記事一覧
白磁のアイアンメイデン 目次 #白アメ
◇千客万来◇ こちらは『第1回 逆噴射小説大賞』投稿作を改稿したものです。内功を操るお嬢様が強化外骨格を着込み、並み居る敵をカンフーで粉砕! 挙句の果てには巨大ロボットでおおあばれ! そのようなちのうしすう低めのお話にございます。それでもよろしければお楽しみくださいませ ◇共存共栄◇
ヘッダ画像は安良さんに描いていただきました。圧倒的感謝。
第1部 「”忌み野”の章」第1話(完結)
1 2
逆噴射小説大賞2023、最終選考まで残りましたの巻
ドーモ、タイラダでんです。
さて、このたび「小説の冒頭800字を投稿して最も続きを読みたくさせた物の勝ち」なる『逆噴射小説大賞2023』において、自作『戦争の最果て』が最終選考に残りました。
大賞に輝いたジョン久作さん、本当におめでとうございます。
で、ですね。どうもいろいろな方がライナーノーツやら振り返り記事やらを書いていらっしゃるご様子で。そういえば最近はそういうの書いていなかったな
『お肉仮面』 #第三回お肉仮面文芸祭
◇
そいつに出会ったのは、部活帰りの夜道のことだった。
部活帰り、コンビニで晩飯前の栄養補給をすませ帰りのバスを待っているときのことだ。何かに見られている妙な感覚を覚えて、俺は後ろを振り返った。
夜道を照らす街頭の下、そいつは静かに立っていた。背格好や服装はいたって普通だった。だけどそいつの顔は鼻も口もなかった。生肉を貼り付けたかのような模様の顔面に、真っ黒い穴が二つ空いていた。
「こ
駆け抜けろ 性の六時間 #パルプアドベントカレンダー2023
コンビニエンスストアー、ファッキンマート佐賀致死ヶ崎駅前店の時計が8時を示したのと、同店のバイトである八ツ裂キふわりが襲撃してきたメカヒュドラの首をもぎ取り、煮えたぎるおつゆで満たされた業務用おでん鍋に叩き込んだのは、ほぼ同時の出来事だった。
もがれてなおうごめくメカヒュドラの口から、致死性の化学物質が漏れ出した。おでんつゆが、名状しがたい色に染められていく。
「オ、オノレ! コンビニバイト風
戦争の最果て #逆噴射小説大賞2023
「貴様らは死ぬ。だが正しき時と場所にて死なねばならぬ。祝福はそこにこそあると知れ」
教主様の御言葉を拠り所として、俺たちは赤い泥濘の中に腰まで浸かりながら歩く。灼けた泥と鼻をつく悪臭が、容赦なく俺たちを削り取っていく。魔導機兵に乗っている連中が羨ましくなる。空調の効いた棺桶の中は、死ぬのに相応しい場所かどうか怪しいというのに。
閃光。
二機の魔導機兵が爆散した。続いて隣にいたジェドが音もなく
神饌を供す #逆噴射小説大賞2023
尾頭さちと尾頭さえの姉妹は巫女装束に身を包み、深々と平伏して待っていた。部屋の寒さに、吐く息が白く染まる。遠くで鳴り続ける鈴の音が、耳に届く唯一の音であった。
彼女らの前には一本の包丁が置かれ、さらにその前には純白の布地が広げられている。布の上には、一糸まとわぬ姿の女性が寝かされていた。
少女というのがふさわしい女性の、それは死体であった。
鈴の音が消えた。姉妹の体がわずかにこわばる。
大決戦! アクズメさんVS深海潜神教団! #AKBDC2023
「ウナーギッギッギッギ!(笑い声) 恐れ入ったか、下等な人類どもめウナ。我等、深海潜神教団Ku-EELーulhuの神域を汚した罪、万死に値するウナ! そもそも、あのような醜悪きわまる鋼鉄の塊に頼らねば海を渡れぬその脆弱さ、正視に耐えぬおぞましさウナ!」
「「「「ウナーギッギッギッギ!(笑い声)」」」」
「うわっ?! いきなりなんなんだお前ら! あっやべ、ちょっと汁こぼしちまった。洗って落ちるかな
おうまの写真を撮っている2~2023年ヴィクトリアマイル観戦記
ドーモ、タイラダでんです。よくいらっしゃいましたね。
さて、前回の記事で希望していたヴィクトリアマイル観戦。当日の指定席が取れたので、東京へと遠征してきたのである。今の最推し馬であるソダシを撮るためだ。
朝5時に置き、心底嫌いな飛行機(飛行機は本当に苦手で、人類は一刻も早くでかい鋼鉄の塊が空に浮かぶなどという非科学的で非常識極まりない乗り物を撤廃し、新たな交通・輸送手段を構築すべきだと思
老人と犬、ところにより廃墟 #むつぎ大賞2023
35年と118日。
「ここにしようか。おいで五郎丸」
その日、老人が指さしたのは、かつて地下鉄と呼ばれた交通機関、しかし今となっては日の光届かぬ深い地の底――地下迷宮物件と成り果てた場所の入り口であった。
五郎丸は応えるように一声吠え、階段を軽やかに降りていく。数段降りたところで老人を振り返り、追い付くのを待ち構える。五郎丸は尾を左右に振りながら、進んでは待つことを繰り返す。
対して老人は
おうまの写真を撮っている
ドーモ、タイラダでんです。よくいらっしゃいましたね。
さて、僕は生き物の写真を撮るのが好きである。よく動物園や水族館にでかいカメラ抱えて行ったり、近所の公園をでかいカメラ抱えて歩きまわったりしている(フルセットで3㎏以上ある)。
そして僕は競馬が好きである。サラブレッドたちが走り競い合う姿は何度見ても最高のものだ。訳あってしばらく競馬からは離れていたが、2年ほど前からまた、のめり込むように
【習作短編】雪と月と桜の夜に、僕は君を殺めよう
如月の夜。粉雪舞い散る山道を、一人の少年が駆けている。
彫りの深い顔つき、均整の取れた肉体。それらが秘める若さ、瑞々しさ、そして荒々しさを、詰襟の学生服で無理やり抑え込んでいる……そういった風情の少年は、名を雪代氷衛といった。
氷衛は荒く息を吐きながら山路を駆け上がる。癖のある黒髪が揺れる。舞う粉雪が、氷衛の息に当てられて姿をなくしていく。
風が舞う。粉雪が風に煽られ、不規則に舞い踊る。氷