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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#人生

死を想え、取り急ぎ

死を想え、取り急ぎ

 今生きている人間、みんな死んだことないので、死のニワカでしかない。でも、死というものを少しでも理解するためには自分が実際に死ぬしか方法がないので、生きてる人間だけでこれ以上議論をするのは全くもって不毛である。閉廷。死後裁かれよう。

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 今、私がこうやって生きていることはこれ以上ないくらいに幸運なことである。というのも、日常のあらゆるシーンに漫然と"死"は潜んでいて、私たちは緩慢とそれらと付

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さよならいつか

さよならいつか

今日話した貴方と、明日また会える保証なんてどこにもなくて。今日の平和が明日の平和を約束してくれるわけでもなく。貴方の髪を優しく撫でたこの手で、いつか貴方のその細い首を絞めることになるかもしれない。明日も明後日も、今日と同じ関係性の上で会えるように、私たちは「またね」と言うのだ。

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 夏が終わりを告げ、秋へと移行するこの時期。雲の流れが二転三転する不安定な気候に、心も吹き惑わされるようだ。EL

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サマタイムゴン

サマタイムゴン

 夏が終わってしまったことをこんなに寂しく感じるなんてな。ベランダに吹く風は、そっと次の季節の到来を告げている。風こそ見えねども、秋は来にけり。

 仕事はいつも通りだ、友人関係もいざこざはない。家族仲も良好だ。嫌んなるくらい健康体だし、飯だって毎日作ってしっかり食べてる。ちゃんと美味しい、味覚もイカれちゃいない。夏バテなんて言葉とは無縁の食欲に自分でも驚く。
 
 そういえば今年の夏は海にもプー

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思い出に広告がカットインしてくる

思い出に広告がカットインしてくる

 動画サイトで動画を見ようとしたら、動画が始まる前に広告が流れるようになった。さらに一定時間ごとに短い広告が挿入されている。基本無料で使わせていただているのだから仕方ない、そうは思うけれど、ほんのちょっと前まではそんな仕様なかったんだから疎ましく思うのも仕方ない。
 動画サイトを徘徊していると、「切り抜き動画」や「ショート動画」というのが目に付くようになった。切り抜き動画とは、配信者が投稿した長尺

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盆・ボヤージュ

盆・ボヤージュ

悲しいことは、悲しいことがあれから一度もないことさ。最後に悲しみに暮れたのはいつの日か。お盆の時期になると、なんとなく肌身で感じるやるせなさ。このやるせなさの輪郭が年々、形取られていくようになってきた。

 「夏休みのターニングポイント」くらいにしか、お盆というものを認識していなかった。気づいたらなんとなく夏だったのだが、気づいたらなんとなく秋の口が見えている。夏、この度めでたく24度目の解散。

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こっから先、どうする?

こっから先、どうする?

 ここしばらく、割と忙しくて(早々にネタばらしすると別にそこまで忙しくはなかった)、Twitterとかインスタで即物的な言葉を投げ捨てるぐらいしか、思想のアウトプットが出来ていなかった。って小洒落たこと言ってるけど結局はめんどくさかっただけ。まとまった文章を推敲して練り上げていくのにも心の余裕というものが要る。堕落した文章を書くなら、節度を持って余裕のある堕落を。破滅型の作家に憧れる暇あったら、理

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無欲であれ

無欲であれ

 欲しいものがない、やりたいことがない。

 そういう若者ははたしてタイマンなのだろうか。娯楽が多様化しすぎた今、逆に無欲がブームになったっていいはずである。勝つまで欲しがらないその姿勢は、かつてお前たちが賛美した"うつくしい”日本人の理想像ではないのかと問いたい

 若者はけっして"無欲"ではない。確かに野心的ではないが、決して無欲ではない。なんなら、アンタら世代よりよっぽど論理的であるし、水面

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人生はワゴンケースの小説

人生はワゴンケースの小説

 小説を7割ほど読み終えたところで、「あ、これもしかして、つまらないのでは…?」と感じてしまったときの落胆といったらない。

 そう思うともうダメ。一言一句つまらない。100円で買ったから、というアドバンテージを差し引いてもつまらない。作者なりに頭をひねくり回したであろうちょっと洒落た風の言い回しに、もはや殺意さえ覚える。

 安易にタイトルに惹かれて購入するとこういうことがあるから怖い。本だけに

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雑記①

雑記①

 今日撮った写真が一枚もないことに気づく。写真に残したいと思えるような景色に遭遇できなかったこと、そもそも写真を撮るような暇がなかったことに、労働日の虚しさたるものを感じてしまう。モノクロームな憂鬱に徒然としてしまっている!

 ふいに切り取られて然るべき風景が、無機質で単調な労働日の中に存在するわけなかろう。冷房をフル稼働させながら換気している無意味極まりないこの部屋の気持ちを考えたことはあるか

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笑うドッペルゲンガー

笑うドッペルゲンガー

 転職して早1ヶ月が経った。

 海に集団で身投げするレミングの群れのごとく、自分のひとつ下の世代の子たちが新たに社会の荒波に漕ぎだしていったのを見送ったのも束の間、私も少し遅れて後を追うことになったのだが...。まぁ、タイタニック号に乗りこんだつもりでどーんと行こうや。

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 調子は心身ともにすこぶる良い。朝に弱い私ではあったが、"やるならやらねば"の精神が体に染みついた今では、勝手に目が

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ちょっと無理をして

ちょっと無理をして

 人は皆、その程度に大小あれど、絶対に「無理をしている」と思うんですよ。希死念慮を抑えながら学校に行っている子供だって居るし、生活のため社会の畜生と化したオトナもいる。
 私が嘆きたいのは、そんな無理をしてまで頑張らなくても(😭)ということではなく、無理をしなければ生きられないということである。

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 転職活動をしたとき、私はかなり"無理を"していた。言うまでもないが、就活生側はまるで地を這

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ひとりで大体できるもん

ひとりで大体できるもん

 『おひとり様』という言葉がなんの弾みか流行語大賞に選出された輝かしい時代があった。伝説の少女こと観月ありさが同名のドラマに出ていたのを覚えている。今のこの息苦しい時代ならば、ネットの片隅でボヤ騒ぎが起きそうだ。

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 「ひとり」というのは恥ずかしいことか、否か。
 ひとりというのは安易に孤独に直結しかねない不安定な状態なのか。それとも、何者からも束縛されず自分の生きたいように生きられる解放的

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友人にあまりいないタイプの奴

友人にあまりいないタイプの奴

 近所のセカンドストリートで、これ以上ないであろう上物のトレンチコートを破格の2000円で購入したのが先月の中頃の話。それから三寒四温が無作為にやってきては、私にコートを着せたり脱がせたりした。そしてまだ脱げそうにない。

 このコート、触り心地はテラテラとしていて柔らかく、どこか"ちゃち"な風があるがそれと同時に併せ持つプチプラ感、色はイエローに近い黄土色。デザインも無難と言えば無難で、何にでも

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ニートになれない

ニートになれない

 なにをするにしても、"向き不向き"というものがある。内向的な人間に飛び込み営業は出来ないし、陣内智則に漫才はできないし、太刀使いにヘビィボウガンは使えない。生まれ持った才能や資質というものは概して人生の選択肢を狭めることが多い。

 ニートになるということもまた、資質を伴うものだとここ2か月で感じた。

 誰にでもできそうで誰にでもできないのがニートである。何故ならニートをするためにはある程度の

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