野々々犬

映画。読書。毎日が生きにくい。

野々々犬

映画。読書。毎日が生きにくい。

マガジン

  • 絶望となかよく

    生きにくい世の中を生きるコラム

  • 映画

    映画に関するコラムです。感想とは限りません。

記事一覧

固定された記事

文章を書こうとすると、全てネガティブなものになる病

アウシュヴィッツにいた精神科医が、どうあがいても絶望な事態を乗り越えるのに必要なのは、希望でなくユーモアだ、みたいなことを言ったらしい。原典(フランクル「夜と霧…

野々々犬
4年前
44

3日連続もらい事故

自他認める理不尽な出来事に3日連続で遭遇した。何が起きたかは詳しく書かないが、とにかく事件直後に見ていた周囲の人に慰められる、心配される、自分の代わりに憤られる…

野々々犬
9か月前
2

色々あって自分のことを書くことが怖くなった

色々あって自分のことを書くことが怖くなった。 誰かが、「文筆家なんてものは、自分の人生を切り売りしてるようなものだ」と言っていたけど、私は文筆家なんて大それた者…

野々々犬
9か月前
2

映画「ハウス・ジャック・ビルド」、お前何言ってんの?

トリアー監督の映画は「鬱」で有名だ。 一番有名なのは、歌姫ビヨークが盲目の女性主人公を演じた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だと思う。「見ると鬱になる映画」系ま…

野々々犬
2年前

酒が飲みたいんじゃない。気を失って何もかも忘れたいんだ。

むかしむかし、まだ私がうら若き小娘だった頃、そして隠れた悪意なんてなくて、見た目からあからさまな悪意しか世の中には存在しないと思っていたバカだった頃(←まあ、今…

野々々犬
2年前
13

知覚できないままに、下降する。

和歌山の知の巨人、南方熊楠は、生命現象にとって、観察者の立場は相対的なものにすぎない、と強調していたらしい。つまり、「生物を観察している人間は、それを生命の内側…

野々々犬
2年前
3

死に様は生き様だ、なんて嘘だ。

通勤電車の乗り換えの合間に、本屋の売れ筋ランキングを眺めていたら、「どうやったら人に好かれるのか」みたいな内容の本が置いてあった。 ついつい人に嫌われたくなくて…

野々々犬
3年前
5

映画「誰も知らない」〜アタシは幸せになっちゃいけないっての? について

※この映画は虐待(ネグレクト)をモチーフにしています。読む際は注意してください。 5人の子供を抱えたシングルマザーが、子どもたちを残して男の元に逃げちゃったがた…

野々々犬
3年前
4

まごころを君に/Air、何もしなければ、誰も傷つかないのか

新劇場版エヴァンゲリオンの新作が延期に延期を重ねて、さらにコロナで延期になった。 本当だったら、映画公開前の復習ということで、新劇場版エヴァンゲリオンを見よう!…

野々々犬
3年前
6

酒を飲んだ日は、潰れるまで飲みたい。

酒を飲んだ日は潰れるまで飲みたい。 だから飲むときは、一人で飲みたい。 人がいると気を使わなくてはいけない。 楽しませないといけない。 料理を取り分けて、あいたお…

野々々犬
3年前
3

幸せになっちゃいけない症候群

おめでとう、と言われると、なんだか居心地が悪い。 誕生日おめでとう。 とか。 研修で表彰されたんだって? おめでとう。 とか。 言われるたびに、なんだか悪いこと…

野々々犬
3年前
1

【小説】傷が膿んでしまわないように、アルコールで消毒してくれないか

 その男は、どこにでもいるサラリーマンのような格好だった。  見た目は20代半ばかと思われるが、髪には白いものがまばらに入っていて、そのまばらさが、むしろ遺伝的な…

野々々犬
3年前
3

死んだように眠る

寝ていると、「死んでるのか思った」と言われたことがある。 一回目は高校生のとき。 夜、妹と共同の自室に向かい、敷布団の上にうつ伏せで寝ていた。 後からやってきた…

野々々犬
3年前
4

子供向け小説という名の理想論

数ある職業の中で、短命で有名な職業と言えば、小説家をあげる人がいる。 それは考え過ぎちゃって病気になって自殺したり(芥川龍之介、太宰治、川端康成、三島由紀夫えet…

野々々犬
3年前
1

人より苦労したからって、人より幸せになれるわけじゃない。

私の仕事は概ね個人プレーだ。 自営業とか歩合制の仕事ではなく、いわゆるサラリーマンではあるので、上司というものはいるのだけれど、複数ある自分の担当の案件それぞれ…

