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ビジョンノート

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シェフとして日々考えていることなど。
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記事一覧

少数精鋭が利益を生む

少数精鋭が利益を生む

レストラン業界は人手不足に悩まされているが、これを機に効率的な人材配置を考えるチャンスでもある。たとえ豊富な人材がいたとしても、飲食店の利益構造では、どうしてもスタッフの数を絞ることが求められるしね。

僕のレストランでは、接客と料理の品質こそが最も重要な業務であると位置づけ、これらにリソースを集中している。まず、各スタッフに明確な役割を持たせる。キッチンスタッフには良質な食材を仕入れ、丁寧に料理

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小さなお店の大きな問題「ノーショー」

予約してるのにドタキャンして、キャンセルの連絡もない。そんな、ノーショーに悩まされている飲食店は多いです。
ノーショーについて話します。

「安売り」と「安く提供する」ことは違う

「安売り」と「安く提供する」ことは違う

たくさんのお客さんに来てほしいから、お客様に喜んでもらいたいから、と言って単に価格を下げて集客しようとする経営者がいるが、ほんとにそれでうまく店がまわるのだろうか。

そりゃあ、安売りすれば一時的にはお客さんも喜んで足を運んでくれるかもしれない。けど、それは短期的な集客手段にすぎないし、安売りすれば、代わりに何かを犠牲にしなければならなくなる。それが、材料費なのか、スタッフの給料なのか、とにかく何

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レストランの成功の鍵はブランディングにあり

レストランの成功の鍵はブランディングにあり

レストラン経営において成功を収めるためには、多くの要素が重要となるけど、特にブランディングの重要性は非常に高いと言える。ブランディングは、レストランのアイデンティティを形作り、顧客に対して一貫したメッセージを伝えることで、顧客の忠誠心を築き上げる役割を果たすからだ。

ブランディングとは何か?

ブランディングとは、製品やサービスに固有のアイデンティティを与え、市場での差別化を図るプロセスのこと。

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料理人にとって厨房とは。

料理人にとって厨房とは。

料理人にとって、厨房は単なる料理を作る作業場ではないと思う。僕はレストランを二つ経営し、地方のレストランの監修やアドバイザーなんかもやってるけど、こうやっていろんな活動をしていると、厨房が料理人にとっていかに重要かを深く感じる。

料理人には「厨房を持つ料理人」と「厨房を持たない料理人」の二つに分かれる。前者は、自分のレストランを持つオーナーシェフや、あるレストランで勤務するシェフを指す。後者は、

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厨房についての考え方

厨房についての考え方

料理の世界は、常に進化し続けるテクノロジーと共に歩んでいる。特に近年の厨房機器の高度化は、料理の可能性を大きく広げた。一昔前になるがエスプーマ、液体窒素、パコジェットなどの導入により、従来では考えられなかったような革新的な料理が生み出されたのは確かだ。これらの技術は、ハイクラスのレストランを中心に、新しい料理の概念を形成する上で重要な役割を果たしている。

かつて、僕もこのような最新技術を駆使した

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情熱と現実のはざまで: 新世代の料理人たち

情熱と現実のはざまで: 新世代の料理人たち

今の若い料理人は本当に料理が好きなのか?シェフとかミシュランという肩書きや地位に憧れているだけではないか?と、とある大先輩が料理業界の未来を心配されていた。

だけど僕はこう思う。料理人やシェフを目指す若者の動機は人それぞれで、料理への情熱、シェフという職業の地位や名声への憧れ、食文化への貢献など、さまざまな理由があるのだろうと。料理が好きであることは、料理人として成功するための大切な要素の一つだ

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「農業」が日本の未来をつくる。料理人は農業と手を組んで世界に羽ばたく。

「農業」が日本の未来をつくる。料理人は農業と手を組んで世界に羽ばたく。

日本の未来は「農業」に託される。だから、僕ら日本人料理人にも使命がある。

今後、市場がどんどん伸びると言われている業界の一つに「農業」がある。
「えっ?農業が??今さら一次産業かよ?」って思うかもしれない。確かに、田舎に行くと耕作放棄地だらけだし、1960年には1500万人いた農家も2025年には50万人まで減ると言われている。データを見る限り、農業に未来があるとは思えない。

でも、世界の市場

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経営者は「構想」を客に委ねてはいけない

経営者は「構想」を客に委ねてはいけない

飲食店で、お客様の要望に応えるために、多種多様のメニューを用意しているという経営者をよく見かける。
でもそのおかげで店主は毎日仕込みに追われクタクタになってる。さらに年を追うごとに、このままお店をやっていけるか心配なっているにも関わらず、お客さまの要望に応えないと客が減るからやめられない、と思っている経営者。

本当にそうだろうか?

ビジネスのプロセスは「構想」と「実行」の2つに分けることが出来

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思考の多角化: 飲食事業のマーケティングとブランディング

思考の多角化: 飲食事業のマーケティングとブランディング

今の時代、消費者のニーズは常に変化し、多様化している。特に飲食事業では、多くの競合が存在するため、ブランディングやマーケティング戦略が成功のカギとなる。その中で、「思考の多角化」というアプローチは、事業の持続的な成長と差別化を達成するための強力なツールとなるだろう。

1.顧客視点を取り入れる

多角的な思考とは、一つの問題や課題に対して様々な角度からの視点を持つこと。飲食事業で成功するためには、

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シェフにとっての厨房とは

シェフにとっての厨房とは

キッチン、それは一般的には料理を作る場所として知られている。だけど、シェフにとって、厨房は単なる料理を作る場所を超えた存在だ。それはラボであり、スタジオであり、そして料理人としての魂を反映する場所でもある。シェフにとっての厨房とはどういう存在なのかを考えてみた。

ラボとして。
シェフは、新しい料理や技法を探求するための研究者とも言える。厨房はシェフにとって実験場です。新しい食材や調味料、または調

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食材への「火入れ」への想い

食材への「火入れ」への想い

食材との出会いから料理の発想が生まれ、それが形となってテーブルに運ばれる瞬間まで、料理すると言うことには多彩な一連の流れがある。それはデザイナーがデザインすることと似ていて、クリエイティブなことだと思う。その中でフランス料理では「火入れ」を重視する傾向にある。

たしかに火入れは、食材の持つポテンシャルを最大限に引き出す魔法のような瞬間だ。それぞれの食材が持つ、繊細な風味や食感、色や香りを知り尽く

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飲食店のキャッシュレス導入、抱える課題とメリット

飲食店のキャッシュレス導入、抱える課題とメリット

日本の飲食店は、キャッシュレスの普及が外国よりずっと遅れている。特に地方はね。この背景には、昔ながらの消費者文化や高齢者層の現金へのなじみ、そしてデジタル決済に対する不慣れさや不信感が影響しているからだろう。そして、最初に挙げたコメントのように手数料で儲ける仕組みが嫌という理由。そして小規模の飲食店では、この2-3%の手数料が経営の負担になるとも言われている。

でも、飲食店におけるキャッシュレス

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リスキリングで時代の変化に対応し差別化を図る

リスキリングで時代の変化に対応し差別化を図る

近年、経済、技術、そして社会の変動により、多くの業界が変革の波にさらされている。飲食業界も例外ではない。特に、デジタル技術の浸透、消費者のニーズの変化、そして新しい競合の出現など、さまざまな要因により、飲食店の経営者や従業員は新しいスキルを学ぶ必要性に迫られている。さらに、顧客の健康志向やサステナビリティへの関心の高まりは、メニューの再考やエコフレンドリーな運営を求めている。

そして、このすべて

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