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教会の問題

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キリスト教会はとても居心地のよいところです。でも、満点を期待してはいけないでしょう。たくさんの問題を抱えています。とくに内側にいると見えないものを、なんとか見ようとするひねた者が… もっと読む
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教会の問題

教会の問題

教会もまた、ひとつの組織である。だが、新約聖書で「教会」と訳されている語は、私たちがイメージするものとはだいぶ違うように思われる。
 
もちろん、建物のことではない。これは教会の説教でもあり、鉄板の説明である。また、「共同体」であるとか、「信じる人々」のことであるとか、いろいろ注釈が加えられるのも、よくあることである。「呼び集められたもの」という、語源的な説明も、常識的である。そうして「一つ」にな

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逆説と説教

逆説と説教

「逆説」として自分が発案して説を出すとき、世間の人が騙されているのに自分だけは真理を見出した、のような心理を含んでいることがある。
 
はたして逆説とは何か。こういうときに、昔は決まって「広辞苑」によると……と言っていた。広辞苑信仰があった世代に染みついた性であるのかもしれない。少なくとも、それだけを権威にして寄りかかろうとはしないほうがよいだろう。
 
因みに、旧い広辞苑では、「逆説」について、

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思い込み

思い込み

今月8万円小遣いをもらった。気が大きくなってどんどん使ったら、最初よりも4万円減ってしまっていた。いくら使ったのだろうか。
 
もうすぐ五年生になる、勉強好きな面々。分からない。大きな声で4万円、などという。後にもうすぐ中三生となる生徒たちに同じ質問をしたが、これも4万円という返答。私は驚いた。
 
進学塾に勤め始めたころの勢いから、年々言語能力が落ちていることは分かっていた。だが、この数年、それ

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完璧にしなければ

完璧にしなければ

英語の授業に、ついて行けているでしょうか。無理だったら英語の授業を受けるのをやめようかと……。
 
最近塾に入った生徒の母親が悩みを相談してくる。担当は私である。実に意外だった。その生徒は熱心であり、よくできるからだ。確かに小学校では、聞いたり話したりというのは近年よく指導されている。教科となっているから、きちんと教えられている。ただ、小学校ではライティングについてはあまり強く指導していないようで

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手話を教えることについて

手話を教えることについて

だいたい、ろう者や手話について何の理解もできていない者が、分かったようなことを吐くというのは、当事者からすれば許しがたいことであろう。だから、無責任で無理解な愚か者の戯言とみて戴いて差し支えない。それでも聴者の側から何か呟いている、という価値をごく僅かでも認めてくださるなら、お読みくだされば幸いである。――
 
ろう者だけの教会もある。音楽的賛美が難しいという。しかし聴覚が立ち回り行かない原因は様

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説教と聖書

説教と聖書

礼拝説教を重んじるボーレンは、聖書朗読はどうしても必要であるわけではない、とその『説教学Ⅰ』でしきりに主張している。他方、聖書そのものが神の言葉であるから、その朗読こそが命である、と言う人もいる。ボーレンは、説教がその都度神の言葉となる、という方向で説教を見ている。それは、語る者がどうであれ、という辺りも考察しているから、必ずしも理想的な説教者を想定しているわけではないようだ。
 
それを読んでい

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他人の説教を読む礼拝

他人の説教を読む礼拝

アウグスティヌスの言葉らしい。説教者が、他人の説教を語る、ということについて述べているという。「有能ならざる説教者は、安んじて他人の説教を用いるように、と忠告している。」
 
ボーレンの『説教学Ⅰ』からの孫引きである。純粋に理論的に、というよりも、かなり情熱的な勢いも感じるこの本であるが、ここは冷静な態度を示しているように見える。他人の説教を語る、とはどういうことか。
 
牧師は、礼拝説教を、礼拝

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入門

入門

「哲学入門」というタイトルの本は、実に多い。シンプルにそれだけでも沢山あるが、もしそれにいくらかの飾り言葉が付くものまで含めると、数え切れないほどである。
 
何かを真面目に考えたい、という気持ちが、人々に「哲学入門」を手に取るように仕向けるのかもしれない。中には、哲学だったら、自分の考えをどんなふうに言い述べても構わないのだろう、と勘違いしている人もいる。科学であれば、いくら自分の信念を述べても

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チョコレートのように甘くない話

チョコレートのように甘くない話

バレンタインデーが今年も話題に上る。チョコレートの祭りだとなってから、たぶん半世紀以上になると思う。ところが最近、だいぶムードが変わってきた。女性から男性へチョコレート、という安直な図式が、必ずしも成り立たないというのだ。
 
ジェンダーの問題であれば、まだ社会的な意味合いもあるのだろうが、そうでもないようだ。男女関係なく、というのもあるようだし、自分へのご褒美、というものも少なからずあるらしい。

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第一印象

第一印象

もうかなり以前のことなので、詳しい経緯は覚えていない。大きなダイエー店に、購入した商品の不備を問い合わせたら、丁寧な対応をしてくれた。そんなのは当たり前だ、と思う人がいるかもしれないが、そこまでしてくれるのか、とうれしく感じた記憶だけが残っている。
 
レゴ社に、部品が足りないようだ、と問い合わせたこともある。これも丁寧な、そして迅速な対応で、送ってきてくれた。その後、ひょんなところからその部品が

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マニュアル頼り

マニュアル頼り

受験生のための仕事であるから、この時期、忙しいのはもちろん分かっていた。そして、それを幾度となく毎年繰り返してきた。けれども、今年は一段と与えられた負荷が大きく、仕事の持ち帰りを含めて、キャパオーバーになっているところがある。
 
それはありがたいことかもしれない。仕事があるからだ。だが受験生のために複数科目が宛がわれると、苦しいのは苦しい。さらに、推薦入試の作文指導となると、何十人もの作文を添削

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教会献金のはなし

教会献金のはなし

京都の教会は、私が洗礼を受けた頃、献金は記名式だった。つまり、自分の名前を書いた献金袋に額を記入し、献金することになる。礼拝の終わりのほうで献金を集めるとき、籠がまわってきたら、それに入れる。それとは別に、普通その礼拝における礼拝献金を入れるということにもなる。
 
教会では、月の収入からいくらいくらという形で献金をするものである。だから、月定献金と呼ぶその袋は、月の最初の礼拝で籠に入れる、という

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プロならば

プロならば

勤務する塾の前に道路があるが、信号無視は決してするな、というお達しになっている。生徒や保護者の目があるかもしれないところで、教師らしからぬことをしてはならぬ、という意味である。
 
学習塾の職員による不祥事が、今年大きく話題になった。被害に遭った子どもたちやご家族には、ここからも申し訳ない気持ちが起こる。不祥事というより、犯罪であり、取り返しのつかない深い傷を遺すものであった。これを受けて、スマホ

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ハッピー・クリスマス

ハッピー・クリスマス

12月8日は、真珠湾攻撃を以て太平洋戦争が始まった日。細かな事情はさておき、日付としてはこの日を、覚えておきたいと考えている。だが、中学生は、殆どこの日付を知らない。日本国憲法の公布と施行については、日付を正確に覚えないとテストに出るから覚えるが、テストに出ない日付については、知る由もないらしい。アメリカにとり、国内を初めて外部から攻撃された、屈辱の日であるために、いまなお憎しみを抱く人もいる。そ

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