高巻 渦

掌編小説と身の周りの出来事。 好きなギャンブルは人生。

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高巻渦の宗教へようこそ 私の肺を汚すためのコミュニティです。 せっかくなので全体公開で書けない・書きたくない・書いたらマズい記事を投稿出来たらと考えています。 何卒よろしくお願いします。 2023/02/07 高巻渦 @Uzu_Takamaki

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    サジニセニハラシリーズのまとめです

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営業マンとドーベルマン

 二十年前。小学生の頃、捨てられていた犬を殺してしまったことがある。  ダンボール箱に入れられて野ざらしにされていた子犬に「ご飯持ってきてあげるから待っててね」…

高巻 渦
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「オキニー」は絶対にやめろ

「オキニー」 オキニーとは、私の造語だ。 何もすることがなく、ただ性欲だけが有り余っているそんな夜。 なんとなく股間に手を伸ばし、オカズを探し始めて小一時間が過ぎ…

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回りくどい椅子

同棲を始めてから別れるカップルなんて、伝説上の存在だと思ってた。 百歩譲ってそういう末路を辿った恋人たちがいたとして、自分だけはそうならないと思ってた。そうなら…

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挑戦、長編、超変。

せっかくだから太字を使って、でかでかと書こうと思う。 たったいま私は、12万文字の小説を書いた。 自分の好きな物をこれでもかと詰め込み、やっとのことで書き上げた12…

高巻 渦
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クソ心霊スポット

登場人物 私・・・筆者、運転手、心霊スポットがやや楽しみ フォロワーA・・・今回の首謀者、非常に怖がり、大男 フォロワーB・・・ムードメーカー、巻き込まれた被害者、…

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4/3,詩/散,散分の詩,散文詩

夏。コンビニで買ってきたタバコと飲み物が、その日のうちになくなる。 アスファルトの上に這い出たミミズが、その日のうちに亡くなる。 壁に掛けられた手持ち花火の、パッ…

高巻 渦
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ちぎれ飛ぶ腰巾着

 得体の知れないウイルスが蔓延し、インフラも秩序も崩壊したこの世界で、桜庭紗弥と自分が「非感染者」として生き残っていることを、平山玲は必然と捉えていた。  玲は…

高巻 渦
8か月前
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台風とピンサロ嬢

 小笠原諸島の南方で発生した台風14号は丸一日かけて本土に上陸し、東京を直撃した。  出張からの帰り道は案の定どしゃ降りで、持っていたビニール傘は突風に煽られて何…

高巻 渦
8か月前
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「恐怖ショー」読んで頂いた方、スキを押してくれた方、本当に感謝です。
ありがとうございました。

高巻 渦
8か月前
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「恐怖ショー」 三話

 満身創痍の身体を引き摺りながらメインテントへと歩を進める。延々と悲鳴を上げ続けている左半身と頭は、俺の動きを一層鈍くする。それでも演目のために向かう時と比べれ…

高巻 渦
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「恐怖ショー」 二話

 ボクンという嫌な音と共に、地面に叩きつけられた。全身を襲う激痛にのたうち回りたいが、背中を打って呼吸が出来ず、身体も動かない。かろうじて首を曲げると、軟体動物…

高巻 渦
9か月前
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「恐怖ショー」 一話

 とある時代のとある国。一軒のバーで、酒に酔った四人の青年が、世界の七不思議について顔を合わせて話し込んでいた。彼らの口から語られるのは、どこかで聞いたことがあ…

高巻 渦
9か月前
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「恐怖ショー」 あらすじ

とあるバーで酒に酔った男たちが、恐怖症患者を見世物にして世界を回る闇のサーカス団の噂を話している場面から物語は始まる。 舞台は変わり、闇のサーカス団に所属してい…

高巻 渦
9か月前
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スターチス

 2年1組と書かれた扉を開け、いつものように天城さんの後ろの席に座ると、彼女の首の襟元に小さな三毛猫がいた。窓から射し込む太陽の光で、きな粉のような色の体毛がき…

高巻 渦
9か月前
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かげろう

一年半付き合った元カノの遺書には、俺の名前が書いてあった。 続けて恨み節が綴られていれば、彼女の両親が俺にこの紙きれを見せることもなかっただろう。 マサシくんへ…

高巻 渦
9か月前
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退屈しのぎに丁度良いドキュメンタリー番組レビュー #1

