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揺さぶられ日記

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うれしかったこと、悲しかったこと、怒ったことなどを書きます。
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映画『僕は君たちを憎まないことにした』を観て、私も人を憎まないことにした

映画『僕は君たちを憎まないことにした』を観て、私も人を憎まないことにした

昔、スナックで働いていた時、ちょっと悪そうなお客さんに「あんたはここぞという時、人を殺せるタイプの人間だ」と言われたことがある。ああそうだろうなと思った。もしも誰かによって大切な人の命が奪われたら、私は報復に行くだろう。返り討ちにあったっていい。私はそういう人間だと思う。

幸いそんな機会は訪れず平穏に暮らしていたので、その会話をすっかり忘れていたけれど、映画『僕は君たちを憎まないことにした』を観

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両立は諦めた

両立は諦めた

「育児と仕事の両立」という言葉について、ずっと考えている。

出産前は絶対に両立してやる!と意気込んでいたけれど、いざ産んでみると「両立ってなんだ?!」というメンタルになったのだ。

「両立」を辞書で引くと、「ふたつの性質の違うものが両方ともうまくいくこと」と書かれている。
なるほど、両方ともうまくいく、か。

ところで育児が「うまくいっている」とは、どの状態を指すんだろうか。子が死ななければ「う

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ある添削

ある添削

忘れられない添削がある。

とあるインタビュー記事の添削だ。

「お父さん」と書かれた箇所に、「お母さんは?」とコメントがついていた。

これは私が書いた記事ではなく、私が編集者として携わった記事だ。そしてこの添削は、あるライターさんの記事を私がチェックし、編集長にまわした際についたコメント。つまり私の添削漏れである。

添削漏れ、というより私はこの添削に気づかなかった。気づけなかった。

その場

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出産するとキャリアは止まるのか

出産するとキャリアは止まるのか

第一子を妊娠したとき、大きな幸せとともに大きな葛藤が訪れた。

子が生まれるのはうれしい。たのしみだ。
だけどフリーランスになって3年目、このタイミングでキャリアを止めることになるのか。

不安だった。
いつからいつまで働けないのかよく分からないし、会社員はだいたい一年ほど育休を取るらしいけれど、フリーランスの私が1年も休むのはリスクだ。1年の休暇が向こう5年に影響するかもしれない。そもそも育休手

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ビーツだっておいしい

ビーツだっておいしい

わたしはビーツが苦手だ。
かわいい色味で惹きつけておいて、食べると土の味がする(ことが多い)。

栄養価がとても高いし、家で取り扱うと手が真っ赤になるのでなるべく外で食べたいのだけど、外で食べてもやっぱり土臭くていつも後悔する。

苦手でありながら永遠の憧れみたいな存在。
好きになりたいけど好きになれない存在。

そんな

ビーツ



おいしいお店を見つけたよ。

読谷村のPastaカフェ「の

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保活はどうしてこんなにアナログなのか

保活はどうしてこんなにアナログなのか

第一希望の保育園にうかりました!

うれしいやら、寂しいやらですが、保育園については本当にたくさんの方に相談にのっていただいた結果なので、園選び、タイミングなどなど、すべてにおいて最善だと思ってます。いや、最善にします。

「AがあるからBができない」という考え方が昔から大嫌いで、育児と仕事、その他もろもろ全部やりたいんじゃー!と、ただただ一生懸命やってましたが、時間も体力も有限。(いい歳だしね)

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みんなやってる凄いこと

みんなやってる凄いこと

子どもってやつは、なんと教わることの多い存在だろう。

母になり、2ヶ月と少し。物理的にはお世話をしているけれど、精神的にはめっちゃ育てられているなと思う。

なにより、出産という壮絶な経験をたくさんの女性たちが済ましてきたという事実に、いまさらながらビビる。少なくとも1世紀分くらいの期間内に日本の人口一億数千万人分、この国のどこかで妊娠と出産が行われてきたのだ。そして今この瞬間もきっとどこかで、

