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映画『マリウポリの20日間』を観て
4月26日公開の『マリウポリの20日間』を観た。
マリウポリはウクライナ東部ドネツク州、ロシアとの国境近くの工業都市だ。
2022年2月24日にロシアが一方的にウクライナ侵攻を開始してから20日間、AP通信記者がマリウポリに入り、取材活動を行った。
映画は、ロシア軍のミサイルや戦闘機の爆撃を受け、戦車に包囲された地区で記者のカメラがとらえた映像を、1時間半にわたって編集したものである。
すべて
ロシア語能力検定試験
2023年10月末に第82回ロシア語能力検定試験2級を受験、12月13日に合格証書を受け取った。
同試験は300点満点で、内訳は文法100点、露文和訳、和文露訳、聴取(ヒアリング)、口頭作文が各50点である。
合格基準は、これら5科目すべてにおいて60%以上の得点を満たすこと。
ちなみに口頭作文とは、与えられた身近なテーマで10分間ロシア語による自由作文を行い、その後3分間で各受験者に配布された
十一面千手観音の想い出
東京国立博物館で特別展「京都・南山城の仏像」を開催中だ。
先日、担当学芸員の方による記念講演会に参加し、その後展示会場で旧知の仏像たちと再会を果たした。
南山城と呼ばれる京都府最南端の地域に、在職中に二度赴任した。
最初の赴任は2010年前後、当時小中学生の子ども二人も一緒に家族四人で三年間を過ごした。二度目は、東京に戻ってから三年を経て、単身で一年間だけ赴任した。
木津川流域のこの地域は、平
カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
『わたしを離さないで』(原題:Never Let Me Go, 2005)を読んだのは初めてではない。
いつだったか正確には覚えていないが、かなり前に一度読んだことがある。
詳細な内容はほとんど忘れてしまっていたが、どういう人たちについての話であったかは、もちろん覚えていた。
今回、わたしはこの小説を、「初めて読むかのように」戦慄しつつ再読した(土屋政雄訳、ハヤカワepi文庫)。
主人公は、三
カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』
カズオ・イシグロは比較的寡作な作家であり、長編小説に限定すれば発表されている作品は全部で八つである。
これまで、それらのうちの五つについて note に拙い感想を記してきた。残るのは次の三つだ(刊行年は邦訳)。
『わたしたちが孤児だったころ』(2001年)
『わたしを離さないで』(2006年)
『忘れられた巨人』(2015年)
今回は『わたしたちが孤児だったころ』について書いてみたい。
『わ