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意思疎通の潤滑油。

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あらゆる悩みに根を張る対人関係。毎日を前向きに送るための潤滑油。
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才能とレッテル。

才能とレッテル。

エアコンの聞いたオフィスでカタカタとキーボードを叩く。すると、いつの間にやら他愛ない雑談が聴こえてくる。

アイツはできるとか、彼は良い人だとか。仕方のないことだけれど、どうにも好きになれない。

できる人にも、できない時、失敗する時がある。失敗した時にも、発揮されている力や才能がある。

全てを掬う理想論は、行動ベースで評価が行われることではないか。

「あの時の準備は良かったけど、今回はそれが

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夏の日のミニオン。

夏の日のミニオン。

夏休みも終盤戦。

休みと言っても休むのは4歳の息子、その人だけである。本日から私は仕事に戻り、妻は日中、息子にかかりきっきりになる。それは文字通り戦いに他ならない。

ビジネスシーンでは、基本的に「そうですね。」とお膳立てがあるものだ。スーツに負けないくらいみんな社会人を着飾り、物事がパパパッと進んでいく爽快感。こちらは、そうもいかない。

ゆっくり回る室外機、電車の玩具の車輪の具合、絵本に出て

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私たちは「実力派」を増やせるか。(2020年の振り返り等)

私たちは「実力派」を増やせるか。(2020年の振り返り等)

日付と同時に年も変わった、その数分後。毎年早々に済ませる「振り返り」をしていないことが急に気になり出す。遠足前夜の忘れ物チェックみたいなもので「まぁ、そんなにかからないだろう。」ともぞもぞディスプレイをタップしていく。眩い光。「寝る前のスマホはエスプレッソ2杯分」なんて言説が、数十分前に流し込んだ缶ビールの前にあえなく敗北した事実を、瞼の裏まで透ける朝の陽光で知るのだった。

…等というまどろっこ

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仕事のもつ中毒性について。

仕事のもつ中毒性について。

・数独とわたし

あなたは、数独をご存じだろうか。

縦・横9マスずつ、計81マスに1~9の数字を揃えていく、あの「数独」だ。81マスの中には、更に3×3の格子が9個用意されている。その中にも1~9の数字を1つずつ並べなくてはならない。何ともニクい設定だ。

別段、パズルが趣味だとかいうことではない。けれど、出張中の機内で、あのファミリーコンピュータを想われるコントローラと画質の粗いモニタを目にす

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役者な先輩。②

役者な先輩。②

それから、3年後のこと。

突然、先輩が会社に来なくなった。

入院したらしい。
身体的な療養だと聞いた。

実のところ、僕はストレスだと思っていた。
みんなが、そう思っていた。
たとえ”そういう”理由でも、スマートに隠し通してしまう人だったから。

さてと、困った。
思わず頭を掻く。

目の前には、「仕事」がある。
先輩と別(私の1つ上)の先輩。2人がかりでこなしていた仕事が。

先輩は当面入院

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怒りは道具である、という話。

怒りは道具である、という話。

・怒りとは何か

怒りが発露することがある。言い換えれば、衝動的にばーっと言いたくなる時がある。言わなくても、書きたくなる時、書かなくても「代弁してくれる声」に賛同したくなることがある。

怒りが発露する時とはいつだろう。答えは相手をひれ伏せたい時ではないだろうか。「ええい、この分からずや!」と内心思いつつ、ボルテージを上げ、いよいよ融通が利かない時にどす黒い感情が渦巻く。

・道具としての怒り

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「LとR」の発音を身に着けたときの話。

「LとR」の発音を身に着けたときの話。

LとR。多くの日本人が、10年近く英語を学びながら習得できない、2つの音。

「私はできます。」とマウントをとりたいのではない。日本語に無い音を、訓練無しに習得することが土台無理。入試英語で問われる音は、アクセントと、せいぜい母音の区別くらいのものであり、見れば分かる「LとRの違い」に時間を割く親切設計ではない。

