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本屋

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本屋について、あれやこれやと
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記事一覧

世界最大の独立系書店「パウエルズ・ブックス」(アメリカ・ポートランド)で日本マンガの可能性を探る

世界最大の独立系書店「パウエルズ・ブックス」(アメリカ・ポートランド)で日本マンガの可能性を探る

アメリカのポートランドに訪れたら必ず来ようと思っていた場所の一つが、「世界最大の独立系書店」と銘打つ「Powell's Books」(パウエルズ・ブックス)です。

魅力的な書店は世界中にたくさんありますが、特筆すべきは書店が街のランドマークになっているということです。
この書店のためにこのエリアに訪れる人が絶えず、それによって、周囲にも好影響を及ぼしているという稀有な書店です。

実際、私は店内

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台湾・台北の「マンガ状況」が分かるスポット

台湾・台北の「マンガ状況」が分かるスポット

先日、台湾に2泊3日で行って来ました。
台湾で日本の漫画が支持されているという話は、時折耳にしていましたが、それを肌身で実感できる時間でした。
台湾・台北の「マンガ状況」を理解しやすい場所などを紹介していきます。

▼よかったカフェはこちらの記事をご覧ください。

■漫画の本屋+ギャラリー+制作スペース台北駅から徒歩で約5分のところにある「台湾漫画基地」(臺灣漫畫基地 Taiwan Comic B

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漫画が大刷新される2020年代を予測してみる

漫画が大刷新される2020年代を予測してみる

今、漫画の在り方が大きく変化しつつあります。

1959年に週刊漫画誌が誕生して以来の、大刷新の2020年代になる気配さえも感じられます。

近々、大学生を対象に漫画をテーマに講義をするため、
自分の考察を整理する目的も兼ねて、
・これまでの漫画の王道、スタンダード
・どんな新しい潮流が勃興しているのか
そして、
・これからどのようになっていくと予想されるか
について、記していきたいと思います。

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Webtoon(縦スクロール漫画)動向・予測に役立つ記事のまとめ  <1>

Webtoon(縦スクロール漫画)動向・予測に役立つ記事のまとめ  <1>

2021年の年始に、「Webtoonは日本でブレイクするか?」と題した記事を公開しました。

予想通り、Webtoon(縦スクロール漫画)が日本においてもめざましい発展を続け、状況は日々刻々と変化しています。

それに伴って、Webtoonに関する記事も増えてきました。

良質な記事や気になる記事を、随時、リンクを貼っていくことにします。

上記の記事と合わせてご覧いただければ幸いです。

■LI

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「サードウェーブ・パブリッシング」という希望

「サードウェーブ・パブリッシング」という希望

この記事のベースとなる「サードウェーブ・パブリッシングという希望:出版の10年後」というタイトルで記したブログ記事を公開したのは、2016年5月15日でした。

早いもので、あれから5年が経とうとしています。

「サードウェーブ・パブリッシング」と言えるような本や店舗を見かける機会が少しずつ増えてきました。

出版業界を舞台にした映画『騙し絵の牙』で、ヒロインが最後に選択した道は、まさに「サードウ

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書店はなぜ儲からないのか? 〜「リピーター不在」ビジネスからの脱却

書店はなぜ儲からないのか? 〜「リピーター不在」ビジネスからの脱却

書店は、色々と試行錯誤しているのに、
そもそも儲からないのはなぜなのか?

そんな質問を友人から投げかけられました。

非常に興味深いテーマです。

さまざまな理由が浮かぶと思いますが、
私の答えは明確です。

商品にリピーターが存在しないから、
です。

(注:この記事は書店、出版のビジネス構造を分析するために書いています。
「書店は儲かるからやっているのではない。出版社の人間がそんなこともわか

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amazonと差別化できる「唯一の強み」が全く活かされてないのはなぜなんだろう

amazonと差別化できる「唯一の強み」が全く活かされてないのはなぜなんだろう

出版取次の大手・トーハンの運営する本の通販サイト「e-hon」。

自分が応援したい書店「My書店」を登録することができ、
自宅に直送してもらっても、その書店の売上となる仕組みがあります。

すばらしいです。

が、

そんな仕組みが「e-hon」にあることを、
書店の休業が続くこの事態の中で初めて知りました…

編集者でありながら、お恥ずかしい限り。

■amazonと差別化できる「唯一にして、

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文学フリマ、技術書典と「ビズケット」が登壇/街の印刷所起点・即売会に大きな可能性