※注意※ 本項には虫の写真が使用されています 深夜にツイートした通り、現在Amazonプライムで配信中のドキュメンタリー番組 「キング・オブ・ペイン」が面白すぎるのでそ…

高巻 渦
1年前
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営業マンとドーベルマン

営業マンとドーベルマン

 二十年前。小学生の頃、捨てられていた犬を殺してしまったことがある。
 ダンボール箱に入れられて野ざらしにされていた子犬に「ご飯持ってきてあげるから待っててね」と言い、そのまま忘れてしまった。
 次の日の下校途中に思い出し、慌てて昨日と同じ空き地の隅へ行くと、忘れられた子犬はダンボールの中で冷たくなっていた。
 俺は泣いた。子犬の死を悲しみ、涙を流す権利なんてあるはずなかったのに。あの時「待ってて

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「オキニー」は絶対にやめろ

「オキニー」は絶対にやめろ

「オキニー」

オキニーとは、私の造語だ。
何もすることがなく、ただ性欲だけが有り余っているそんな夜。
なんとなく股間に手を伸ばし、オカズを探し始めて小一時間が過ぎ
「もうアレでいいか……」
と考えた瞬間に、件の「オキニー」は発生する。

オカズ探しに難航し、以前見たお気に入りの動画か何かで手短に自慰を済ませる、人類史上最も愚かな行為。
そんな置きに行ったオナニーのことを私は「お気に入り」と「置き

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回りくどい椅子

回りくどい椅子

同棲を始めてから別れるカップルなんて、伝説上の存在だと思ってた。
百歩譲ってそういう末路を辿った恋人たちがいたとして、自分だけはそうならないと思ってた。そうならない相手だと思ってた。

一緒に暮らし始めてから相手の嫌なところばかり目につくようになって、互いに一人暮らししてたときよりも話す回数が減って……。
そのまま二人は伝説の存在となった。
もう数日もすれば引っ越し業者が来て、一生付き合ってくには

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挑戦、長編、超変。

挑戦、長編、超変。

せっかくだから太字を使って、でかでかと書こうと思う。

たったいま私は、12万文字の小説を書いた。

自分の好きな物をこれでもかと詰め込み、やっとのことで書き上げた12万文字。
思い残すことはもうありません。燃え尽きたぜ、真っ白にな。

2022年に7つの話を書いたまま放置していた作品を今月に入ってから再び書き始め、合計13話を書きあげました。
死ぬ。今月に入ってからざっと6万文字は書いた。

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クソ心霊スポット

登場人物
私・・・筆者、運転手、心霊スポットがやや楽しみ
フォロワーA・・・今回の首謀者、非常に怖がり、大男
フォロワーB・・・ムードメーカー、巻き込まれた被害者、大食い
フォロワーC・・・非常に怖がり、心霊スポットが楽しみ

「何か夏らしいことがしたい」

八月上旬、退屈極まる人間が集うディスコード上でAはそう言った。
「夏らしいことって例えば?夏祭りとか、海とか?」
私の質問に、彼はため息をつ

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4/3,詩/散,散分の詩,散文詩

4/3,詩/散,散分の詩,散文詩

夏。コンビニで買ってきたタバコと飲み物が、その日のうちになくなる。
アスファルトの上に這い出たミミズが、その日のうちに亡くなる。
壁に掛けられた手持ち花火の、パッケージに書かれていた言葉。
「煙が出にくく、スマホで撮りやすい」
誰かが何かを選択するその連続で、世界は回っている。
つまらない売り文句を考えた奴と、それを採用した人間がいる。土の中から出てみようと考えたミミズがいる。子供を車内に残した親

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ちぎれ飛ぶ腰巾着

ちぎれ飛ぶ腰巾着

 得体の知れないウイルスが蔓延し、インフラも秩序も崩壊したこの世界で、桜庭紗弥と自分が「非感染者」として生き残っていることを、平山玲は必然と捉えていた。

 玲は常に紗弥の後をついてまわる存在として、他の生徒から一目置かれた高校生活を送っていた。
 二年前、県で有名な女子高に入学した玲は、紗弥の凛とした横顔を一目見て、彼女について行こうと決めた。
 その目に狂いはなく、入学式からものの一ヶ月で、紗

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台風とピンサロ嬢

台風とピンサロ嬢

 小笠原諸島の南方で発生した台風14号は丸一日かけて本土に上陸し、東京を直撃した。

 出張からの帰り道は案の定どしゃ降りで、持っていたビニール傘は突風に煽られて何の効果もなさない棒切れと化したあと、続けざまに吹きつけてきた二陣目の風にもぎ取られてどこかへ転がっていった。