2019年初の僕もそうだった。

Cambridge留学を間近に控え、学習ターゲッ

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サプライズに見た、妻の”第六感”の正体。

サプライズに見た、妻の”第六感”の正体。

母の日に、ちょっとしたサプライズをしようと思った。

コロナウィルスの影響で、出先といえばスーパーか、家の目の前の公園くらい。加えて、家事・育児のワンオペ化。月に2~3日出社しなくてはならず、当面コロナウィルス罹患のリスクは排除しきれない。(気を付けてはいるが。)

そんなわけで、いまは互いの生活空間を完全に分けている。意図的なワンオペ化は、子供への罹患リスクを下げるための妻の提案だ。とはいえ、妻

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役者な先輩。

役者な先輩。

僕は、先輩を尊敬していた。

今は尊敬していない、というわけではない。自分のことを棚にあげたいわけでも、先輩が僕の所まで下がってきた、と言いたいわけでもない。その線引きは変わっていない。ただ位置付けが、少し変わったに過ぎない。

先輩はスポーツができた。

私の10歳近く上だが、年齢を感じさせない若さがあった。会社のスポーツイベントやゴルフコンペでは、いつも無邪気にはしゃぎ、容赦なく活躍していた。

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「さみしい」管理職に今こそ求められているもの。

「さみしい」管理職に今こそ求められているもの。

在宅勤務や日頃のコミュニケーションにおいて、動画アプリ「Zoom」の活躍が目覚ましい。1日の延べ利用者は3億人を突破。意思疎通のあり方を猛烈な勢いで再定義中だ。

同時に、自粛生活の中で「動画疲れ問題」が顕在化している。反応がコンマ数秒遅れる違和感、ずっと監視されている束縛感。知らず知らず心身を蝕む。より厳格な外出規制を敷く英国ではことさら深刻なのだろう。”Zoom fatigue(ズーム疲れ)”

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「文章嫌い」を克服した小さなきっかけ。

「文章嫌い」を克服した小さなきっかけ。

漫画や小説は好きだった。目の前に情景が浮かんで、どんどん読み進めることができる。J・K・ローリングのハリーポッターも、「ダイの大冒険」や「 HUNTER×HUNTER」も、もう何回も、擦り切れるくらい読んでいた。問題は小難しい文章だ。特に「現代文」という科目。文章というものが心底嫌いだった。

勿論、何となくの意味はわかる。なぜなら、日本語で書かれているからだ。当時の私も日本語を巧みに操ったものだ

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「明日、選挙でもやりますか?」

新型コロナウイルスに関する情報がネット上に溢れている。ウイルスの増殖に比例して、1月頃は楽観的な、2月頃は同情的な、3月に入り扇動的なものが目に見えて増えた。

いい迷惑だ。

デマや嘘や憶測を拡散する「デマクラスター」は、意図的かつ瞬時に拡散し、人の思考を奪う点でコロナウイルスのクラスターよりはるかに質が悪い。

マスクには効果がない、つけなくても大丈夫、日本人はBCG接種してるからどうの、外人

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諦めた先にあるもの。

私は諦めている。

誰かが何かを察して、居心地の良い世界を作ってくれることを諦めている。

心に描く道が、計画に沿って進められる公共事業のように、無機質に舗装されていくことを諦めている。

「宜しくお願いします」という結びの言葉が、こちらの意を汲む一助となることを諦めている。

というより、他者に期待した全ての物事を、同時に諦めている。期待と諦めは、心の中で交わることなく二つの線を描く。

その上

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上司は先生ではない、と気付いた日。

入社二年目のある日。「そんなものかな」と、妙に腑に落ちた。職を変える・変えない以前の、大袈裟に言えば、キャリアにおける1つの転換点である。

驚きより、諦めに近かった。社会人を2, 30年経験しても「先生」にはなれないのかと空虚しい気持ちになりはしたが、良いきっかけでもあった。自分の先生は自分で創ろう。「Where there is a will, there is a way.」とSkypeのプ

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