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「ミステリはやさしい」~『案山子の村の殺人』(楠谷 佑 (著))の感想文であり推薦文
<ミステリ初心者にお勧めするために書きます> この文章は、ミステリ小説『案山子の村の殺人』(楠谷 佑 (著)) https://www.amazon.co.jp/案山子の村の殺人-ミステリ・…
「ミステリはやさしい」~『案山子の村の殺人』(楠谷 佑 (著))の感想文であり推薦文
<ミステリ初心者にお勧めするために書きます>
この文章は、ミステリ小説『案山子の村の殺人』(楠谷 佑 (著))
https://www.amazon.co.jp/案山子の村の殺人-ミステリ・フロンティア-楠谷-佑/dp/4488020232
の感想文であり、みなさんに一読をお勧めするために書いています。
書評なんぞという偉そうなものではないのですが、皆様が本書を手に取る一助になれば幸甚です。
オフィーリアの水牢 2/3
キサラギ・サラは還らない 2
「サラ先輩がいつ目覚めるか解らない以上、彼女にラジカセを確実に聞かせるには、下手すれば数十分から数時間分の音を録音しておかなきゃならない。人間の声を延々吹き込んでおくのは非現実的です。ラジカセじゃあ目覚めたサラ先輩と会話も出来ないから、声をかけられたらすぐに録音だとばれますしね。それに、もうテープは回収したんでしょうけど、もし回収する前に警察がラジカセを調べてあなたの
オフィーリアの水牢 3/3
今回のことでこれ以上、何かをする気はなかった。彼のしたことを人に言うつもりももちろん、無い。
ただ、——彼のサラ先輩への仕打ちを知っている人間がもしかしたら複数人いて、その人物達は彼に日々、冷酷な視線を送っているのかも知れない。それは彼のクラスメイトや、教師かも知れない。
そんな恐怖を、せめて自分のしたことの報いとして味わえばいい、と思った。
彼が警察へでも行って、自分のしたことを白
ルフオノイアの人々 3/3
0:楽園のシーツ・チルドレン 大陸の端に、寂れた街があった。
昔の塹壕と川が繋がって水路となっており、縦横に街中を走る為、農地化も難しい。
廃墟同然の家々は公然の子捨て場所となっており、近隣からの孤児が多く住みついていた。
「俺ら、シーツ・チルドレンて言うんだってよ。金無くてシーツを服にしてるから」
キイルリが言うと、シュロが笑った。
共に十五歳。二人でこの街の孤児を束ねている。
ルフオノイアの人々 2/3
6.冷たい麦畑 ルフオノイアは、大陸随一の芸能都市である。
その規模の肥大と同時進行した腐敗の中、踏みにじられ続けた下層階級の尊厳を取り戻そうと、特権階級の転覆を狙った革命勢力の動きが、この十年来激しさを増していた。
『街』から離れたある村に住むオーリエ・ヒールは、今年で二十四歳になる。
十年前から居候している家の、同い年の長男から、ある朝求婚された。
「私を、ですか。でも……」
ロンドンブーツの恋人(芸人さんで歌詞を書く)
<ロンドンブーツの恋人>
1.
映画のような靴を履き
見たこともない楽器を抱え
笑いものになるたびに
きみの笑顔は消えていく
私の部屋に入れたのは
クラウン崩れのジャン・バルジャン
ロンドンブーツを脱がせれば
傷まみれの素足
逃げていいよと言えなかった
逃げるなと叫んで私も泣いた
やっときみがスニーカーを履いて
電話番号を変えた日に
2.
お客のいない靴屋の隅で
ロンドンブーツを見つけた日
<東京月島ダウンタウン>(芸人さんで歌詞を書く)
「芸人さんで歌詞を書く」は、私の好きな芸人さんのコンビ名やトリオ名などを元にイメージを膨らませて歌詞っぽい文章を書く、という試みです。
実在の芸人さんやその特性・芸風などとは一切関係ありません。
<東京月島ダウンタウン>
1.
卵の殻が刺さった植木鉢
トレーラーみたいな長屋町
鍵もかけずに横になる
ここは東京ダウンタウン
西仲はハヤもんじゃだらけで
靴屋も本屋もどこいった
手作り空中回廊は
木