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「変な英語教師」の日常

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「変」というと語弊があると思うのですが、インパクトをとって「変」という言葉を使っています。子どもたちからも「先生って変」って言われます。これは「変わってる」って意味だと思います。… もっと読む
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言語を超えた会話

言語を超えた会話

 新学期が始まり、英語教室にも新しい生徒が入ってくる。他の先生が担当していたクラスを自分が見る様にもなる。もう教室を始めて15年経ち、多くの子どもたちと毎年同じことを繰り返しているのに、私ときたら毎年緊張する。でも私が緊張していては子どもたちに緊張感が伝染してしまう、と出来るだけ見せない様にしてやり過ごす。

 訝しげに私を見る子、私が妙にご機嫌で陽気なのを気味悪そうに眺める子、出来るだけ私が嫌が

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赤ちゃんみたいな夫の姿

赤ちゃんみたいな夫の姿

 映画「正欲」を観た。本を読んでピンと来なかった分(ぼんやりとしか描けていなかった部分)が映像でクリアになって、私としては本と映画セットで良かった。そしてこの本の場合は映像の方がスーッと自分の中に落ちてきたものがある気がする。役者さんの表情から取れる感情が凄まじくて、やはり役者さんって世界を表現するプロなんだな、と今更ながらに改めて思った。私が描けなかった部分や想像はしていたけれど、気持ちを読み取

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波に乗れる子を育てるには

波に乗れる子を育てるには

 なんだか、子どもたちが毎日呪文を浴びせられている気がしてならない。

「もっとできるはず」
「お前ならこの学校に行ける」
「一体どうしたの」
「すぐ楽な方ばかりいっちゃうから」
「ちゃんと本も読まないと」

 言葉だけ見ると当然のアドバイスの様にも捉えられるし、激励の様にも見える。でも比べられ、過度にけなされ励まされする中で子どもたちの思考はストップして自分の価値はこの程度、って決めてしまう。う

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ひとり花見

ひとり花見

 我が子の入学式に出ることと、生活環境のサポートのために東京へ。まだついていなかった照明器具を取りつけたり、冷蔵庫や洗濯機の受け取りを一緒にしたり、近所の美味しそうなお店を探検したりして帰ってきた。

 大学も行って良かった。とても素敵な環境で、定番の「入学式」看板の前での写真撮影の時も前後の方々と写真の撮り合いっこをした。素敵な親子ばかりで、とりあえずホッ。

 それと共に出てくる感情。安心感ば

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外に出て 心を自由に

外に出て 心を自由に

 最近自分の教室の子どもたちによく言うことがある。
「自分の中に興味が湧いて、チャンスがあったら絶対に海外に少し長く行って欲しい」ということ。少し長く、というのは観光というよりは少しじっくり人を観察できるくらいの余裕がある期間、という意味。

 今までよく英語の先生の知り合いが「海外に言って英語を学んで欲しい」と言っているのを聞いて、私は100%賛成ではないな、と薄く感じていた。英語を学ぶなら今だ

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with メニエール

with メニエール

 2023年の秋、私の経営する英語教室の年間行事の一つ、ハロウィンパーティーの2日前、夫の誕生日の朝に突然左耳が塞がった。以前同じ様な症状の時には外耳炎だったので、酷くなる前にと朝一で耳鼻科に出かけたが、順番待ちをしている間にめまいを発症して吐き気。慌ててトイレに駆け込んだ。

 聴力検査をしてみたら、聴力(とくに中低音)が著しく低下していることとめまい発作ということで、メニエールの疑い。でもメニ

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小学校英語って

小学校英語って

 小学校英語、最後の授業が終わった。
病気療養のため、小学校英語一旦お休み。次に小学校に行く時、現場はどう変わっているのだろう。2011年から携わって、現場にいてもその環境が年々悪化していることを感じた。