 気が滅入っていた。長い出張を終え、一刻も早く疲れを癒したい状況にも拘らず、この暴風雨だ。雨宿りがてら、どこか店へ入りたくな

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「恐怖ショー」読んで頂いた方、スキを押してくれた方、本当に感謝です。
ありがとうございました。

「恐怖ショー」 三話

 満身創痍の身体を引き摺りながらメインテントへと歩を進める。延々と悲鳴を上げ続けている左半身と頭は、俺の動きを一層鈍くする。それでも演目のために向かう時と比べれば、数段気分は良かった。

 向かったのはいつもの裏口ではなく、客が出入りする表口の方だった。初めて見る観客たちの背中は、やけに小さく見えた。ステージでは暗所恐怖症の少年が、ダグラスの鞭に打たれて泣いている。俺はビルの置き土産であるスピリタ

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「恐怖ショー」 二話

 ボクンという嫌な音と共に、地面に叩きつけられた。全身を襲う激痛にのたうち回りたいが、背中を打って呼吸が出来ず、身体も動かない。かろうじて首を曲げると、軟体動物の死骸のようになっている自分の左腕が見えた。ひどい耳鳴りの中、微かに客席から上がる歓声が聴こえる。ペンの尻拭いは無事に果たせただろうか。そんな考えを巡らせていると、霞んだ視界にダグラスの足が映った。
「しぶてぇ野郎だ、お前の母親はこれでくた

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「恐怖ショー」 一話

 とある時代のとある国。一軒のバーで、酒に酔った四人の青年が、世界の七不思議について顔を合わせて話し込んでいた。彼らの口から語られるのは、どこかで聞いたことがあるような子供騙しのチープな物ばかりだった。だが、酒の肴にはそれが丁度良かったのだろう。彼らは深夜まで話に花を咲かせていた。そのうち、一人がこんなことを尋ねた。
「世の中には俺たちの知らない物がまだ沢山ある。今から俺が、誰も知らないとっておき

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「恐怖ショー」 あらすじ

「恐怖ショー」 あらすじ

とあるバーで酒に酔った男たちが、恐怖症患者を見世物にして世界を回る闇のサーカス団の噂を話している場面から物語は始まる。
舞台は変わり、闇のサーカス団に所属している高所恐怖症で白髪の少年、フォールを主人公に物語が進む。団員には他にも閉所恐怖症の大男や蜘蛛恐怖症の少女がおり、下劣な支配人によって無理やりサーカスに出演させられ、生傷の絶えない生活を送っていた。
先端恐怖症の団長が過酷な演目に耐え切れず死

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スターチス

 2年1組と書かれた扉を開け、いつものように天城さんの後ろの席に座ると、彼女の首の襟元に小さな三毛猫がいた。窓から射し込む太陽の光で、きな粉のような色の体毛がきらきらと輝いていた。
 そいつはいかにも猫らしく前足で顔をあらい、大きな欠伸をひとつしてからこっちを見た。ぎょっとして目を左右に泳がせていると、突然声が聴こえた。
「君は飯島陽介だろう」
 まるで耳の奥から聴こえたような、空から降ってきたよ

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かげろう

一年半付き合った元カノの遺書には、俺の名前が書いてあった。

続けて恨み節が綴られていれば、彼女の両親が俺にこの紙きれを見せることもなかっただろう。

マサシくんへ、という言葉の横に書かれていた彼女の最期のメッセージは

「あのときは楽しかったね、ありがとう」
というものだった。

俺の中で彼女の輪郭はもうとっくにぼやけていて、彼女の書いた「あのとき」が何のことなのか、まったく思い出せなかった。

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退屈しのぎに丁度良いドキュメンタリー番組レビュー #1

退屈しのぎに丁度良いドキュメンタリー番組レビュー #1

※注意※
本項には虫の写真が使用されています

深夜にツイートした通り、現在Amazonプライムで配信中のドキュメンタリー番組
「キング・オブ・ペイン」が面白すぎるのでその紹介をしたいと思う。

番組の内容を至極端的にざっくり説明すると
「外人二人が有毒生物にちょっかいを出しまくり、どの毒が一番キツいかをその身を以て確かめてランク付けしていく」
という、いわば人体実験である。

彼ら二人は有毒生物

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