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わたしの好きな本を紹介していこうと思います📚
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師をなぞる

師をなぞる

毎日、というわけではないけれど、
時折、わたしは自分のお気に入りの詩や小説の一節を、
ノートに書き写しています。

ペンは、青(と碧を混ぜたような)色で、
紙の上を滑るような、書きやすいもの。
ノートの表紙はマスキングテープでデコレーション。
去年の夏に本屋さんで買った青の瓶柄は
爽やかでもあり、ノスタルジックさもあってお気に入りです。

この前はヘッセの「車輪の下」から、抜粋して書き写しました。

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村田沙耶香「地球星人」

村田沙耶香「地球星人」

「コンビニ人間」に次いで、村田沙耶香さんの作品を読むのはこの「地球星人」でした。
「コンビニ人間」のときにも感じたことですが、
村田沙耶香さんの作品を読んだ後、
「現在の『常識』に、自分たちは囚われすぎているんじゃないか」という疑問が浮かびました。

今回の「地球星人」も、女は結婚をして、子を産まなければ、
「人間工場」の部品として、うまく機能せず、寂しい人生を送るという、
いつの間にか「地球」で

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太宰治「女生徒」

太宰治「女生徒」

大学生の頃、太宰の小説が苦手というか、
途中で読んで苦しくなった記憶がありました。
読んだ後の後味も、読み途中も気持ちが塞がる。
「人間失格」も辛うじて、最後まで読むことができたような気がします。

けれど、社会人になり、
自分がそこまで精神的に強くはないと、
自分の弱さを段々認めることができるようになってから、
太宰治の小説が不思議なほど、心に沁みました。
それは共感できる部分も増えたというのも

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旅先でのカフェと、本と。

旅先でのカフェと、本と。

このゴールデンウイーク中に、彼と那須塩原へ旅行に行きました。
宿の温泉にゆっくりと浸かって、
いくつか観光する、のんびりとした旅。

乙女の滝、那須フラワーワールド、ステンドグラス美術館…。
旅行中に寄った、どの観光地もよかったのですが、
今回の旅でわたしの中で印象に残っているのは、
乙女の滝の休憩所にあるカフェ。

宿から車を走らせ、若い葉と葉の間からチラチラ見える木漏れ日や、
木々の間を通り抜

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やさしいきもちになれる

やさしいきもちになれる

外を出ると、近所の桜の花びらたちが、
ころころころと、風に乗って転がっていました。
追いかけっこをしているようで、可愛い。

自分が住むアパートの目の前にある広場に咲く桜。
元々住んでいた実家の近くにも桜並木があって、
玄関を開ければ桜が満開なのが見れました。

でも毎年ふと不思議に思うのが、
桜の木の近くに私は住んでいるけれど、
私の知らないうちに、桜は満開になっているのだなということ。
まだ二

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川上未映子「黄色い家」

川上未映子「黄色い家」

川上未映子さんの作品は何作か読んだことがあります。
リズムのいい文章に、濃密な内容。
川上未映子さんの書く文章は、文字で大きな絵を描いているような、
「書く」って自由でいいんだと、気付かせてくれる文章です。

そして今回読んだこの「黄色い家」はお金がテーマ。
お金。
お金は生きていくのに必要なものだということは、
一人暮らしを始めて実感しました。

お金がなければ住むことも、食べ物を食べることもで

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「違うこと」をしないこと

「違うこと」をしないこと

2022年を振り返ると、私はどういう風に生きたいのだろうと、模索をした年でした。そしてつい先日、12月21日で今の公務員の職場をやめてきたところです。
来月から派遣社員として、ある外資系の会社の人事部門でとりあえず働きます。

私自身、今まで生きてきて、いつのまにか自分が本当に好きなことってなにかを忘れて、目の前のタスクを一生懸命こなしてきました。
頑張って勉強して、公務員になって、配属されたとこ

