kanrekishoujo

1回目の東京五輪の年生まれ。主に昭和40年代から平成初期の思い出話を空の写真とともに綴…

kanrekishoujo

1回目の東京五輪の年生まれ。主に昭和40年代から平成初期の思い出話を空の写真とともに綴ります。スマホなんか無くても生きていけた時代の話。よかったら息抜きにどうぞ。本業はライター(「良文工房」ryobunkobo.com)

記事一覧

別荘族になれなかった父

ワーケーションという言葉をひと頃ほど聞かなくなった気がする。コロナが終わったせいで流行らなくなったのか、あるいはみんなもう普通にやってるから取り立てて言うほどの…

kanrekishoujo
3日前
8

私はこうして悲しくないふりをする

あったものがなくなる。 いた人がいなくなる。 できたことができなくなる。 それを人は悲しいと思う。 でもいつまでも同じ、なんてものはない。 なかったものができる。 い…

kanrekishoujo
2週間前
19

不安

報道によれば、生成AIの普及で電力需要が爆発的に増えるそうだ。世界のデータセンター向けの電力需要は、2027年までのたった3年間に318寺ワット、いやテラワット増える。こ…

kanrekishoujo
3週間前
5

そういえば近ごろ

■近ごろ聞かなくなったもの――迷子のアナウンス。 昔はデパートや行楽地に行くと数時間に一度「○○をお召しになった3歳くらいの女のお子さんを○○でお預かりしており…

kanrekishoujo
3週間前
6

私がゾウを好きなわけ

じゃじゃ麺ちーたんたんリベンジで盛岡を再訪した。(前回訪問時の記事はこちら) 前回とは違うお店に入り、今回は無事、最後のちーたんたん(あらかた麺を食べ終わった皿…

kanrekishoujo
1か月前
9

平成初期が思い出せない

スマホやPCがなかった頃、どうやって仕事をしていたのかよく思い出せない。 私の場合、職場で初めて一人一台のパソコンをあてがわれたのは、平成9年(1997年)に転職した…

kanrekishoujo
1か月前
12

腕時計って昭和ですか?

愛用の腕時計が3本ある。その1本の電池が切れた。以前なら我が家から徒歩圏内にあったデパートの時計売り場に行ったものだが、そこが数年前に閉店してしまった。それで、プ…

kanrekishoujo
1か月前
11

盛岡市 vs 福島市

本州で一番大きい岩手県(15,275平方㎞)の県庁所在地、盛岡市。 本州で二番目に大きい福島県(13,783平方㎞)の県庁所在地、福島市。 どちらも内陸の元城下町。 どちらも…

kanrekishoujo
1か月前
17

なぜ「近寄るな」と言ったの?

私は昭和39(1964)年に神奈川県川崎市に生まれた。1回目の東京オリンピックの年、高度経済成長の真っただ中だ。小学校に上がったのは昭和45年。当時の川崎駅には駅前広場…

kanrekishoujo
2か月前
9

デパートは昭和ですか

私が現在住んでいる福島県福島市にはデパートがない。1990年代までは3軒も営業していたらしいが、ひとつ、またひとつと閉店し、最後に残っていた中合(なかごう)という地…

kanrekishoujo
3か月前
18

明けまして淡々と

お正月はいつもの通り川崎の実家に帰省。一人で暮らす母は1月3日が誕生日で、無事87歳を迎えた。無事とは言っても要介護の身。寄る年波には抗えず、特にここ1〜2年はできな…

kanrekishoujo
4か月前
7

そろそろ終活ちゃんと始めようか

久しぶりに県立図書館に行ったら、こんな本を見つけたので借りてみた。 内容紹介は省くがタイトルと帯からだいたいわかると思う。一気に読んでとにかく共感しまくった私は…

kanrekishoujo
7か月前
9

昭和には存在しなかったボキャブラリー

noteでも再び宣伝させてもらいますが、今年ワタクシ、初めて本を出版しました。 東京から福島に引っ越して以来、9年間綴ってきたブログを編集して自費出版したもので、ま…

kanrekishoujo
8か月前
12

滅私奉公は昭和ですかね?