 講師でありながら「英語をしている場合か?」と思うこともあれば、逆に「英語の時間が救いになることもある」と思うこともあった。

 2010年。小学校英語指導者の研修時に言われた「(何もジャッジ

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アンガーマネージメント

アンガーマネージメント

 怒りっぽい性格だった。常に怒っていた。
今は年に数回怒りを感じるかどうか。
同じ人間なのに、どうしてこうも違うのかと自分で思うくらい。
その両極端を生きてきたから気付いたことを書いてみたいと思う。

 いつも怒っていた時、大体のことは人のせいだった。その当時自分自身も実際はわかっていた。自分が悪いことくらい。でもそれを認めると心が痛みそうで、自分が辛くない方法を選んだ。全部人のせい。失敗しても、

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こどもになる

こどもになる

 人の話に出てくる場所や本の中に、自分のアンテナに直球で引っかかってくるものがあって。記憶力が随分怪しい私でも、それだけは心の中の引き出しに大事にしまってある様。いつでも引っ張り出すことが出来るから不思議。

 お江戸に行く機会があったから、ずーっと行ってみたかった、大好きな人の話に何度も出てきた場所に、これまた大好きな人を伴って行ってきた。

 入った途端に空気がおいしくて驚いた。私の居心地の良

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恥をかかなきゃ身につかない(後編)

恥をかかなきゃ身につかない(後編)

 私自身は英語講師として「人の背中を押す」ことをモットーとしている。その人が自分で動き出せる様に、私は軽く背中をポンっと。にっこり微笑んで「うん、大丈夫」って。私が幼い頃に通った英語教室の様に、まずは「間違ってもいいんだ」っていう本気の安心感をベースに敷く。子どもであろうが大人であろうが同じ。特に大人の方々は今まで英語に対して苦手意識を持ってきている方が多いので、余計に丁寧に。過去の傷を塗り替える

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恥をかかなきゃ身につかない(前編)

恥をかかなきゃ身につかない(前編)

 お子さんが生徒さんが、恥をかかないように、恥をかかないように、先回り先回りして道を整えている大人の皆さーん、ちょっとストップ。

 私、50歳になって気付いた。恥かかなきゃ身につかないわ。
英語講師として何度も口にしてきた言葉だけど、私が物事を習得した時には必ず恥をかいている。大きな失敗もしてしまっている。

 例えば私は傷つくのが何よりも怖い、超繊細な子どもだった。通っていたスイミングクラブで

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英会話学校に通う意味

英会話学校に通う意味

 英会話学校に通ったら、誰でも英語が出来る様になりますか?
答えは"No."です。いつか小学校の懇談会で「学校のプールの授業で泳げる様になりますか?」って聞いてた保護者に対して先生が困っていたら、他の保護者(先輩ママ)が「なりません」って断言していたのを思い出す。

 子どもも人。人には興味とか好みとかがあって。好きなことや興味があることはとことん楽しみながら力を伸ばす。でも嫌いになったら、どんど

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子どもに自分の人生を被せない

子どもに自分の人生を被せない

 受験シーズン。私が絶対になりたくない大人の像がある。
それは、子どもに自分の夢を被せる親。先生。

 例えば「うちの生徒が○○高校(この辺りで一番偏差値が高いと言われる高校)に、○人受かりました」とか「うちの子の大学は...」とかを自慢気に語る様にはなりたくない、ということ。
でも、その行為自体を否定もしないし軽蔑もしない。
 親として、先生として、その気持ちは十分理解出来るから。そんな子を少し

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自分のケアは人のため

自分のケアは人のため

 プロ根性、好きな言葉だった。
私は今の英語教室を開いて15年間、子どもたちの前に立っている時に一度も体調不良を感じたことがなかった。レッスン時間まで酷い頭痛や生理痛に悩まされていても、教室に入ったら不思議と痛みが去って笑顔になれた。
 自分の子どもや家族のことで悩んでいても、教室に入れば別世界の住人になれた。それを自分ではプロ根性だと思っていた。

 でもね、プロ根性って考えたら怖い言葉。こうし

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