんな感覚に近い。

色んな世界があると知っていくと、

「自分が世界で一番不幸なんだ。」

そんないわゆる悲劇のヒロインのように
思っていた自分を、
一旦冷静に立ち返らせてくれる。

だから、
どんどん視野が広がっていくことが
楽しくなっていったんだと思う。

そのワクワク感が、
「人が亡くなるのは怖い。悲しい。」
という気持ちも、
いつの間にか弱めてくれるものになっていた。

それからというもの、
歴史を辿る授業は「戦争」のテーマを
一番前のめりに受けるようになり、

テレビのニュースは
一日中テレビの前でかじりついて、
観てしまうこともあったり、

かなりグロめな、
何なら普段は平気な母ですら、

「チャンネル変えて!」
と言うほどの医療ドラマでさえ、

自ら進んで観るようになっていた。

とは言っても、これだからと言って、
強迫性障害が良くなったというわけではなかった。

けれど、
「自分が世界で一番不幸せで辛いんだ。」 
としか思えなかった、  
それしか見えていなかった自分の世界が
ほんのちょっと広がったことで、

強迫性障害で辛いのには変わりないけど、 

そんな自分に対しても、
ちょっと客観的に見られるようになった
自分もいた。

強迫性障害の治療をしている自分も
世界から見れば、

「ある一片の小さな世界に
 過ぎないのかもしれない。」

そんな感覚で冷静に前向きに、
治療にも当たれるようになっていた。

こんなちょっとした世界の広がりによって、
「社会科」との出会いによって、

強迫性障害である自分自身も
だんだんと受け入れられるようになり、

「強迫性障害が治っていく」

その道の始まりの、
大きな一歩となってくれたことは
間違いないだろう。

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私にとっては「社会科」が、
たまたま私が生きる世界を
広げてくれるものになったけど、

きっとそれが
何であっても良いんだと思う。

何らかの形で、ふとしたところで、

「自分が生きる世界とはまた別の世界」
があることを知っていく。

それが、
自分が今抱えている問題や
「何で自分だけ」と嘆きたくなるような辛さを
ふっと自分の外側に置いてくれたり、

ほんのちょっとだとしても、
その痛みを和らげてくれるものになってくれる
と思うから。

たとえ目の前に広がるのは、
地獄に突き落とされたような現実だったとしても、

そんな自分の苦しみを
少しでも取り除いてあげるために、

少しでも「心から幸せだ」と
感じられる瞬間を増やしてあげるために、

とりあえず前へ進む。

そうすれば、

その道の途中で必ず、
「自分の世界を広げてくれる何か」
に出会えるのだと思う。

そしてそれが、
その後の自分の人生に
大きな影響を与えるものになる可能性だって
大いにあるのだ。

実際に私は、
「社会科」との出会いによって
大学では歴史を学ぶ「史学科」へ入学し、

尊敬するゼミの先生の元で、
歴史関係の仕事を
させてもらうことにもなったから。

きっと、
世界はものすごく広くて、

あなたも、私も、
そこの名前の知らないあの人だって、

たくさんの可能性で満ちている。

そんなことを私は信じて止まない。

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以上、三編に渡ってお送りさせていただきました。

ここまで辿り着いてくださり、
ありがとうございました。 

そんなあなたの日常に、
ちょっとでも寄り添えたら。
心の琴線に触れることが出来たなら。

ほんのわずかだとしても、
明日への光を見つけるきっかけになれたら。

そんな願いも込めて。

りん























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