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言葉の切れ味

言葉の切れ味

これは小説『昨日のカレー、明日のパン』に出てきたセリフ。

このセリフを見て改めて思う。「言葉」を扱う仕事をやってきて、私は呪いを解く言葉をひとつでも他者に提供できたことがあるだろうかと。

同時に、妊娠出産において、たくさんの人からもらったお守りみたいな言葉の数々を思い出した。

呪いを解く言葉いちばん心に残っているのは、編集で携わっているメディアの編集長からいただいた言葉だ。

グループチャッ

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美しい女とはどういう存在か。『あちらにいる鬼』を読んで

美しい女とはどういう存在か。『あちらにいる鬼』を読んで

GW中、見事に梅雨入りしたので朝から晩までずっと本を読んでいた。

読んだのは小説5冊。

知識を得る読書も計画していたけれど、泣いたり笑ったり温かくなったり考え込んだりするうちに、気付けば物語の世界にどっぷりと漬かっていた。(とくに『朝が来る』で嗚咽号泣しすぎて、もはや外出不可能な顔面になったよ)

どれも素晴らしい本ばかりだったのだけれど、なかでも1冊、心が深くえぐられるような衝撃的な小説に

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自分らしく働くってなに。私にしかできない仕事なんてこの世にあるの?の答え

自分らしく働くってなに。私にしかできない仕事なんてこの世にあるの?の答え

原稿を書くとき、いつも陥る沼がある。
それは既定の文字数に対し、下書きが倍以上になってしまうこと。

先日ついに、500文字の原稿に対して3000文字を書くということをやらかしてしまい、2日がかりで文字数削減を行う羽目になった。馬鹿である。

だけど私はこの件については反省しない。なぜなら大好きな脚本家・坂本裕二さんが、こう言っていたから。

書きすぎてしまう私はこの言葉にとても救われたし、残った

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平成を代表する歌姫は「悲しいことのすべてが、自分と向き合うためのきっかけだった」と言った

平成を代表する歌姫は「悲しいことのすべてが、自分と向き合うためのきっかけだった」と言った

ときどき見かける「新型コロナから学ぶ」とか「新型コロナが気付かせてくれた◯◯」みたいな表現に違和感を感じている。

そういう表現に至るのはなんとなくわかる。わたし自身、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛や「これまで普通にできていたこと」ができなくなったことで人に感謝したり、「普通」のありがたみに気付くことはあったから。

だけどこれは、普段当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくなったことで

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多様性を学ぶことは、目の前のひとりを知ろうとすること

多様性を学ぶことは、目の前のひとりを知ろうとすること

先日、編集の仕事である失敗をした。
添削し終えたライターさんの原稿を最終チェックに回したところ、編集長より添削漏れの指摘をいただいたのだ。

記事はお酒のおつまみにぴったりな商品の紹介。下記の文章にコメントが入った。

添削漏れ、というより私はこの誤りに気付けなかった。我が家では夫より私の方がお酒が大好きでよく飲むし、新婚時代に飲んでいた私に「既婚者はさっさと帰れ」と言った男友達への不満をブログに

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言葉ひとつに生き方が宿る

言葉ひとつに生き方が宿る

しばらく頭から離れない言葉があった。以前「マツコ会議」で満島ひかりさんが言った一言だ。

「成功とか失敗とかどっちでもよくて、自分が今持っているエネルギーが一番いいように循環するのがいいと思ってる」

以前から満島ひかりさんの独特な雰囲気が大好きで。柔らかくていい意味で軽くて、だけどうまく他人と距離をとってるところとか、芯が強そうなのに儚げな感じとか、あの不思議な魅力はどこから来るのだろうと思って

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「お値下げ」という言葉の下品

「お値下げ」という言葉の下品

以前、プロ奢ラレヤーさんの本を読んで以来、毛嫌いしていたメルカリを愛用している。(きっかけとなった記事はこちら↓)

毛嫌いしていた理由はひとつで、見ず知らずの人に住所を共有したり、金銭のやりとりで揉めるのが嫌だったからだ。「転売」という言葉の響きもあった。だけどプロ奢ラレヤーさんによる「物々交換」という表現や、住所が特定されないことなどを知り、試しにやってみたら割とよくて、もうかれこれ1年以上愛

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