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エッセイ

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日々考えたことやエッセイ、読んだ本のことや何気ない景色のこと。
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記事一覧

「やらない」をやってみる。限られた時間の使い方を180度改めて気づいたこと

「やらない」をやってみる。限られた時間の使い方を180度改めて気づいたこと

こんにちは。名古屋でライター・編集・企画をしているイトウユキコです。
先日はこれまでの転職の七転八倒エピソードを公開したところ、たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございます。

この記事の「主体的に巻き込まれる」でも書いたように、この1年ほど新しいプロジェクトにチャレンジしたり、人と出会う場所に行ったり、外に出る活動を積極的にしてきました。

その結果、気がついたのは時には「やらない」勇気を

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30代からの転職迷走記~失敗の先に見つけた自分らしい働き方

30代からの転職迷走記~失敗の先に見つけた自分らしい働き方

先日、友人の運営する古民家スペースで「キャリアのもやもや座談会」があり、20代~40代の6人でお話しをしたことをきっかけにこのnoteを書き始めました。

現在はフリーランス(ライター・企画)と(週の半分は派遣社員をしながら)うつわのオンラインショップを立ち上げて複業の働きかたにチャレンジしています。
(これについてはまた別記事で)

同じようにもやもやを感じながら働いている方や、自分らしい働きか

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夜の窓をひらく

夜の窓をひらく

冬のはじめの頃、友人が営む古民家の本屋「庭文庫」で1枚の絵を買った。

明るい日差しが感じられる緑を基調とした作品が並ぶ中、ひっそりとした夜の景色に目が留まった。渓谷の中に続いていく道が、夕暮れとも夜明け前ともつかないあかるさと暗さを混ぜたような青のなかに溶けている。

いつかこの景色を見たことがある、と直感的におもった。もっといえば、わたしはこの景色の中にたしかにいた。朝と夜の境目に立った日も、

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手焼きフィルム写真展「流れない河」@中川運河ギャラリー

手焼きフィルム写真展「流れない河」@中川運河ギャラリー

坂田健一さん個展「流れない河」

中川運河ギャラリーに訪れた7月某日、写真家の坂田健一さんの個展が開催中だった。

ギャラリーの2階に上がると、一見抽象的な写真が壁に飾られていた。
一目見て、幻想的な淡いのある色合いがとても好きだと感じ、じっくりとひとつひとつの作品に目を向ける。

ゆらぎを感じるその写真をよく見ると、重なった輪郭の向こう側に見慣れた景色が浮かび上がってくる。

川沿いに建つ倉庫、

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水辺へのあこがれ

水辺へのあこがれ

水辺へのあこがれ水面を見ていると心が落ち着くことを知ったのはいつからだろう。
いつか湖畔の家に住んでみたいという夢を思い描くようになってからすいぶん経ち、無意識に抱えていた水辺へのあこがれにようやく気がついた。

水辺、ことさら流れのない水面が好きだ。
激しく流れる水の音もなく静かに空を映し、時間の流れをもまるごと包括している。 ときおり風や鳥がその水面を揺らしていく。

思えば私はずいぶん長い時

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岡崎・MATOYAで見つけた原点の芽

岡崎・MATOYAで見つけた原点の芽

7月下旬のある夜、何気なくSNSを見ているとある作家さんのうつわの写真が目にとまった。
見れば、岡崎で個展を開催中だという。

休みの日は個展やイベント、地域プロジェクトなど、焼きものに関するところへは積極的に出向くようにしている。
いまはネットでもそれなりに情報は得られるし、写真の画質だって昔よりは向上している。

それでも、やはり実物を見たいと思う。
写真から伝わってくる平面的な情報よりもずっ

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本をつくる #01 祖父の手紙、祖母のはなし。私が尾州に向かうまで

