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時には感情的で周囲に弱みを見せられる社長の方が、人間味があっていいじゃない?

時には感情的で周囲に弱みを見せられる社長の方が、人間味があっていいじゃない?

職場読書部、今月の課題書籍。

押野満里子『社長はメンタルが9割』

感情コンサル・押野氏による、経営者としての重圧に苦しむ全ての社長に向けた1冊。

企業経営で一番大切なことは、社長さん自身がメンタル、すなわち心を整えること。

孤独な社長さんの心の悩みとその解決方法を、実際の相談事例とともに紹介しています。

●印象に残った部分

この文章を読んでふと、漫画・ワンピースの一場面を思い出しました

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寄り添うような言葉をえらぶ

寄り添うような言葉をえらぶ

大野萌子 著『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 言いかえ図鑑』を読み終えました。

本書では話の聞き方、注意の仕方、頼み事など場面に応じた例を出しながら、好かれる言葉への言いかえ紹介しています。

好かれる言葉の反対は、嫌われる言葉。

相手を不快にさせる言葉には次のような特徴があります。

・上から目線(~しといて)
・思い込み(~なのに)
・決めつけ(~でしょ)
・命令(~しなさい)

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苦味も渋味もある人生に、ほっとする甘味の一口を。

青山美智子『月曜日の抹茶カフェ』、読了。
東京と京都をつなぐ、12ヵ月12編の物語です。

●印象に残った一文

この世に生まれ落ちたときから、僕たちはただどこまでも繋がり続けている。

本作は、同著者『木曜日にはココアを』の続編です。
読み終えた時、京都での茶道体験を思い出しました。

茶道の世界から生まれた「一期一会」という言葉。
いま、この時間に集う人との関係は二度と同じものはない、一度きり

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辞書を製作する人が、言葉をうまく使えるとは限らない

辞書を製作する人が、言葉をうまく使えるとは限らない

しかし不器用でも、真剣な言葉こそが、胸に響く。

三浦しをん『舟を編む』、読了。

新しい辞書『大渡海』の出版に向けた長い長い旅の話。
辞書作りに向き合う様々な人たちの情熱や心模様が、文字を、言葉を通して伝わってくる。

主人公の馬締の不器用さが、愛おしい。

そして西岡さんの立ち位置が絶妙。

仕事とは、関わるすべての人の協力があってこそ成り立つもの。
2人の関係を見ていて、なんだかラーメンズの

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「どう見られたいか?」より「どう見たいか?」

「どう見られたいか?」より「どう見たいか?」

生きづらさを感じている人への、一冊。

若林正恭『ナナメの夕暮れ』、読了。
お笑いコンビ・オードリーのツッコミ、若林さんのエッセイ。

●印象に残った部分

自分の生き辛さの原因のほとんどが、他人の否定的な視線への恐怖だった。
その視線を殺すには、まず自分が“他人への否定的な視線”をやめるしかない。

若林さんは「生きづらさ」を抱えて生きてきた人の一人。

生きづらさの一つに、他人からの評価や視線

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聞いてアロエリーナ♪ちょっと言いにくいんだけど♪

聞いてアロエリーナ♪ちょっと言いにくいんだけど♪

満身創痍の中で紡がれた岸田さんの言葉は、読み手に気づきと笑顔と勇気を与えてくれる。
そして、彼女を応援したくなる。

岸田奈美『もうあかんわ日記』、読了。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』の著者である岸田さん。
noteに書かれた令和3年3月10日から4月15日までの日々を綴ったエッセイ。
父は急逝。弟はダウン症。
母は車いすユーザー、からのコロナ禍での大手術。
そして祖父