野々々犬
3年前
4

映画「マトリックス」、2作目3作目の憂鬱

スマホの入力ソフトにSimejiを使っている。 予測変換が面白いから、というのがその理由で、 例えば 「マトリックス」 と打つと、 「゚゚┌┴o゚゚゚゚°マトリックス」 に変換される…

野々々犬
3年前
8

文章を書こうとすると、全てネガティブなものになる病

アウシュヴィッツにいた精神科医が、どうあがいても絶望な事態を乗り越えるのに必要なのは、希望でなくユーモアだ、みたいなことを言ったらしい。原典(フランクル「夜と霧」)読んでないけど。

で、私にユーモアのセンスがあるか、といえば、残念ながら、ない。

お笑いを見て、勉強しようかと思ったこともあるけど、そもそも笑いのセンスが普通の人と違うようで、大抵のお笑い番組を見てもしらけてしまう。

映画「

もっとみる

3日連続もらい事故

自他認める理不尽な出来事に3日連続で遭遇した。何が起きたかは詳しく書かないが、とにかく事件直後に見ていた周囲の人に慰められる、心配される、自分の代わりに憤られるを繰り返し、「大丈夫?」と聞かれても、心の中で「大丈夫じゃねーよ」と口には出さずに顔だけでわらった。とはいえ、心配してくれるのはありがたいし、それだけでHPがちょっと回復する。

誰が言ったか知らないが、笑顔でいればみんな上手く行くって

もっとみる

色々あって自分のことを書くことが怖くなった

色々あって自分のことを書くことが怖くなった。
誰かが、「文筆家なんてものは、自分の人生を切り売りしてるようなものだ」と言っていたけど、私は文筆家なんて大それた者じゃないし、読んでもらえている人も少ない。
怖くなったのは、現実世界でのちょっとした出来事のせいで、noteとは関係がない。
でも、恐怖というのは染み付いたら決して落ちないもので、過去の投稿のほとんどを下書きに変えてしまった。

そんな半

もっとみる

映画「ハウス・ジャック・ビルド」、お前何言ってんの?

トリアー監督の映画は「鬱」で有名だ。
一番有名なのは、歌姫ビヨークが盲目の女性主人公を演じた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だと思う。「見ると鬱になる映画」系まとめサイトを見ると大体載っている。実際主人公は救いようがない位不幸だし、映画の撮影中のビヨークは監督からセクハラを受けるし、考えてみたら、ろくでもない。

それでも世界中の映画館で放映されて、映画祭で常連だったりするのは、誰も考えなかっ

もっとみる

酒が飲みたいんじゃない。気を失って何もかも忘れたいんだ。

むかしむかし、まだ私がうら若き小娘だった頃、そして隠れた悪意なんてなくて、見た目からあからさまな悪意しか世の中には存在しないと思っていたバカだった頃(←まあ、今も相変わらずバカだけど)、今となっては信じられないことに、お酒はほんの少ししか飲まず、常に誰かの介抱役だった。

あのときは、飲んで騒いで絡んでくる人たちに嫌気がさしていたし、介抱しても次の日には介抱されたことすら忘れている酒好きたちがある

もっとみる

知覚できないままに、下降する。

和歌山の知の巨人、南方熊楠は、生命現象にとって、観察者の立場は相対的なものにすぎない、と強調していたらしい。つまり、「生物を観察している人間は、それを生命の内側からではなく、外側にあらわれた行動を観察して、さまざまな判断や推測を行っているにすぎない」ということらしい(南方熊楠「南方熊楠コレクション-森の思想」)。

粘菌を例にあげると、粘菌はアメーバ状になっている時と、茎が伸びて胞子を出している時

もっとみる

死に様は生き様だ、なんて嘘だ。

通勤電車の乗り換えの合間に、本屋の売れ筋ランキングを眺めていたら、「どうやったら人に好かれるのか」みたいな内容の本が置いてあった。

ついつい人に嫌われたくなくて、美容院で、自分の髪が、いつの間にか新人さんのヘアアイロンのかけ方の練習台にされてても、ニコニコしながら「お役に立てて嬉しいです〜」とか言っちゃう、ちっちゃい自分は、そんな本を手にとってしまって、買うか迷って、目次を見たところで、買うのを

もっとみる

映画「誰も知らない」〜アタシは幸せになっちゃいけないっての? について

※この映画は虐待(ネグレクト)をモチーフにしています。読む際は注意してください。

5人の子供を抱えたシングルマザーが、子どもたちを残して男の元に逃げちゃったがために、残された子供だけで生活できず、結果幼い命が失われてしまった実際の事件があったらしい。
それをモチーフに、作られた映画が、「誰も知らない」であって、カンヌ映画祭で賞を受賞した作品でもあるらしい。