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吉本ばなな「ミトンとふびん」

吉本ばなな「ミトンとふびん」

つい最近まで転職活動をしていたのですが、読書にあまり身が入らない状況でした。

自分の生き方や、働く先があるかなと、漠然とした不安があったりして、一度読んだ文を読み直すことも多々ありました。
そんな時にふと、彼と出かけた先の近所の本屋さんで、吉本ばななさんの「ミトンとふびん」の背表紙を見つけました。

「あ、これ」
様々な色が混じった美しい装丁に魅了され、その本を手に取って、表紙と裏表紙の帯の文言

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フランス文学とbook lovers

フランス文学とbook lovers

社会人になって、読書の楽しさを再発見した私ですが、この頃は海外文学にも触れてみようと、書店で「悲しみよこんにちは」(フランソワーズ・サガン著)を手に取りました。
これはサガンが18歳の時に書いた小説。衝撃的なストーリーの中に、瑞々しい感性を感じさせる文章に魅かれました。

もっとサガンの作品を読みたいと本屋に行きましたが、なんと在庫はゼロ。
サガンに強く魅かれていた私ですが、他のフランスの作家の作

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夏の本屋さん

夏の本屋さん

夏の本屋さんが好きです。
多くの出版社さんがかわいいポップや帯、中には「一冊買うとオリジナルのしおりをプレゼント!」というキャンペーンで多くの本をおすすめしていて、店頭がお祭りのように彩られます。

先日、新潮文庫の文庫本を二冊買いました。
西加奈子さんの「白いしるし」と、谷川俊太郎さんの「ひとり暮らし」。
買ったら、ステンドグラスしおりがついてきました。
日に当てると薄っすら透けて、涼やかな印象

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スペンサー•ジョンソン「チーズはどこへ消えた?」

スペンサー•ジョンソン「チーズはどこへ消えた?」

実家にあったこの本。母が、「いいと話題だから買ってみた」と言っていた本です。
私も気になって読んでみることにしました。読み始めると、一時間ちょっとで読み終えられるほどの短い物語ですが、大切なことがぎゅっ、ぎゅっと詰まっているものでした。

登場人物は変化に早く気付く「スニッフ」、すぐに行動に移せる「スカリー」の鼠二匹と、変化に怯え、変化に適応することを拒む「ヘム」、最初は戸惑っても、うまく変化に順

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山田詠美「ぼくは勉強ができない」

山田詠美「ぼくは勉強ができない」

これ、高校生の時に読みたかったなあと思う本の一つです。

勉強はできないけれど、女性にモテる主人公の高校生、秀美君。
勉強とか学歴以上に大切なことって、たくさんあるよなと、私は社会人になってから強く思うのですが、それをこの本は示してくれています。

秀美君はいわゆる世間の常識ではなくて、きちんと自分の物差しで、心の目で、物事を見ます。
大人の言う理屈を粉々に粉砕していく姿や、
心惹かれる女性という

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江國香織「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」

江國香織「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」

私は社会人になってから江國香織さんの作品に出会い、今ではその虜になっています。

読み返している「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」。
人を好きになったり、愛することは必ずしも楽しいことばかりではなくて、
孤独を感じたり、明るい過去にすがりつきたくなったり、嫉妬をすることだってある。

それでも人を好きになるし、愛してしまう、自分の人生を精一杯生きようとする女性たちのお話です。

静かでキラキ

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小説が好き

小説が好き

本が好きです。
内容だけじゃなくて、本の手触りや、紙とインクの匂い、カバーの絵や写真も。だから紙の本が好きですね。

本の中でも小説を1番よく読みます。
好きな作家さんは江國香織さん、あさのあつこさん、山田詠美さん、朝井リョウさん、恩田陸さんなどなど、これからまだまだ増えそうな予感がしますが!

どうして小説を読むのだろうとたまに思うことがあります。別に読まなくても生きられる人はたくさんいます。

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