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風の音色

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エスケープ

エスケープ

ぼくのある友だちは、
朝起きてあまりにも天気がいいので
学校には行かず、
学校の近くの小高い山に登り、
視界の開けた場所の草むらに寝転びながら
ただ空を見ていた。

その視界の先には
ぼくらが授業を受けている高校の校舎が
小さく見えたそうだ。
彼は他の生徒とは
少し変わったところがあった。
考え方がユニークだったのだ。

午後には学校に来て平然としていた。
先生も午前中無断欠席したことを
あれこれ

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難題

難題

頭の中で処理できない難題をどうしたものか
先送りすることもできるが
先送りしたところで
いずれ処理しなければならないことには変わらない

時間が解決するというのは都合のいい解法
苦悩が弾んでいる
苦しむのは今がいいのか 悩むのは先にするのか
足踏みは常の常 巡りめぐりて目眩がする

吹き出す汗をぬぐいながら
手っ取り早い解法を探してみる
サーチしても思う解法は出てこない
当事者の解法はどこにも載っ

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八朔

八朔

昨日、9月17日は「八朔」でした。
八朔とは、 八(8月)朔(朔日=1日)
つまり、旧暦の8月1日のこと。

わが郷里には、八朔祭りというのがあります。
正式名は、仁尾八朔人形祭りといい、
歴史上の一場面やおとぎ話を手作り人形で表した
人形を飾り、子供の健やかな成長を願う行事です。
残念ながら、今年は新型コロナウイルス感染防止
対策のため中止となりました。

八朔といえば、二百十日、二百二十日と

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迷宮話

迷宮話

なんやかんやと世の中は騒がしい
どないなってるんやと天の神さまは首をかしげて
空の上から地上を見てらっしゃる

いつからこんなややこしいことになってるんや
不思議がる神さまは
一緒に見ていた神さまに問うように見た

おかしいなぁ
こんな進化はプログラムにはなかったはずだが
バグだらけだったのかなぁ

雲のずっと上からため息をもらす神さまは
お手上げだお手上げだと
申されて思案にくれているそうな

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言葉と料理

言葉と料理

「言葉を料理する」と言います。
いわば、言葉は食材です。
それをどう料理するかは書き手の力量とセンス。
食材のことを知らないと料理法も間違う。
また、食材の鮮度も大事。
旬の言葉を知るということも大事なことです。

旬の言葉は、TVやネットだけで
見るものではありません。
旬の言葉は街にある。
街に出ない書き手は
体感として言葉を知らない人になりかねません。

ではベースとなる言葉はどこにあるので

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素敵に変わる

素敵に変わる

結婚するときに、よく言う言葉に
あなたは「変わらないままでいてほしい」
というのがあります。

けれど、ちょっと待ってほしい。
この言葉は、結婚時がピークだと言っている
ようなものだと思うのです。
男でも女でも同じだと思うけど。

でもそれは設定そのものが違っているというか
無理があると思うのです。
結婚はピークではなく入口。
登山口のようなもんです。
そこから上るのですよ。絶景を見るために。

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初秋の頃

よく見かけたトンボの群れ
初秋の夕暮れに群れは
日没を惜しむように飛び
景色に色味を増していく

自転車のペダルをこぎながら
家とは違う方向に走らせた
いつかの帰り道のように
君の自転車が見える場所まで

小さなため池のほとりで
君が通り過ぎるまで見ていた
帰り道に延びる影が
見えなくなるまでそこにいた

思えば夕焼けは
記憶まで染めて続く
懐かしさのグラデーションが
芯から広がっている

肩越しに夜が明ける

肩越しに夜が明ける

刺すような日差しが
なでるような日差しに変わった
あの夏でさえ穏やかな日に変わる

怒りや憤りの日が心を砕こうと
悲しみや切なさが心を襲おうと
その瞬間にはやわらげる時が近づいている

行き場を失っていても
やり場がなくても
君を包み込む風は温かい

忘れないで
時は止まらない
前へ先へ進むことだけを考えている

君が立ち止まっても
過去を振り返ろうと
その瞬間にも時は歩みを止めない

疲れ果てた

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感謝という鍵

感謝という鍵

「ありがとう」は前を向くための鍵。
「ありがとう」は過去を穏やかにする鍵。
「ありがとう」は運を好転させる鍵。
「ありがとう」は人間関係を丸くする鍵。
「ありがとう」は自分をやさしくする鍵。
「ありがとう」は子どもの頃の気持ちを
       忘れていない証。

今日も、ありがとう。
あなたを思うことができたこと。
今日も、ありがとう。
ぼくがぼくでいられたこと。
今日も、ありがとう。
ふたりに明

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灯り

灯り

世界中が希望を失っていようが
こころはあなたを求めている
だれも信じようとはしてくれないが
あなたには信じてほしい

世界中が救われないとしても
あなたがいることでぼくは救われる
世界中のだれに どんなに笑われようと
こころに嘘はつけない

夜の電話ボックスの中で
積み上げた百円玉を
一枚一枚落としながら
わずかな時間をつなげた

世界は距離を縮めて微笑む
あなたが電話線の向こうにいる
世界中が汚

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摩訶不思議な女子会

摩訶不思議な女子会

女子会というものは男性からすると
摩訶不思議なものである。
たまに、たまにではあるが
女子会に男性が招かれることがある。

そこに居ても不思議ではないと
女子会のメンバーに認められないと
決して呼ばれることはないのだが…
こればかりは男性が望んでも叶うものではない。

もしも、仮にもお呼ばれすることがあっても
そこで存在感を示そうとするとたいていはスベる。
まずは溶け込むことが大事だから。
同じ空

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