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たまには、うにうに。

たまには、うにうに。

住野よる『麦本三歩の好きなもの 第二集』、読了。

三歩の何気ない日常に、癒されました。

自身の日常の疲れが、物語とはいえ誰かの日常を知ることで癒されるとは。なんだか不思議なものです。

●印象に残った一文

何も届かなくてもいい、ちょっとだけ生きる責任を持ってあげられたらいい。

お隣さんとの関係性に関する話で出てきた一文。
たまたま玄関先で会えば、挨拶をするくらい。
しかし、壁一枚を隔てて、

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不要不急とあなたの「ホーム」

不要不急とあなたの「ホーム」

ここ数年で、仏教の考え方に興味を持つようになりました。
日々ストレスや生きづらさを抱える人間が、少しでも心穏やかに生きるにはどうすればよいか?
何をどう考えて、何を思って生きて行けばよいのか?
そのマインドセットを考えていたところ、仏教にたどり着きました。
昨年くらいから、Spotifyで松本紹圭さんの「テンプルモーニングラジオ」を聴いています。
そんな中、本屋でたまたま見つけた一冊。
これもご縁

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泣いて、笑って、支えて、支えられて

泣いて、笑って、支えて、支えられて

岸田奈美『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』、読了。

読書中、久々に声を出して大笑いしました。(自宅でよかった)
笑えて、ほっこりして、そしてハッとさせられる。
100文字で済むことを2,000文字で伝える作家の、自伝エッセイ。

急逝した父、車いすユーザーの母、知的障害の弟。
苦境を乗り越え、家族を支え、家族に支えられて、この家族は生きている。
読み終えた後にタイトルを見返す

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いくつもの後悔を抱えたまま、それでも人は前へ進むしかない。

いくつもの後悔を抱えたまま、それでも人は前へ進むしかない。

カツセマサヒコ『夜行秘密』、読了。
決して拭うことのできない、後悔の物語。

すべてを読み終えた後、第1章「夜行」を改めて読み返す。

”あの時、彼女の細い腕を、強引にでも掴むことができていたら。”
(本編より)

その瞬間、松田英治の心情が、一気に全身を駆け巡る。

鳥肌。

“行かないで 行かないで 夜行で駆け落ちたいよ 細い腕に絡みついた痛みも分けて欲しいから”
“夜の先に 春はなかったみた

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食べきれない苦しさは、シェアしよう?

食べきれない苦しさは、シェアしよう?

住野よる『麦本三歩の好きなもの』

図書館勤務20代女子、麦本三歩の何気ない日常を描いた連作短編集。
三歩の「好きなもの」にまつわる、基本的に平和で穏やかな日々のお話です。
(時には仕事で怒られたり、本人は必死にその日常を生きていると思いますが。)

●印象に残った一文

次は、二割をわたしにちょうだい。(短編「麦本三歩は君が好き」より)

三歩が友達と食事をしている場面。
何でも食べてもいいけど

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「心が病んでる人」って、どんな人を思い浮かべますか?

「心が病んでる人」って、どんな人を思い浮かべますか?

青山美智子『猫のお告げは樹の下で』

悩める人たちがふと立ち寄った神社。
そこにふらりと現れる猫のミクジ。
ふわりと舞い落ちる葉っぱの「お告げ」が導く、7人7枚の物語。

●印象に残った言葉
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心が病んでるって、一生懸命な人のことを笑ったり、誰がが大切にしているものを平気で踏みにじったりするやつのことだと思うんだ。(本編より)
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...なるほどなぁ

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誰と一緒にいる時の「あなた」が好きですか?

誰と一緒にいる時の「あなた」が好きですか?

平野啓一郎 著『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、読了。

●印象に残った言葉

好きな分人が一つでも二つでもあれば、そこを足場に生きていけばいい。(本文より)

優しくて、しなやかに心を支えてくれる言葉です。

人間関係において、わたしたちは相手次第で自然と様々な自分になります。
本書の「分人」とは、対人関係の中で生じるその複数の人格のことです。

家庭で、パートナーや子ども、両親、きょうだ

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ひとりより、ふたり。

ひとりより、ふたり。

浅葉なつ『神様の御用人10』、読了。

日本各地で頻発する地震。荒脛巾神(あらはばきのかみ)が起こそうとしている「大建て替え」を、良彦と神々は防ぐことが出来るのか?そして荒脛巾神に食われ、ひとつに融けていく黄金を救うことが出来るのか?シリーズ第10弾にして《黄金編》、完結!

●印象に残った一文

ひとつだけでは、気付けぬこともあるのだという話じゃよ。

自分の視点だけでは気が付かないことが、山ほ

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