「24時間戦えますか」というフレーズは、昭和63年(1988年)に発売になった栄養ドリンクのCMキャッチコピーだったそうだ。「企業戦士」なんて言葉は最近めっきり聞かなくな…

kanrekishoujo
8か月前
4

空の色はどうして青だったりオレンジだったりピンクだったり黄色だったり紫だったりするの?

kanrekishoujo
8か月前
4

処理水放出について福島に住む昭和のおばさんが思うところ

先日、東京から福島に遊びに来た友人(60代)に、「処理水の放出始まるけど、そしたら福島の魚ってどう思う?」と聞いてみた。 「別に福島の魚かどうか調べて買うわけじゃ…

kanrekishoujo
8か月前
6
別荘族になれなかった父

別荘族になれなかった父

ワーケーションという言葉をひと頃ほど聞かなくなった気がする。コロナが終わったせいで流行らなくなったのか、あるいはみんなもう普通にやってるから取り立てて言うほどのことでもなくなったのか。たぶん前者のような気がするけど。

地方移住あるいは二地域居住ブームもしかり。一時は地方創生に思わぬ追い風?と思ったら、コロナ収束と共に東京がまた転入超過に戻ったのは周知のとおりだ。

ところで、二地域居住なんてかた

もっとみる
私はこうして悲しくないふりをする

私はこうして悲しくないふりをする

あったものがなくなる。
いた人がいなくなる。
できたことができなくなる。
それを人は悲しいと思う。
でもいつまでも同じ、なんてものはない。
なかったものができる。
いなかった人が来る。
できなかったことができるようになる。
それを人は嬉しいと思う。
でもいつまでも同じ、なんてものはない。
できては消え、来ては去り、の繰り返し。
それ自体に良し悪しはない。
春夏秋冬に良し悪しはない。
生老病死にも良

もっとみる
不安

不安

報道によれば、生成AIの普及で電力需要が爆発的に増えるそうだ。世界のデータセンター向けの電力需要は、2027年までのたった3年間に318寺ワット、いやテラワット増える。これはインドネシア1国分の年間電力消費量に相当するんだとか。早晩「需要増大が供給能力の限界に直面する」という見立てもあるそうだが、私なんかは無知なりに、そりゃそうだろう、と率直に思う。

もしそれが本当なら
脱原発も脱炭素も不可能だ

もっとみる
そういえば近ごろ

そういえば近ごろ

■近ごろ聞かなくなったもの――迷子のアナウンス。

昔はデパートや行楽地に行くと数時間に一度「○○をお召しになった3歳くらいの女のお子さんを○○でお預かりしております」みたいな放送を聞いたものだ。まあ、最近はそんな人混みに行くこともなくなったが、たまに出かける大型ショッピングセンターでも、イマドキまずそんなアナウンスは耳にしない。

これは私が生まれ育った川崎市の昭和45(1970)年の資料映像だ

もっとみる
私がゾウを好きなわけ

私がゾウを好きなわけ

じゃじゃ麺ちーたんたんリベンジで盛岡を再訪した。(前回訪問時の記事はこちら)

前回とは違うお店に入り、今回は無事、最後のちーたんたん(あらかた麺を食べ終わった皿に溶き卵とゆで汁を入れてスープにする)まで完食した。たいへん満足したが、個人的にリピートはしなくていい気がした。それにしても周囲のジモティの食べるスピードには驚く。後から入店した女性もあっという間に麺を平らげ、私より先にちーたんたんステー

もっとみる
平成初期が思い出せない

平成初期が思い出せない

スマホやPCがなかった頃、どうやって仕事をしていたのかよく思い出せない。

私の場合、職場で初めて一人一台のパソコンをあてがわれたのは、平成9年(1997年)に転職した先の金融系の会社だった。その直前まで約6年間勤めていた小さな翻訳会社では、仕事の性質上コンピューター(というかワープロ専用機みたいなもの)はあったが、一人一台ではなかったし、流行り始めのインターネットともまだつながっていなかった(最

もっとみる
腕時計って昭和ですか?

腕時計って昭和ですか?

愛用の腕時計が3本ある。その1本の電池が切れた。以前なら我が家から徒歩圏内にあったデパートの時計売り場に行ったものだが、そこが数年前に閉店してしまった。それで、プラス6~7分歩いたところにある商店街の時計屋さんに行く。2軒あるがどちらも店内は昭和のままで、タイムスリップしたような気分になるのがちょっと楽しい。

今回お願いしたほうの店は、私より少しお若いかなという年代の店主に聞いたら5代目だそうだ

もっとみる
盛岡市 vs 福島市

盛岡市 vs 福島市

本州で一番大きい岩手県(15,275平方㎞)の県庁所在地、盛岡市。
本州で二番目に大きい福島県(13,783平方㎞)の県庁所在地、福島市。
どちらも内陸の元城下町。
どちらも人口は30万弱(28万@盛岡、27万@福島)かつ順調に減少中。
どちらも市街地からシンボル山を望む(岩手山@盛岡、吾妻山@福島)
どちらも市街地を大きな川が流れる(北上川@盛岡、阿武隈川@福島)。
ちなみに、東北新幹線は福島駅

もっとみる
なぜ「近寄るな」と言ったの?