本をつくる #01 祖父の手紙、祖母のはなし。私が尾州に向かうまで

本をつくりたい。昔からそう漠然と思っていた。
でも、何の本をつくるのか、そしてどうやって作るのか、その知識も必然も持ち合わせていないまま、今に至る。

それが、本をつくろうと思うようになったきっかけは、津島に住む母方の祖母の話からだった。

ここ1年ほど、祖母は私や母、あるいは他の孫たちにしきりに祖父の話を聞かせたがるようになった。
祖母はまもなく90歳を迎えるが、大病をすることもなく元気に自宅で

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花冷え

花冷え

インターンの帰り、花冷えのする午後10時の矢場公園のあたりは人気もまばらで、少し早足で通り過ぎる。閉店後のセレクトショップのマネキンの気配にはっと顔をあげたとき、大通りの方から二十歳そこそこの女の子が自転車に乗ってこちらに走ってくるのに気がついた。

そのまま歩を進めると、閉店後も明るいファストファッションのお店のあたりで自転車の女の子とすれ違った。まだ夜は冷え込むというのに薄着で、煙草をくわえな

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「ふつう」よりも行きたいところへ

「ふつう」よりも行きたいところへ

「ふつう」という虚像

社会人1年目というと、2012年だからもう7年前になる。地元の私大文系に進学し、リーマンショックや震災の余波をくぐり抜け、それなりに就活をしていくつかの内定を貰った。

地元の営業事務の正社員に決まり、大学を出たら就職して結婚、というルートの第一関門を突破したことにホッとした。学生の頃のわたしはなぜだか就職し、数年後に家庭を作るという人生を「ふつう」だと思い込んでいた。そし

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クロノスはどこにもいない

クロノスはどこにもいない

結婚前、実家では父方の祖母と同居していた。祖母は95歳を超えてなお、おしゃべりが好きで、食べることも同じくらい好きだった。70代の半ばから進行した緑内障のために目はほとんど見えていなかったけれど、耳がよいからいつでもわたしを見分けることができた。

祖母は8年ほど前に亡くなった祖父と66年も添い遂げた。まだ四半世紀しか生きていないわたしにとって、もし自分が90歳よりも長く生きるとしたらずいぶん遠い

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夏の風物詩

夏の風物詩

先日、CMで稲川淳二さんを見かけたとき、夫が「夏だねえ」と言った。わたしもそう思う。夏の風物詩と言えばいろいろ思い起こされるが、著名な人だと稲川淳二、TUBEあたりを思い浮かべる人は多いのではないだろうか。

わたしは怖い話の類はけっこう好きなほうだ。そのくせ、おばけ屋敷は怖いので絶対に入らない。おばけや幽霊が怖いのではなく、突然大きな音がしたり、人が脅かしてくるのが苦手なのだ。

わたしには霊感

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ゆらめく記憶

ゆらめく記憶

火曜日の日課といえば、朝起きてスーパーの広告をチェックすること。火曜日の朝市にいそいそと出かけていって、平日の食材を買うためだ。

きょうも、眠い目をこすりながらスーパーのチラシに何気なく目をやる。だいたい安くなっているものは同じ。たまごとお肉、それにじゃがいもやたまねぎ、にんじんあたりのポピュラーな野菜。

できるだけ無駄な買い物をしたくないから、冷蔵庫の中を見ながらざっくりと週末までの献立を考

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学習計画と記録がわかるガントチャートの作り方【デジハリ勉強法】

学習計画と記録がわかるガントチャートの作り方【デジハリ勉強法】

デジハリで学習を始めて1ヶ月が経ちました。

今回は、数ヶ月間の学習で中だるみをしないために、自分なりに学習計画のガントチャートを作って活用しているので、詳しい方法について紹介します!

この方法では未来の学習計画を立てると同時に、これまでに達成した勉強の記録も同時につけることができるので、モチベーションアップもできます!

計画を立てるのは得意だけど、計画倒れしてしまう人(わたしです)でも続けら

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大好きな音楽が聴けなくなった春の話

大好きな音楽が聴けなくなった春の話

1年前の春、音楽が聴けなくなった。

ずっとZIP-FMが流れている職場には取引先からひっきりなしに電話がかかってくる。人の声が飛び交い、デスクのすぐ隣ではデザイナーがミシンを踏む音がする。

転職してしばらくすると、右の耳でトトトトトとふるえるような耳鳴りがするようになった。その頻度が上がるのに、そう時間はかからなかった。通勤中にいつも聴いていたラジオも自然と聴けなくなった。

残業を終えて45

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