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今月のイチオシnoteクリエーター

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月末に1名、これぞ!というnoteクリエーターさんを表彰して1000円サポート&紹介するコーナーの候補作と受賞作たち。 心を揺さぶる名作として、世に広めたい!と思わされたnot… もっと読む
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#小説

「想像上の妻子」と結婚したら、自己肯定感が上がった話

「想像上の妻子」と結婚したら、自己肯定感が上がった話

いつもお世話になってます。
天竜川ナコンと申します。

突然ですが、私は自分に自信がありません。

たとえばこの前、カフェで「オレンジジュース」を頼んだところ、声が小さすぎたのか「ブレンドコーヒー」が出てきた時。

「オ、オレンジジュースを頼んだのですが…?」と言ったのですが、「ハ〜イ?」みたいな高圧顔を店員さんがするので「ブ、ブレンドでもいいですが…w」と、引き下がってしまいました。

そんな毎

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女子会なんて抜け出して、給湯室でキスがしたい

女子会なんて抜け出して、給湯室でキスがしたい

男社会の周縁で夜な夜な繰り広げられる無法者たちの宴、いわく「女子会」ですらゆきずりの愛は肩身がせまい。



「A子、自分のことは大事にしなよ。」

「…わかってるよ。」

ガラスの天井を見上げながら入社後平行線の報酬を噛み締めて若さを消費するわたしたちの味方は白いサングリア。

社会の中心に居てはおれないわたしたちだからわざわざこんなところに集ったのに、だからこそなのか中心のはしっこにくらいに

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8分間のサマー・トレイン #あの夏に乾杯

8分間のサマー・トレイン #あの夏に乾杯

いつもと同じ夏が、過ぎ去ろうとしていた。

量販店で買ったマキシ丈ワンピースが暑さで足にまとわりつく。

結婚して10年、娘を産んで6年。ここ数年は、8月の終わりに実家に滞在するのが恒例となっている。私と娘が3日ばかり早く帰省するスタイルで、夫は後から合流。もちろん和平協定のもと、義実家に行くときは役割を交代する。

神奈川県の真ん中に位置する実家の周辺は、正直なんにもない。暇を持てあまして、3駅

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消えない泡 #あの夏に乾杯

消えない泡 #あの夏に乾杯

北の夏は短い。

盆だというのに吹き込む夜風は涼しく、虫の声も秋を感じさせる。リビングの窓の網戸には、大きな黒い虫が張り付いて離れない。蛍光灯の光に引き寄せられてか、夕飯のカスがこびりついた皿の山に用があってか。

「おい」

テレビの前の父親に目を向ける。むっくりとした猫背のラインに、グレーのTシャツがぴったり張り付いている。野球観戦後そのままのチャンネルで垂れ流されるCMでは、最近人気の俳優が

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中学のとき教室内にアイコラ会社ができた話

鬼束ちひろさんが好きだった。

アーティストとしてもだけど、もう女として好きだった。

会えもしないし、よく知らない。

それでも僕は鬼束ちひろさんが大好きだった。

中学一年生。そんなガキだった。

芸能界にはたくさんの美女がいた。

友人たちは後藤真希や大塚愛、深田恭子に加藤あい、松浦亜弥などに夢中だった。その中で『鬼束さんフリーク』はマイノリティと言えた。

「なぜあえて鬼束ちひろなのか?」

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『忘れられない一杯』は覚えていない【小説】

『忘れられない一杯』は覚えていない【小説】

「今度のフェスで乾杯しましょう!」

音楽好きの間では、良く使われるセリフだと思う。SNSが普及してからこっち、「顔は見たことがないけれど、趣味は同じ。いつ繋がったのかわからないけれど、ネット上では普通にしゃべる」、そんな不思議な関係の人が沢山できた。
そして、同じジャンルの音楽が好きでつながった人とは、参加するライブやフェスがかぶることが多々ある。そういう時に「会いましょう!」と言うのではなく、

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明日晴れるかな

明日晴れるかな

物心がついてから、描く絵はいつも夕方だった。

きっと両親は今でも、水色を嫌いだと思っている。
一度も使わなかったから。

でも本当は1番好きな色。

新しいものを手に入れると、すぐに無くなった時のことを想像してしまう。
短くなるのも、折れてしまうのも怖くて、だったら使わないを選んだ。



お付き合いをしても、一緒に暮らしても、いつだって終わりを想像してしまう。

「タバコのにおい嫌いなんだよ

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あなたとまた、ふたりで。

あなたとまた、ふたりで。

「恋の始まりは、オオゼキでした。」

30歳もとっくに過ぎ、周りの人たちが次々と結婚していく中、私は少し焦っていた。女ばかりの職場で出会いもなく、好きなアイドルに夢中で結婚とは程遠い。
そろそろアラサーとも呼べないお年頃だし、そりゃ焦りだって出てくるってなもんで。

ランチ後の満腹眠気と闘いながらパソコンの数字とにらめっこしていると、ポケットの中でケータイが震えた。昼間に連絡してくるのはようこだな

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真イカのパプリカソースに捧ぐ鎮魂歌(レクイエム)

真イカのパプリカソースに捧ぐ鎮魂歌(レクイエム)

先日、令和最大級とも言える衝撃的な事件が起こった

サイゼリヤの大人気メニュー「真イカのパプリカソース」の販売が終了になるというのだ

あの、真イカのパプリカソースが

販売終了―――

このショックによって米津玄師は名曲「lemon」を書き上げたと言われている(私の中で)

※今でもあなたは私の光

私が先日まで暮らしていたマンションは、目の前にサイゼリヤ、角を曲がれば日高屋、振り向けば

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今月のイチオシnoteクリエーター(2019年5月)

今月のイチオシnoteクリエーター(2019年5月)

月末恒例、勝手にオススメのnoteクリエーターを表彰して褒め称えて1000円サポートするコーナーです!

過去の受賞者さんや候補作品は改めてマガジンにまとめなおしました。

条件として...

・note内で初めて知った人
・noteでのフォロワー数が1000人未満
・実際にお会いしたことがない人を優先

という3つの条件で選んでいます。あと、ここだけの話ですがtwitter、instagramな

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今月のイチオシnoteクリエーター(2018年12月)

今月のイチオシnoteクリエーター(2018年12月)

月末恒例、勝手にオススメのnoteクリエーターを表彰して褒め称えて1000円サポートするコーナー!

自腹企画もついに6回目ですね。なんだか定番化してきた感。

歴代受賞者はこーんな感じ。
7月 ライター/編集者の田中裕子さん
8月 ライター/キュレーターの角尾 舞さん
9月 《教養のエチュード》編集長*もの書きの嶋津亮太さん
10月 フードマーケターのsahoさん
11月 3児のおかあさんでライ

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