なぜ「近寄るな」と言ったの?

私は昭和39(1964)年に神奈川県川崎市に生まれた。1回目の東京オリンピックの年、高度経済成長の真っただ中だ。小学校に上がったのは昭和45年。当時の川崎駅には駅前広場や線路の下をくぐる出来立ての地下道があって、隣町の私立小へ駅前からバスに乗って通学することになった私は、毎日その地下道を通っていた。

かなり幅が広かったように思うのだが、川崎市の記録映像を見てみると記憶よりもかなり狭い。幅は6メー

もっとみる
デパートは昭和ですか

デパートは昭和ですか

私が現在住んでいる福島県福島市にはデパートがない。1990年代までは3軒も営業していたらしいが、ひとつ、またひとつと閉店し、最後に残っていた中合(なかごう)という地場資本の百貨店も2020年夏についにクローズ。デパート無しの県庁所在地になってしまったのだ。

それで不便になったか、と言われればそうでもないというのが正直なところで、つまり百貨店という業態が時代の流れに合わなくなってきたのは事実だろう

もっとみる
明けまして淡々と

明けまして淡々と

お正月はいつもの通り川崎の実家に帰省。一人で暮らす母は1月3日が誕生日で、無事87歳を迎えた。無事とは言っても要介護の身。寄る年波には抗えず、特にここ1〜2年はできなくなったこと・やらなくなったことが格段に増えた気がする。

典型は料理だ。もともと間違っても料理好きとは言えない母だが、長年、自営業の家族4人の3食を作ってきた実績はある。それが今ではお米を研いで炊飯器のスイッチを入れるのがせいぜいに

もっとみる
そろそろ終活ちゃんと始めようか

そろそろ終活ちゃんと始めようか

久しぶりに県立図書館に行ったら、こんな本を見つけたので借りてみた。

内容紹介は省くがタイトルと帯からだいたいわかると思う。一気に読んでとにかく共感しまくった私は、さっそく著者の門賀美央子さんを真似て終活に踏み出した。

もちろん、まもなく還暦(数えではすでに到達)という私は「そろそろ終活」を意識し始めて久しい。まずは無用な延命治療をノーサンキューするためのリビングウィル作成については、日本尊厳死

もっとみる
昭和には存在しなかったボキャブラリー

昭和には存在しなかったボキャブラリー

noteでも再び宣伝させてもらいますが、今年ワタクシ、初めて本を出版しました。

東京から福島に引っ越して以来、9年間綴ってきたブログを編集して自費出版したもので、まあ友人知人以外には大して売れてないと思うが、私にとっては今年の一大イベントだった。

この本、親をネタにしてる部分も結構ある。だからというわけでもないが、6月中旬に刷り上がった後、まず献本したのは川崎の実家に住む母だった。残念ながら父

もっとみる
滅私奉公は昭和ですかね?

滅私奉公は昭和ですかね?

「24時間戦えますか」というフレーズは、昭和63年(1988年)に発売になった栄養ドリンクのCMキャッチコピーだったそうだ。「企業戦士」なんて言葉は最近めっきり聞かなくなったが、当時のサラリーマンはみんな「戦う」ものだったのだ。

その6年前、昭和57年(1982年)に岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」がリリースされたときも、「この都会(まち)は戦場だから 男はみんな 傷を負った戦士…」という歌詞に

もっとみる
処理水放出について福島に住む昭和のおばさんが思うところ

処理水放出について福島に住む昭和のおばさんが思うところ

先日、東京から福島に遊びに来た友人(60代)に、「処理水の放出始まるけど、そしたら福島の魚ってどう思う?」と聞いてみた。
「別に福島の魚かどうか調べて買うわけじゃないけど、福島のだって言われたらやっぱり敬遠するよ」
「なんで?」
「だってイメージ悪いじゃん」
「危ないっていうイメージ?具体的に何が危ないと思う?」
「そんなのわかんないよ。私、テレビも見ないし新聞も読まないし、科学的に安全って説明さ

もっとみる