このネグレクトをした母親役を、YOU

もっとみる

まごころを君に/Air、何もしなければ、誰も傷つかないのか

新劇場版エヴァンゲリオンの新作が延期に延期を重ねて、さらにコロナで延期になった。
本当だったら、映画公開前の復習ということで、新劇場版エヴァンゲリオンを見よう! と金曜ロードショーにエヴァンゲリオンが放映される予定だったんだろうけど、延期になったので、ただ放映されるだけになった。

大学のときの同級生が「新劇新劇世の中がうるさいから、むしろ旧劇を見よう!」と言い出し、全部見るのはしんどいので、じゃ

もっとみる

酒を飲んだ日は、潰れるまで飲みたい。

酒を飲んだ日は潰れるまで飲みたい。

だから飲むときは、一人で飲みたい。

人がいると気を使わなくてはいけない。
楽しませないといけない。
料理を取り分けて、あいたおさらを取り分けなくてはならない。

それは、別にやらなくてもいいんだよ、と言われるけれど、やらなかったときにひどい目にあったことが何回かあって、それもあって、言われるくらいならやったほうがよくなってしまった。

私は見た目が可愛いわけ

もっとみる

幸せになっちゃいけない症候群

おめでとう、と言われると、なんだか居心地が悪い。

誕生日おめでとう。

とか。

研修で表彰されたんだって? おめでとう。

とか。

言われるたびに、なんだか悪いことをした気分になる。

なんなら、このあと揺り戻し的に、ひどい目にあうんじゃないか、とさえ思う。

おめでとう! と言われて素直に「ありがとう」と言える人を羨ましく思いつつ、そのあと嫌なことがあると、やっぱりな、なんて思ってしまう。

もっとみる

【小説】傷が膿んでしまわないように、アルコールで消毒してくれないか

 その男は、どこにでもいるサラリーマンのような格好だった。

 見た目は20代半ばかと思われるが、髪には白いものがまばらに入っていて、そのまばらさが、むしろ遺伝的な体質による白髪でないことを物語っている。
 ワイシャツに少し、洗濯で落としきれなかった黄ばみとアイロンで伸ばしきれなかったシワが残っていて、とはいえ、その体の疲れ切った姿勢から、「だらしなさ」というよりかは「度重なる苦労による疲労感」を

もっとみる

死んだように眠る

寝ていると、「死んでるのか思った」と言われたことがある。

一回目は高校生のとき。

夜、妹と共同の自室に向かい、敷布団の上にうつ伏せで寝ていた。

後からやってきた妹が酷く焦って、「死んでるのかと思った。やめてよ」と言った。

2回目は社会人になってからの20代。

彼氏さんと話をしながら、二人で床でゴロゴロしていたときに、そのまま寝てしまいそうになった所を、彼氏さんが焦ってゆすり起こした。「死

もっとみる

子供向け小説という名の理想論

数ある職業の中で、短命で有名な職業と言えば、小説家をあげる人がいる。

それは考え過ぎちゃって病気になって自殺したり(芥川龍之介、太宰治、川端康成、三島由紀夫えetc)、インドアすぎて肺病になっちゃった人(中原中也なんて「文豪は肺病で早死してる人が多いから俺も!」とか言ってたら死んだらしい)が多いからだけど、児童書作家は逆で90歳でも現役だった(ダイアナウィンジョーンズとか)人はザラだ。

児童書

もっとみる

人より苦労したからって、人より幸せになれるわけじゃない。

私の仕事は概ね個人プレーだ。

自営業とか歩合制の仕事ではなく、いわゆるサラリーマンではあるので、上司というものはいるのだけれど、複数ある自分の担当の案件それぞれに、別の上司がついていて、包括的に私が何をやっているか分かっている人はいない。

ついでに言うと、人によって、やっている仕事も異なるので、上司や先輩に仕事を聞いたとしても、分からないと言われることもしばしばだ。

そんな状態なので、本当か

もっとみる

映画「マトリックス」、2作目3作目の憂鬱

スマホの入力ソフトにSimejiを使っている。

予測変換が面白いから、というのがその理由で、

例えば
「マトリックス」
と打つと、
「゚゚┌┴o゚゚゚゚°マトリックス」
に変換される。

世代的にこのポーズは、映画「マトリックス」に出てくる主人公ネオが、敵である「エージェント」が撃った弾丸を避けるために、体を高速でのけぞらせているシーンのものだ。

少しあとの世代なら、荒川静香のイナバウアーと

もっとみる