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seiji_arita
2024年5月8日 23:04
「正しい場所」日付を持たぬ日々が通り過ぎて行く僕は自分自身が存在して無い事に気付いていない違う 存在しない者として ただ生きていた其処にある時間軸に従いながらも生の欠落を感じとっていた僕は空にある雲に触れた 其れは 硬質で鈍色な塊 其処には虚無で深い沈黙だけが渦巻いている聞こえる 何の意味も持たない音が大量のウィスキーが眠りに誘う意識
2024年5月7日 20:29
「言葉」非調和性を帯びた不協和音とトランス状態に似た微かではあるが確実な狂気意識と無意識の境目が手招きをする僕は半円形の世界を見ていた 其れはただ見る必要性に迫られたからで本当に見たいから見ていた訳じゃ無いいつしか僕は現実では無い世界の中に自分の見たいものを自分自身で見つけ出した其処には僕と個人的に結びついているとしか思えないそんな言葉が
2024年5月6日 14:37
「誰よりも」街路樹の並木が遊歩道の路面にくっきりとした涼しい影を落とすなんだか初夏に似た感じ誰かがギターを弾いて歌を歌っている僕等は海を見ていた 特に理由がある訳じゃ無いもしもあるとすれば 水と波音と其処に吹く風が僕等にとっては大切な意味を持っている 海は太陽の光を受け色や波の形や満ち引きの速さを変えて行く鮮明であり曖昧であり その輪郭の色
2024年5月5日 23:36
「Let It Be」時間の座標軸が少しずつ緩み崩れて行く濃密な気配を其処に残したまま深く理不尽な暗闇が世界を激しく揺さぶる朝の光と共に眠る僕は僕の一部を僕自身で発見するその時を其処で静かに待っている本棚から取り出した地図には僕の知らない場所 行った事の無い街が描かれている 無個性に似通った現実とは そんな夜テーブルの上にはケチャップだら
2024年5月2日 08:19
「境界線の北」意識の中で人工的に創り出した楽園その外に一歩足を踏み出すと途端に荒々しい現実に直面させられる擦り切れ始めた幻想の先 汚れた海が物哀しい波音を響かせるひとつひとつの点を線で辿る時幻想と現実の差異を認識する冷静にして沈着な計算を要求されている僕は失敗するわけにはいかない不調和 脱落 不協和音 遥かなる眼下虚空を睨むマリア像
2024年4月29日 19:40
「オッドアイ」静かで濃密な確信が其処にはある疑いの無い確信が恒常的に内紛の火種を抱える汚く猥雑で出鱈目な街 それでも街の夜景は綺麗に見えた屈曲していない純粋な微熱を帯びるイエスかノー 其処には一切の保留条項は無い窓から海が見えた 白い海と黒い海 波は無い僕は轍を見つけては其れを辿る強固な世界観を有した偽装社会の中で夕暮れの空を背景に観覧車が廻る
2024年4月24日 17:28
「君を捨てる」君を捨てる 其の傷跡は誰にも見えない深さや形を変えてなおも消える事無く記憶の中に生きている僕は独り君との足跡を辿る悲しみ 動揺 葛藤を含む象徴的な暗号誰にもわからない様に詩的に変換し吐露する事それが唯一の逃げ場である事を僕は知っていた斬殺 斬首された風の無い深淵其処に残された血を跡形も無く流し去る激しい雨僕は捨てられ 僕は君を
2024年4月23日 23:16
「破滅の淵」僕等は先を急いではいない 時間がかかるなら それでも構わない空をゆっくりと流れる雲は広い空の中に自分の居場所を定めている何処か遠くで誰かが誰かを呼んでいる僕等は世界でただひとつの完結した場所に辿り着く何処までも孤立し誰も入れない空間其処には差し出すものも求めるものも無い沈黙のうちに過ぎる時 だけど孤独に染まる事は無い彼女は僕の
2024年4月20日 17:42
「静脈」時間が不規則に揺らぐ僕が心の中の牢獄に閉じ込められている事を誰も知らない 其の牢獄を出る事は 簡単だ自分自身の意志で出てゆけば良い鍵をかけたのも鍵を開けるのも全ては自分自身周りの声達はもう僕に話しかける事を辞めていた僕は誰にも見る事の出来ない風景を睨みつける其処には枯渇した水脈がある僕が解き明かすべき暗号を君は持って居る現実と仮説
2024年4月19日 15:14
「神の月」起き忘れられた野心と色褪せた希望空白に似た諦めが目に見える空を無感覚に覆い尽くす其処に浮かび上がる薄い刃物の様な三日月は失うべきものは何も無い 命さえも そう静かに語る何日も風の強い夜が続く時々わけもなく涙が溢れただけどそんなに孤独じゃないよお前もそうだろう そう三日月に囁いた俺は意識の枠の外側で自分自身の神に触れるお前達の神じゃ
2024年4月18日 13:04
「記憶の庭園」僕は其処にひとつの季節の匂いを感じていた現実と幻想の境目僕が死んだのはもう一度再生する為だそうやって全ての事柄は死に再生する生命の萌芽を湛えた空が海に溶け落ちる其処にはどの様な地点も無く時間の感覚さえも無い死の無いところに再生は無い そう彼女は静かに囁いた永遠とは終わりなく何処までも続く道僕は記憶の庭園で彼女と会話を交わ
2024年4月16日 09:22
「風を待つ月」いつか遠からず其の日はやって来る長い沈黙の後にそう彼奴は言った僕は記憶の寿命を延命する様に 其の断片を永遠に刻み込む様に時折 彼奴の言葉を心の中に落とし込むジムビームとメンソールと小説とあの夜 高速の高架下から見上げた月僕は意識の中にある彼奴の扉をノックした彼奴の愛した最後の女 そして弟桜の花びらが結晶化する永遠を形造るもうひとつ
2024年4月14日 05:01
「方舟と幸せの鐘」心を失くした深い森の中を彷徨っていた全ては無音のうちに始まり邪悪な野獣と純粋な精霊の吐息を聞いた不確かな人生の灯りが揺れる暗い終末の気配を含んだ湿り気を帯びた風彼女は方舟…そう一言だけ呟いた特別な生命の匂いを彼女に感じた僕等に歌う歌があるとしたなら僕は漠然とそんな事を考えていた僕の純粋な仮説が保留の無い激しい愛を呼ぶ彼女に
2024年4月13日 15:25
「小世界」この世界には 絶対的な善も無ければ絶対的な悪も無い 善は悪に転換し 悪は善に転換する あるのは其の均衡だけだすなわち均衡そのものが善である其の本にはそう書かれていた死は解放でも復讐でも無く空白を生むだけだ僕はそう書き残した世界が同義を失い崩れてゆくのは僕達の苦悩や煩悶のせいでは無い雷鳴とどろく夜に全ての意味を知るいつだってどんな時