文学フリマ、技術書典と「ビズケット」が登壇/街の印刷所起点・即売会に大きな可能性

個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』が
2020年2月に開催された印刷メディアビジネス展示会「page2020」での基調講演「ライト出版市場の誕生と広がり」に登壇しました。

まだ新参者ながら「文学フリマ」望月倫彦さん、「技術書典」高橋征義さんと共に「ビズケット」代表が並ばせてもらえて光栄なことでした。

また、この講演に向けた打合せと会食で、望月さん・高橋さんと語らう機会を持ったことで、「

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編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜

編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜

2019年11月24日(日) に初めて出展してみた「文学フリマ」の魅力について、前の記事(「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう)でまとめてみました。

しかし! 

そんな客観的な分析はさておき、ぜひ書いておきたいこと、それは…

僕にとって「文学フリマ」は、編集者の初期衝動を思い出させてくれる機会でもあった、ということです。

■生粋の「本作り大好き」な記憶が蘇る

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「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう

「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう

2019年11月24日(日) に東京流通センターで開催された
「第二十九回 文学フリマ東京」にブース出展して、大学時代に描いた絵本などを冊子にして頒布してみました。

飾り付けからして準備不足は明白で、さっぱり売れませんでしたが、今回の目的は「同人誌即売会に自らブースを出展して、自分が作った冊子を並べてみる」だったので、収穫はあり余るほどでした。

そして、強く思いました。

出版業界の人たちこそ

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本屋は「テーマパーク」になる:出版不況でも児童書だけは伸びてる理由

本屋は「テーマパーク」になる:出版不況でも児童書だけは伸びてる理由

減少が続く出版物売上の中で、2006年と2018年を比べ、唯一プラスの値を示しているのが、児童書ジャンルです。

その要因を考えていく先には、
これから本屋がどうあるべきか
出版物がどうあるべきか
のヒントが詰まっているように感じます。

■唯一、売上が伸びている児童書の市場2006年に約900億円の売上だったのに対し、2018年は約1,010億円です。

出版物の総売上が2018年は約1兆5

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読書メモ:2019年10月

読書メモ:2019年10月

今月も、読んだ本から、いくつか記していきます。

「うわ! この本、めちゃくちゃ面白い!」
はじめの数十ページで完全につかまれましれた。

そして、ワクワクしながら一気に読み進めました。

・・・あんまり面白くなかった。。。

駄作、とまでは言いません。書いてあることは、ごくごく平凡です。

ただ、さすが広告マン? 導入の惹きつけ方は本当に見事なのです。
だからこそ、高低差で、読み終えた後は、すご

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『ビズケット』(個人出版ビジネス書マーケット)に可能性を感じる理由

『ビズケット』(個人出版ビジネス書マーケット)に可能性を感じる理由

個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を2019年9月28日(土)、浅草の台東館で初開催しました。

各自が仕事や生活で培ったノウハウやスキルを、
うすい冊子にして販売する「ビジネスマンの文化祭」です。

初回だけに、課題点は山積みだったのですが、
僕は今まで携わったイベントとは比較できないほど大きな可能性を感じています。

どんな可能性があるか、まとめてみます。

(その前提となるのが、「既

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個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を初開催しました

個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を初開催しました

個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を2019年9月28日(土)、浅草の台東館で初開催しました。

誤解を恐れず、すごーくわかりやすく説明すると、
漫画の同人誌即売会「コミケ」のビジネス書版、です。

仕事や生活で培ったノウハウやスキルを、各自がうすい冊子にして、それぞれのブースで、値段を付けて、販売しました。

いわば、「ビジネスマンの文化祭」です。

僕も「水の(ような)書店」として

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