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創造の深淵からこんにちは

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色々な詩や短編小説などです。
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#ポエム

はなびらたちよ

はなびらたちよ

おまえたちは、むしられないだけ感謝したまえよ。

この國は、おまえたちをむしったり折ったりすることなく、咲くことを許可している。

おまえたちを見ては感動するものたちもおるのだぞ。

おまえたちは咲くだけで誰かを幸福にしている。

いや、哀しませることもあるかもしれないが、

それでも誰かを殺しにいくわけでもあるまいに。

そのはなびらがやわやわとほころぶと

みながよってたかってその下に集う。

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ハリアナ

ハリアナ

このアナを通過するハリたちは

いつも痛くて

痛いのはいやだから

もっとアナを拡げよう

そうしたら痛くないって

信じてた

大きくあいたアナを見て

なにをおもうの

アナだらけに

なったカラダは

とても軽い

それは

あいてるひとしか

わからない

アナだらけのひとにしか

わからない

ハリたちは今日もたくさん飛び交うよ

突き刺さるより

マシでしょう?
#詩 #短編
#

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藤と富士と不二の不死

藤と富士と不二の不死

私は、ただひっそりと、

風に揺られて、垂れるだけ。

私は、ただどっしりと、

風を感じて、構えるだけ。

私は、現れては、また消える。

私は、消えることなく、ただここに。

点滅する私と、

点滅しない私が、


同時に存在しているだけ。

それは、あなたが、

私たちを見つける限り、

永遠に永遠に

永遠に永遠に。
#note #ポエム #藤 #藤の花 #富士山 #富士 #日本 #詩

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金色の追憶

金色の追憶

自分には縁がない。

そんな風に思っていたから、いつも僕は君を遠くから見ていることしかできなかった。

君は、この季節になると必ずあの揺れる金色の夢の世界の下で、静かに座って本を読んでいたね。

君は知らないかもしれないけれど、君がそこにいるだけで、まるで幻想的な絵画のような空間が現れていたんだよ。

僕は、この眼に焼きつけようと必死だった。

輝く金色の揺れるフレームが、君の美しさを際立たせて、

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ひとりじめ🌸

ひとりじめ🌸

みるく色の雲と

優しい水色の空が

いちごみるくの花のおやつを食べたくて。

いちばん近いあたしのことを見ては

うらめしそうに流れてく。

どうだ!きみたちには、食べられまい!

しあわせの春の甘いあまーい味。

いただきまあす!を

ひとりじめ。

にんまり時間を

ひとりじめ。


#春 #空 #桜 #青空 #短編 #詩 #ポエム #幻想 #ファンタジー #しあわせ #幸福 #写真 #

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イザナミの帰還

イザナミの帰還

ひとつ、独りの地の底が

ふたつ、二人でみた夢と

みっつ、みなが知るころに

よっつ、黄泉からよみがえろ

 

いつつ、いのちの産声が

むっつ、無尽の“わ”をえがき

ななつ、涙の髪飾り

やっつ、八重の花が咲く

 

ここのつ、今夜は祝言を

とうで、永久の饗宴歌
#妖魔 #数え唄 #イザナミ #詩 #替え歌 #神話 #海 #短編 #幻想 #ポエム #歌詞 #オリジナル #神 #楠桂

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ようこそ。とある1つの世界へ

ようこそ。とある1つの世界へ

穏やかな太陽が微笑んで

その笑い声を連れてくる風と

洗濯物が踊ってる

いろんな色のふわふわタオルが

自由な遊戯に恋をして

ぎゅっと春のかおりを抱きしめる

あそぼ おどろ

動こう 謳おう

いま、調和の旋律を奏でるここは

淡いひみつのちいさな楽園

わたしだけの平和の安らぎ

きみのほほのうぶ毛が優しく

キラキラ白く輝くから

勝手にしあわせな気持ちになるの

これはわたしだけの

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桜涙のつま先濡らし

桜涙のつま先濡らし

これ以上は聞かないで。

そう言って、

きみは

結界のように自分のまわりを涙で濡らす。

これ以上は近寄らないで。

そう言って、

きみは

またぼくの前から散ろうとする。

ぼくは、

いつも背伸びをして

きみの姿をとらえていたい。

雨の日は、

気がつくと靴が中まで濡れている。

桜涙のつま先濡らし。
#雨 #桜 #詩 #ポエム #春 #短編

確認のバス停。

確認のバス停。

仕事が終わり駅からバスに乗る。

はじまりのバス停。

3つめのバス停、大きなウィンドウガラスの前で、弾ける若さを存分に楽しみ、踊り集う者たちの確認。今日は人数が少ない。

5つめのバス停、暗闇に鎮まりかえった白い階段を見つめる。誰もいないお寺の入り口。柳の枝がほんの少し揺れている。

7つめのバス停、小さなお店の中は煌々とした明かりが灯っている。大きな観葉植物の葉っぱが美しく映える優しいアイボリ

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蕚  utena

蕚 utena

不思議なものですね、あなたさまがそのようにお思いになるなんて。いつもなら、それでもまた繰り返し繰り返し、その光る銀の糸をたらしておやりになるのでしょう?

ほら、御覧くださいませ。
潸潸たるあのこもごも蠢く光景を。わたくしに至っては、そのようなお立場ではまず御座いませんから、これでもめっぽう困惑しているのですよ。

いえ、あなたさまがそのようにお思いになることは、少しも可笑しいことでは御座いません

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安心の灯り

安心の灯り

文明は安心のためにある。

安心は、生命の存続に直結している。

生命の存続のために、文明を創り出すのが人間。

人間を創り出すのが、人間。

人間は安心を創り続けねばならない。

安心という灯りは、常にともされ続けねばならない。

聖火のような安心を常に身近に感じながら生きていく。

安心に、お金が必要なのだろうか?

安心は、お金がなければ、得られないのだろうか?

文明は、これからお金をどう

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逆さ檸檬の夢幻回転

逆さ檸檬の夢幻回転



青いれもんは、

青空を吸い込みました。

空から降る雨も吸い込みました。

満天の星空も吸い込みました。

闇夜に現れる月光も吸い込みました。

流れる雲も吸い込みました。

爽やかな風も吸い込みました。

透き通る歌声も吸い込みました。

すすり泣く哀しみも吸い込みました。

冷酷な決断も吸い込みました。

淡々と過ぎ去る時間も吸い込みました。

青いれもんは、そろそろ逆さまの青い檸檬を卒

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